疾患解説
フリガナ | サイトメガロウイルスカンセンショウ |
別名 | 巨細胞性封入体病 |
臓器区分 | 感染性疾患 |
英疾患名 | Cytomegalovirus Infection |
ICD10 | B25.9 |
疾患の概念 | Cytomegalovirus(ヒトヘルペスウイルス5型)による局所性および全身性の感染症で、日本人の90%は、成人までに初感染を受けている。ウイルスは、一生涯排除されることはなく、細胞性免疫力の低下が起こるとウイルスが再活性化される。免疫不全の患者ではCMVの感染は、死亡の主要な原因である。この疾患は3つの独立した臨牀症候群に分類される。1.周産期の疾患及びCMV封入体病 2.急性後天性CMV感染症 3.免疫不全宿主の感染症である。 |
診断の手掛 | 咽頭炎を伴わない伝染性単核球症に類似するが、重度の咽頭炎を欠いた発熱、全身倦怠感、扁桃腫脹、リンパ節腫脹、肝腫大、脾腫を伴う症状を呈する患者を診たら本症を疑う。HIV感染患者やその他の易感染性患者では、網膜炎などの局所疾患を発症することがあり、新生児および易感染性患者は、重度の全身性疾患を発症することがある。 |
主訴 |
肝腫大|Hepatomegaly 血便|Bloody stool/Hemorrhagic stool/Hematochezia 下痢|Diarrhea 呼吸困難|Dyspnea 消化管出血|Gastrointestinal bleeding 視力障害|Blurred vision/Visual impairment 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 脾腫|Splenomegaly 腹痛|Abdominal pain 扁桃腫脹|Swelling of tonsilla リンパ節腫脹|Lymphadenopathy |
鑑別疾患 |
遺伝性難聴 エイズ/HIV感染症|Acquired Immune Deficiency Syndrome(AIDS) 肝不全|Hepatic Failure 水痘/帯状疱疹ウイルス肺炎 単純ヘルペスウイルス肺炎 ニューモシスチス肺炎|Pneumocystis Pneumonia EBウイルス感染症|Epstein-Barr Virus Infection 伝染性単核球症|Infectious Mononucleosis 肺水腫|Pulmonary Edema 間質性肺炎 薬剤性肺炎 ヒトヘルペスウイルス-6感染症 免疫再構築症候群 TORCH症候群 |
スクリーニング検査 | Neutrophils|好中球 [/CSF] |
異常値を示す検査 |
Cytomegalovirus Antibodies|サイトメガロウイルス抗体/抗サイトメガロウイルス抗体 [/S] Cytomegalovirus pp65|サイトメガロウイルスpp65/CMV抗原pp65 [/B] Nucleic Acid Diagnosis for Cytomegalovirus Infection [Positive/B] |
関連する検査の読み方 |
【CBC】 しばしば、発熱の2週間後にリンパ球増加が見られるが、著明な白血球減少が見られることがある。 【尿沈渣】 核内封入体細胞を認める。 【サイトメガロウイルスIgG抗体AI】 初期感染の判断に用いる。AI:Avidity Index 【サイトメガロウイルス抗体】 スクリーニング検査として補対結合反応が用いられる。サイトメガロウイルスは初感染後、体内に生涯にわたり存在し、免疫能の低下により再活性化するため、AIDSの日和見感染症、臓器移植や輸血による医原性感染の原因ウイルスとして重要視されている。CMV-Ab測定は臨床的にはCMV感染の診断、輸血ドナーの検査に用いられる。 【サイトメガロウイルスpp65】 CMV感染時に85~95%以上の高感度・特異性を有する。サイトメガロウイルスのlower matrix protein pp65を間接酵素抗体法で認識するもので、CMV感染では85~90%以上の高感度・特異性がある。通常の血清抗体価測定は抗体価が発症後数日経過してから上昇するため、早期診断が出来ない。臨床的には臓器移植や骨髄髄移植後のCMV感染の早期診断に有用である。 【サイトメガロウイルス核酸診断】 血清中にウイルスDNAやメッセンジャーRNAが認められれば活動性の指標となる。健常者の血液、尿、脳脊髄液、咽頭ぬぐい液、気管支肺胞洗浄液などではCMV-DNAは検出されないか検出されても微量である。もし、これ等の複数の検体からCMV-DNAが検出されたり、定量的測定でCMV-DNAの増加が認められれば、CMVの感染を疑う。また、胎児の血清、脳脊髄液、羊水からはCMV-DNAが検出されることはないので、検出されれば活動性のCMV-感染を疑う。 【サイトメガロウイルス抗原】 末梢白血球のCMV陽性細胞の検出が有用である。 【サイトメガロウイルス特異的CTL】 CMVの特異的細胞性免疫の評価に用いられる。感染者はCTLの割合が少ない。 |
検体検査以外の検査計画 | |