疾患解説
フリガナ | キュウセイゼンリツセンエン |
別名 | 前立腺炎 |
臓器区分 | 腎・泌尿器疾患 |
英疾患名 | Acute Prostatitis |
ICD10 | N41.0 |
疾患の概念 | 多くは細菌感染による前立腺の急性炎症であるが、原因不明のものもある。膀胱炎や尿道炎に続発するものと、血行性、リンパ性に感染するものとがある。カテーテルや膀胱鏡などの操作後に感染し発症する場合も多い。典型的な病原体は、Klebsielle、Proteus、大腸菌、Chlamydiaである。非細菌性前立腺炎は炎症性と非炎症性があるが、尿道括約筋の不完全な弛緩および非協調的排尿が関係していると考えられる。 |
診断の手掛 | 会陰部の疼痛と悪寒戦慄を伴う高熱を発症した患者が頻尿、排尿困難、排尿痛、尿閉を訴えたら本症を疑う。基礎疾患に糖尿病が多いことも注意したい。前立腺には激しい圧痛があり、局所的またはびまん性に腫脹、軟化、硬結または、その組合せの症状を呈する。時には、敗血症が起こることがあるので、頻脈、頻呼吸、低血圧に注意する。 |
主訴 |
会陰部痛|Perineal pain 悪寒戦慄|Chill with shivening 筋肉痛|Myalgia 稽留熱|Continued fever 高熱|High fever/Hyperthermia 残尿感|Residual urine 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 低血圧|Hypotension/Hypotonia 尿閉|Urinary retention/Ischuria/Urodialysis 排尿障害|Urinary disturbance/Dysuria 排尿痛|Scalding/Micturition pain 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 頻呼吸|Tachypnea 頻尿|Pollakiuria/Pollakisuria 頻脈|Tachycardia |
鑑別疾患 |
過活動膀胱 間質性膀胱炎 クラミジア感染症 結核 前立腺肥大症|Benign Prostatic Hypertrophy(BPH) 尿路感染症|Urinary Tract Infection(UTI) 慢性前立腺炎 淋疾 尿道炎|Urethritis 直腸周囲膿瘍 |
スクリーニング検査 |
Amylase|アミラーゼ [/S] Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S] Eosinophils|好酸球 [/B] Leukocytes|白血球数 [/Prostatic Fluid, /U] Neutrophils|好中球 [/B] Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/Prostatic Fluid] PSA|前立腺特異抗原 [/S] |
異常値を示す検査 |
Oval Fat Body|卵円形脂肪体 [/Prostatic Fluid] pH|尿pH [/Prostatic Fluid] Prostate-specific Membrane Antigen Reverse Transcriptase Assay [/P] γ-Seminoprotein|γ-セミノプロテイン [/S] |
関連する検査の読み方 |
【γ-セミノプロテイン】 高値のこともある。γ-Smはヒト血清から発見された前立腺上皮に局在する糖蛋白でPSAのフリーの分枝に相当する。前立腺に特異な抗原であることから前立腺癌マーカーとして前立腺酸性ホスファターゼ、前立腺特異抗原などと同様に臓器特異性が高い。泌尿器系の良性腫瘍や泌尿器系以外の悪性腫瘍で陽性になることは殆どないが、前立腺肥大症ではステージの進行に伴い高値になることがあるので、他の検査と組み合わせる必要がある。 【PSA】 高値になることがある。 【前立腺圧出液一般検査】 直接鏡検で細菌陽性、白血球が20個以上なら診断確定。強い圧迫は敗血症を起こす可能性があるので注意する。 【尿検査】 膿尿、細菌尿、血尿を示す。 【尿沈渣】 好中球、大食細胞を認める。 【尿細菌培養】 膿尿を認め、細菌培養は陽性である。 |
検体検査以外の検査計画 | 経直腸超音波検査、膀胱鏡検査 |