疾患解説
フリガナ | コキュウセイアシドーシス |
別名 | |
臓器区分 | 救急疾患 |
英疾患名 | Respiratory Acidosis |
ICD10 | E87.2 |
疾患の概念 | 肺胞換気が低下し、酸塩基状態が酸性側に傾いた状態で、呼吸器系疾患、代謝の異常亢進などによりPCO2が増加した場合に発症する。代償性のHCO3−増加を伴う場合と伴わない場合とがあるが、血液pHは7.4±0.05より低くなる。原因は呼吸中枢抑制、神経筋疾患、呼吸システムのコンプライアンス低下、気道抵抗の増加、死腔の増加などによるPCO2の蓄積である。肺胞低換気の原因疾患は、中枢神経系の呼吸ドライブを障害する疾患、神経筋伝達を障害する疾患、筋力低下を引き起こす疾患、閉塞性、拘束性および実質性の肺疾患である。 |
診断の手掛 | 症状は、脳脊髄液のpH変化によるので、頭痛、錯乱、傾眠症状、ミオクローヌス反射、羽ばたき振戦などを訴える患者を診たら本症を疑う。PCO2は、血液脳関門を通過して急速に拡散するので、症状および徴候は、中枢神経系でのPCO2濃度上昇(中枢神経系のpH低値)とそれに伴う低酸素血症の結果である。急性の呼吸性アシドーシスは、頭痛、錯乱、不安、眠気、昏迷(CO2ナルコーシス)を発症し、COPDなどによる慢性の場合は、記憶障害、睡眠障害、日中の過度の眠気、人格変化などが見られる。肺胞-動脈血O2勾配(吸気Po2 −[動脈血Po2+5/4 動脈血Pco2])を算出すると肺疾患と肺外疾患との鑑別に役立つ。 |
主訴 |
傾眠|Drowsiness/Somonolency 昏睡|Coma 昏迷|Stupor 錯乱|Confusion 振戦|Tremor 頭痛|Headache/Cephalalgia 不安|Anxiety ミオクローヌス|Myoclonus |
鑑別疾患 |
急性呼吸促迫症候群|Acute Respiratory Distress Syndrome(ARDS) 急性心筋梗塞|Acute Myocardial Infarction(AMI) 高炭酸ガス血症 ショック|Shock 心不全|Heart Failure 脊柱後弯症 低酸素血症|Hypoxia 慢性閉塞性肺疾患|Chronic Obstructive Pulmonary Disease(COPD) |
スクリーニング検査 |
Chloride|クロール [/S] Uric Acid|尿酸 [/U] |
異常値を示す検査 |
Arterial Blood Carbon Dioxide Partial Pressure|動脈血CO2分圧/炭酸ガス分圧/CO2分圧/PCO2/PaCO2 [/Arterial Blood] Arterial Blood pH|動脈血pH [/Arterial Blood] |
関連する検査の読み方 |
【動脈血ガス分析】 PaCO2が44torr以上を呼吸性アシドーシスという。症状はPaCO2の増加速度と程度に依存する。急性ではpHが7.05~7.10に低下する。HCO3-は29~30mEq/Lだが慢性の場合はアシドーシスは軽度である。動脈血中に溶解しているCO₂の分圧で、肺でのガス交換の効率を示すため、呼吸機能検査の一つとして用いられる。CO₂分圧は肺胞の換気量に逆比例するため換気が不足すればPco₂は上昇、過換気であれば低下する。臨床的には呼吸性アシドーシス、アルカローシス、代謝性アシドーシスの診断と病勢判断、筋疾患での換気状態の判定に用いる。検査に当たってはpH、HCO₃⁻、PO₂などと同時に測定する必要がある。 【肺胞-動脈血O2勾配】 吸気Po2 −[動脈血Po2+5/4 動脈血Pco2]の算出は、肺疾患と肺外疾患との鑑別に役立つ。勾配が正常であれば原則的に肺疾患は除外される。 【尿酸】 尿中の尿酸排泄量が低下したら重症と考える。 |
検体検査以外の検査計画 | 呼吸機能検査 |