疾患解説
フリガナ | キュウセイボウコウエン |
別名 | |
臓器区分 | 腎・泌尿器疾患 |
英疾患名 | Acute Cystitis |
ICD10 | N30.0 |
疾患の概念 | 膀胱粘膜と粘膜下組織の非特異的細菌感染症で、起炎菌は好気性グラム陰性桿菌が多い。感染は尿道からの上行性で、女性が圧倒的に多い。特殊なものとして、ウイルス性、薬物性、放射線性、間質性などがある。膀胱炎を引き起こす頻度が高い細菌として、最も多い細菌は腸内細菌、通常はグラム陰性好気性細菌であり、グラム陽性細菌は比較的少ない。 |
診断の手掛 | 排尿痛、頻尿、尿混濁の3主徴と共に残尿感、下腹部不快感、時に血尿を訴える患者を診たら本症の診断は容易である。尿はしばしばひどく濁り悪臭があり、30%の患者は血性となる。膀胱炎のみでは発熱はない。夜間頻尿がよく見られ、恥骨上部痛や腰痛を伴う。 |
主訴 |
下腹部痛|Hypogastric pain 血尿|Hematuria 混濁尿|Cloudy urine/Turbid urine 残尿感|Residual urine 側腹部痛|Lateroabdominal pain 尿意切迫|Urinary urgency 排尿時不快感|Discomfort on urination 排尿痛|Scalding/Micturition pain 頻尿|Pollakiuria/Pollakisuria 腹痛|Abdominal pain |
鑑別疾患 |
ウイルス性出血性膀胱炎 間質性膀胱炎 子宮頸管炎 腎盂腎炎 膣炎 尿路感染症|Urinary Tract Infection(UTI) 薬剤(シクロフォスファミド、トラニラスト) 出血性膀胱炎 尿管結石 急性前立腺炎|Acute Prostatitis 過活動膀胱 膀胱癌|Bladder Carcinoma 急性腎盂腎炎|Acute Pyelonephritis 全身性エリテマトーデス|Systemic Lupus Erythematosus(SLE) 住血吸虫症|Schistosomiasis |
スクリーニング検査 | Leukocytes|白血球数 [/U] |
異常値を示す検査 | Fibrin and Fibrinogen Degradation Products|フィブリン・フィブリノゲン分解産物/線維素分解産物 [/U] |
関連する検査の読み方 |
【尿一般検査】 白血球、細菌を認める。細菌は男性は10*4コロニー/mL、女性は10*5コロニー/mLを超えると有意である。顕微鏡的血尿が約50%の患者に見られる。 【尿沈渣】 好中球、尿路上皮細胞を認める。 【尿細菌培養】 陽性である。培養が推奨されるのは、尿一般検査で診断がつかない場合、複雑性UTIが明らかな場合、65歳以上の患者、腎盂腎炎の症状のある患者である。 【亜硝酸塩試験】 非常に特異的で、感度もかなり高い。尿中に排泄される蛋白質由来の硝酸塩は尿中細菌の持つ亜硝酸還元酵素の働きで亜硝酸塩になる。この亜硝酸塩をGriess反応で検出する方法を尿亜硝酸試験と呼ぶ。主として大腸菌などのグラム陰性桿菌の菌数が10⁵CFU/mL以上で陽性となる。 |
検体検査以外の検査計画 | 超音波検査、CT検査、尿路造影検査 |