フリガナ |
ネフローゼショウコウグン |
別名 |
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臓器区分 |
腎・泌尿器疾患
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英疾患名 |
Nephrotic Syndrome
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ICD10 |
N04
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疾患の概念 |
腎糸球体障害により蛋白の透過性が亢進し、多量の蛋白尿とこれによる低蛋白血症、高脂血症、浮腫が認められるものをネフローゼ症候群と呼ぶ。糸球体疾患が原因で、尿中に3g/日を超える蛋白が排泄される。ネフローゼ症候群は、いずれの年齢でも起こりうるが、小児でより多く見られ、大半が1歳半から4歳までの間に発症し、原発性と続発性がある。原発性で最も多いのは、微小変化群、巣状分節性糸球体硬化症及び膜性腎症である。続発性は、成人症例の半数を占め、糖尿病性腎症と子癇前症が一般的である。微小変化群は、年齢4~8歳の小児のネフローゼ症候群の最も頻度が高い原因で、浮腫と重度の蛋白尿を突然発症するが、腎機能は正常である。巣状分節性糸球体硬化症は、主として若年成人に発症する分節性のサンギウム硬化症で、糸球体の一部に始まり、最終的に全ての糸球体が罹患する。この疾患は、大部分が特発性だが、ヘロインまたは他の薬物の使用、HIV感染、肥満、鎌状赤血球症、アテローム塞栓症、ネフロン喪失に続発する場合がある。膜性腎症は、免疫複合体が糸球体基底膜に沈着し、GBMが肥厚する。原因として薬物、感染症、自己免疫疾患、癌などが挙げられる。続発性の原因は、糖尿病性腎症、妊娠高血圧腎症、アミロイドーシスなどで、小児症例では10%未満であるが、成人症例では50%を超える。ネフローゼ症候群で見られる蛋白尿は、毛細血管内皮細胞、糸球体基底膜、または足細胞の変化によって生じる。しかし、ネフローゼ症候群でこれらの構造が障害される機序は不明である。
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診断の手掛 |
食欲不振、全身倦怠感、浮腫や高度の蛋白尿による泡沫尿を見たら本症を疑う。胸水による呼吸困難、心膜液による胸部不快感、関節水腫による関節痛、腹水による腹痛も見逃さない。 【診断基準:1974年ネフローゼ症候群調査研究班】 1.1日尿蛋白量3.5g以上を持続する。2.血清総蛋白量は6.0g/dL以下、血清アルブミン量3.0g/dL以下。3.総コレアウテロール値250mg/dL以上。4.浮腫。 *上記蛋白尿、低蛋白血症は必須条件、コレステロール値、浮腫は必須条件ではない。
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主訴 |
息切れ|Shortness of breath/Breathlessness 易疲労感|Fatigue 陰嚢水腫|Scrotal hydrocele 下肢腫脹|Lower extremity swelling 下肢発赤|Lower extremity flare 関節痛|Arthralgia 胸部不快感|Cest discomfort 下痢|Diarrhea 呼吸困難|Dyspnea 食欲不振|Anorexia 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 蛋白尿|Proteinuria 貧血症状|Anemic symptom 腹水|Ascites 腹痛|Abdominal pain 腹部膨満感|Sense of Abdominal fullness 浮腫|Edema/Dropsy 泡沫尿|Foamy urine
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鑑別疾患 |
B型肝炎|Hepatitis B アミロイドーシス|Amyloidosis エイズ/HIV感染症|Acquired Immune Deficiency Syndrome(AIDS) 高脂血症 糸球体硬化症 重金属中毒 全身性エリテマトーデス|Systemic Lupus Erythematosus(SLE) 低アルブミン血症 梅毒|Syphilis 微小変化型ネフローゼ症候群 膜性腎症 慢性糸球体腎炎|Glomerulonephritis, Chronic 巣状分節性糸球体硬化症|Focal Segmental Glomerular Sclerosis(FSGS) クリオグロブリン血症|Cryoglobulinemia 全身性エリテマトーデス|Systemic Lupus Erythematosus(SLE) シェーグレン症候群|Sjogren's Syndrome 多発性骨髄腫|Multiple Myeloma 糖尿病|Diabetes Mellitus サルコイドーシス|Sarcoidosis 悪性黒色腫|Malignant Melanoma 白血病 悪性腫瘍 結節性多発動脈炎|Polyarteritis Nodosa(PAN) ヘノッホ-シェーンライン紫斑病|Henoch-Schönlein Purpura 薬剤(金塩、インターフェロン、リチウム、NSAIDs、ペニシラミン)
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スクリーニング検査 |
α-Fetoprotein|α-フェトプロテイン [/S] Albumin|アルブミン [/S, /Saliva, /U] Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/WBC, /S] Basophils|好塩基球 [/B] Calcium|カルシウム [/S, /U, /F] Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S, /S] Cholinesterase|コリンエステラーゼ/ブチルコリンエステラーゼ/偽コリンエステラーゼ [/S] Creatinine|クレアチニン [/S] Eosinophils|好酸球 [/B] Erythrocytes|赤血球数 [/AsF, /U] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Fibrinogen|フィブリノゲン/凝固第I因子 [/P] GFR|糸球体濾過量 [/U] HDL-Cholesterol|HDL-コレステロール/高比重リポ蛋白コレステロール [/S, /S] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] Immunoglobulin A|免疫グロブリンA [/S, /S] Immunoglobulin G|免疫グロブリンG [/S, /U] Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [/S, /S] Iron|鉄/血清鉄 [/S] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/PlF, /S] LDL-Cholesterol|LDL-コレステロール/低比重リポ蛋白コレステロール [/S] Leukocytes|白血球数 [/AsF, /B] Lymphocytes|リンパ球 [/B] Magnesium|マグネシウム [/S, /U] Neutrophils|好中球 [/B] Phosphate|無機リン [/S] Platelets|血小板 [/B] Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/AsF, /PlF, /S, /U] Sodium|ナトリウム [/U] Thyroxine (T4)|総サイロキシン/総T4/サイロキシン/チロキシン [/S] TIBC|総鉄結合能 [/S] Transferrin|トランスフェリン [/S, /U] Tri-Iodothyronine (T3)|総トリヨードサイロニン/総T3/トリヨードサイロニン/トリヨードチロニン [/S] Triglycerides|トリグリセリド/中性脂肪/トリグリセライド/トリアシルグリセロール [/S] Urea Nitrogen|尿素窒素 [/S, /S] Uric Acid|尿酸 [/S] α1-Globulin|α1-グロブリン [/S, /U] α2-Globulin|α2-グロブリン [/S] β-Globulin|β-グロブリン [/S, /U] γ-Globulin|γ-グロブリン [/U]
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異常値を示す検査 |
17-Ketosteroids|17-ケトステロイド [/U] 25-Hydroxy Vitamin D|25-ヒドロキシビタミンD/25OHビタミンD [/S] 25-Hydroxy Vitamin D3|25-ヒドロキシビタミンD3 [/S] Aggregation Index [/RBC] Aldosterone|アルドステロン [/P] Antithrombin III|アンチトロンビンIII/アンチトロンビン [/P, /U] Apolipoprotein A-I|アポリポ蛋白A-I [/S, /S] Apolipoprotein A-II|アポリポ蛋白A-II [/S] Apolipoprotein A:Apolipoprotein B Ratio [/S] Apolipoprotein B|アポリポ蛋白B [/S] Apolipoprotein B-I [/S] Apolipoprotein B:Apolipoprotein A-I Ratio [/S] Apolipoprotein C-II|アポリポ蛋白C-II [/S] Apolipoprotein C-III|アポリポ蛋白C-III [/S] Apolipoprotein E|アポリポ蛋白E [/S] Apolipoproteins|アポリポ蛋白 [/S] Atrial Natriuretic Peptide|心房性Na利尿ペプチド [/P] Calcium, Ultrafiltrable [/S] Carnitine|カルニチン分画/ビタミンBT [/S] Casts|円柱 [/U] Ceruloplasmin|セルロプラスミン/フェロオキシダーゼ [/S, /S] Cholesterol:HDL-Cholesterol Ratio [/S] Chylomicrons [/S] Colloid Osmotic Pressure|膠質浸透圧 [/S] Complement C3|補体第3成分/β1C・β1Aグロブリン/C3 [/S] Complement C4|補体第4成分/β1Eグロブリン/C4 [/S] Copper|銅 [/S] Corticosteroids [/P] Cortisol|コルチゾール [/P] D-Dimer|Dダイマー/フィブリン分解産物Dダイマー [/P, /U] Eosinophils|好酸球 [/B] Erythropoietin|エリスロポエチン [/U] Factor IV|第IV因子活性/フリーCaイオン [/P] Factor IX|第IX因子活性/クリスマス因子 [/P] Factor V|第V因子活性/不安定凝固因子/プロアクセレリン/Acグロブリン [/P, /P] Factor VII|第VII因子活性/安定因子/プロコンバーチン [/P] Factor VIII|第VIII因子活性/抗血友病因子 [/P, /P] Factor VIII Antigen|第VIII因子様抗原/第VIII因子関連抗原/フォンウィルブランド因子抗原量 [/P] Factor VIII Coagulant|第VIII因子活性/抗血友病因子 [/P] Factor X|第X因子活性/シュチュワート・プロワー因子 [/P] Factor XI|第XI因子活性/血漿トロンボプラスチンアンテシデント [/P] Factor XII|第XII因子活性 [/P] Fibrin and Fibrinogen Degradation Product E|フィブリン・フィブリノゲン分解産物E分画/線維素分解産物E [/U] Fibrinopeptide A|フィブリノペプタイドA [/P] Glomerular Filtration Rate|糸球体濾過量 [/U] Haptoglobin|ハプトグロビン [/S] HDL2-Cholesterol|HDL2,3-コレステロール/HDLコレステロール亜分画 [/S] HDL3-Cholesterol|HDL2,3-コレステロール/HDLコレステロール亜分画 [/S] Hemopexin|ヘモペキシン [/S] IDL-Cholesterol [/S] IDL-Cholesterol, Esterified [/S] IDL-Triglycerides [/S] Immunoglobulin E|免疫グロブリンE/非特異的IgE/レアギン抗体 [/S] Immunoglobulin G1|免疫グロブリンG1 [/S, /Saliva] Immunoglobulin G4|IgG4 [/S, /Saliva] Interleukin-4|インターロイキン-4 [/S] Ionized Calcium|イオン化カルシウム/Caイオン [/S] Lactate Dehydrogenase Isoenzyme-5|乳酸デヒドロゲナーゼアイソザイム/LDアイソザイム [/S] LDL-Cholesterol, Esterified [/S] LDL-Cholesterol:HDL-Cholesterol Ratio [/S] LDL-Phospholipids [/S] LDL-Triglycerides [/S] Lipids|総脂質 [/S, /U] Lipoprotein Lp (a)|リポ蛋白(a)/リポプロテイン(a) [/S] Lipoproteins|リポ蛋白脂質分画 [/S] Lipoproteins, Pre-β [/S] N-Acetyl-Glucosaminidase|N-アセチルβ-D-グルコサミニダーゼ活性(尿)/尿中NAG活性 [/U] Nickel|ニッケル [/S] Oval Fat Body|卵円形脂肪体 [/U] pH|尿pH [/PlF] Phospholipids|リン脂質 [/S] Plasminogen|プラスミノゲン活性 [/P, /P, /U] Plasminogen Activator Inhibitor-1|プラスミノゲンアクチベータインヒビター-1 [/P] Prednisolone [/S] Prednisolone, Free [/S] Protein C|プロテインC/プロテインC抗原量 [/P, /P, /U] Protein S|プロテインS/プロテインS抗原量 [/P, /P, /U] Relative Viscosity [/B] Specific Gravity|比重(尿)/尿比重 [/PlF] T3-Uptake|トリヨードサイロニン摂取率/トリオソルブテスト/T3摂取率 [/S] Thromboplastin Time [/B] Thyroxine Binding Globulin|サイロキシン結合グロブリン/チロキシン結合グロブリン [/S] Tissue Plasminogen Activator Antigen [/P] Viscosity|血液粘稠度/血液流体特性検査/血液流体変動能検査 [/P, /B, /P] Vitamin D Binding Protein [/S] VLDL-Cholesterol [/S] VLDL-Phospholipids [/S] VLDL-Triglycerides [/S] Volume [/B, /P] Zinc|亜鉛 [/S] 131 I Uptake|131 I摂取率/放射性ヨウ素摂取率 [/S] α1-Acid Glycoprotein|α1-酸性糖蛋白/オロソムコイド/α1アシドグリコプロテイン [/S, /U] α1-Antitrypsin|α1-アンチトリプシン [/S, /S, /U] α1-Antitrypsin Activity [/S] α1-Microglobulin|α1-ミクログロブリン/α1-マイクログロブリン [/S] α2-Macroglobulin|α2-マクログロブリン [/S, /S, /U] α2-Plasmin Inhibitor [/P, /P, /U] β-Glucuronidase|β-グルクロニダーゼ [/U] β-Lipoprotein|β-リポ蛋白 [/S] β-Thromboglobulin|β-トロンボグロブリン [/P] β2-Macroglobulin [/S, /U] β2-Microglobulin|β2-ミクログロブリン/β2-マイクログロブリン [/S]
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関連する検査の読み方 |
【UN】【クレアチニン】 増加するが、値は腎機能障害の程度で様々である。 【α2-プラスミンインヒビター】 50~80%に低下する。α2-PIはプラスミンと複合体を形成し、失活させ線溶阻止に働く糖蛋白で、アンチプラスミンとも呼ばれている。また、この蛋白はプラスミノゲンのフィブリノゲンへの結合阻害作用を持ち、局所での抗線溶作用と血栓安定化の働きがある。 【β2-ミクログロブリン】 GFRが低下するので、血中濃度は増加する。β2mは全ての有核細胞の膜抗原を構成しているが、細胞から遊離すると糸球体を通過し近位尿細管で再吸収され分解される。この蛋白の異化経路の大部分は腎を経由するため、腎の排泄機能が低下すると、他の低分子蛋白よりも著しく血中濃度が増加する。また、血中濃度はGFRと良く相関するので、GFRに代用されることもある。臨床的には腎障害部位の推測や腎疾患活動性の推定に用いる。 【蛋白分画】 アルブミンは2.5g/dL以下に低下し、総蛋白も低値(5.5g/dL以下)である。α2-グロブリンは増加する。A:G比は1.2以下である。アルブミンが2g/dL未満の患者は凝固亢進状態になる。 【中性脂肪】 軽度から1,000mg/dL以上に著しく増加する。患者の一日あたりの蛋白排泄量が多くなるのに比例し高脂血症の頻度が高くなる。TGは蛋白と結合し水溶性のリポ蛋白として血中に存在している。食物中の脂肪の殆どはTGで腸管で吸収され、リンパ管を経て血中に入りカイロミクロン(外因性トリグリセリド)として存在している。TGはリポ蛋白リパーゼや肝性トリグリセリドリパーゼにより加水分解され脂肪酸になり、末梢組織のエネルギー源となっている。また、肝では脂肪酸と糖質からTGが合成され、蛋白と結合しVLDLとして血中に放出される。 【尿一般検査】 尿蛋白の増加が著明で通常4.5g/日以上であるが、3g/日以上になれば診断的数値といえる。赤血球が患者の50%に認められるが、軽微で症候群に一部ではない。蛋白が高濃度になると泡沫尿がみられる。 【尿中NAG活性】 著しく増加する。NAGは近位および遠位尿細管や集合管細胞内のライソゾームに含まれる酵素で、尿細管から排泄されるので、尿細管障害の程度を見るために測定される。臨床的には腎毒性のあるアミノグリコシド系抗生剤や重金属などによる尿細管障害の早期発見、腎疾患の診断・経過観察、糖尿病性腎症の早期発見などに用いる。 【コレステロール】 尿沈渣のコレステロール結晶は偏光顕微鏡で「マルタの十字」パターンとして見える。 【アンチトロンビンⅢ】【プロテインC】【プロテインS】 尿中に喪失しているため血小板活性が増大する。 【尿蛋白:尿クレアチニン比】 随時尿検体の場合に24時間尿の排泄蛋白量が推定できる。 【尿沈渣】 赤血球と複屈折脂肪体、円柱(硝子状、顆粒、脂肪、ろう様、赤血球、上皮細胞、空胞変性、大食細胞)、脂肪顆粒を持つ大食細胞、尿細管上皮細胞、コレステロール結晶を認める。
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検体検査以外の検査計画 |
超音波検査、CT検査
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