疾患解説
フリガナ | ソジョウブンセツセイシキュウタイコウカショウ |
別名 | 巣状分節状糸球体硬化症 |
臓器区分 | 腎・泌尿器疾患 |
英疾患名 | Focal Segmental Glomerular Sclerosis(FSGS) |
ICD10 | N04.1 |
疾患の概念 | 糸球体の一部に巣状にメザンギウム硬化が起こる疾患で、糸球体の全体ではなく一部に巣状に硬化が始まり、最終的に全ての糸球体が硬化する。殆どは特発性であるが、ヘロインまたは他の薬物の使用、HIV感染、肥満、アテローム塞栓症、ネフロン喪失などに続発する場合もある。疾患は、近年増加傾向にあり、ネフローゼ症候群の主たる原因となっている。主に青少年に発症するが、若年及び中年にも認められる。FSGSは、電荷と分子サイズによる限外濾過バリアが共に障害されるので、蛋白尿は非選択的で、アルブミンのみならず免疫グロブリンなどの高分子蛋白も排泄される。 |
診断の手掛 | 蛋白尿、高血圧、腎機能障害を呈する患者を診たら本症を疑うが、無症候性のネフローゼレベルに達しない程度の蛋白尿が唯一の徴候の場合もあるので注意する。顕微鏡的血尿が時に認められる。 |
主訴 |
血尿|Hematuria 高血圧|Hypertension 蛋白尿|Proteinuria |
鑑別疾患 |
溶血性尿毒症症候群|Hemolytic Uremic Syndrome(HUS) 血栓性血小板減少性紫斑病|Thrombotic Thrombocytopenic Purpura(TTP) 免疫複合体性糸球体腎炎 薬物誘発性間質性腎炎 ネフローゼ症候群|Nephrotic Syndrome IgA腎症|IgA Nephropathy 慢性腎炎症候群 腎硬化症|Renal Sclerosis アルポート症候群|Alport's Syndrome |
スクリーニング検査 |
Creatinine|クレアチニン [/S] Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/U] |
異常値を示す検査 |
CD45 Leukocytes|CD45 [/Tissue] Intercellular Adhesion Molecule-1|CD54 [/Tissue] Monocyte Chemotactic Protein-1 [/S, /U] Soluble HLA-I [/S, /U] Soluble Intercellular Adhesion Molecule-1|可溶性ICAM-1/可溶性CD54/細胞接着分子-1 [/U] |
関連する検査の読み方 |
【γ-グロブリン】 尿蛋白選択性が低下し、グロブリンも尿中に漏出するので、IgGが低下する。 【尿中NAG活性】 尿細管障害合併の指標となる。NAGは近位および遠位尿細管や集合管細胞内のライソゾームに含まれる酵素で、尿細管から排泄されるので、尿細管障害の程度を見るために測定される。臨床的には腎毒性のあるアミノグリコシド系抗生剤や重金属などによる尿細管障害の早期発見、腎疾患の診断・経過観察、糖尿病性腎症の早期発見などに用いる。 【β2-ミクログロブリン】 尿中の値は尿細管障害の指標となる。β2mは全ての有核細胞の膜抗原を構成しているが、細胞から遊離すると糸球体を通過し近位尿細管で再吸収され分解される。この蛋白の異化経路の大部分は腎を経由するため、腎の排泄機能が低下すると、他の低分子蛋白よりも著しく血中濃度が増加する。また、血中濃度はGFRと良く相関するので、GFRに代用されることもある。臨床的には腎障害部位の推測や腎疾患活動性の推定に用いる。 【尿蛋白定量】 1g/日以上では予後が悪い。 【腎生検】 確定診断は腎生検による。 |
検体検査以外の検査計画 |