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疾患解説

フリガナ IgAジンショウ
別名 免疫グロブリンA腎症
Berger病
臓器区分 腎・泌尿器疾患
英疾患名 IgA Nephropathy
ICD10 N02.8
疾患の概念 糸球体メサンギウム領域にIgA、C3の沈着するメサンギウム増殖性糸球体腎炎で、特発性糸球体腎炎では最も高頻度に発症する慢性糸球体腎炎の一型であり、糸球体腎炎の原因の10~40%を占めている。世界的に最も頻度の高い病型の糸球体腎炎である。いずれの年齢層でも起こるが、発症のピークは10代から20代で、発症率は女性より男性で2~6倍高く、白人およびアジア系に多い。原因は不明であるが、同一の病変は、Henoch-Schoenlein紫斑病でも見られ、単一疾患のスペクトルと考えられている。腎機能は初期には正常であるが、症候性腎疾患が発生する場合がある。少数の患者で急性腎障害、慢性腎臓病、重度の高血圧、ネフローゼ症候群が認められる。約40%の患者は診断から20年以内に末期腎不全へと進行する。
診断の手掛 持続性あるいは再発性の肉眼的血尿(患者の90%)、または軽度の蛋白尿を伴う無症候性の顕微鏡的血尿を訴える患者を診たら本症を疑う。また、約10%の患者は、上気道感染の後に急性腎炎症状で発症するが、顕微鏡的血尿や蛋白尿が持続している患者も本症の可能性が高い。ネフローゼ症状は少ないが、多尿、夜間頻尿、高血圧、貧血など腎機能低下に伴う症状や関節痛、紫斑、腹痛、消化管出血を訴えることもある。本症の患者はしばしば咽頭感染後、消化管感染後、ワクチン接種後または激しい運動24~48時間後に肉眼的血尿を認める。
【診断基準:2015厚労省】
1.臨床症状:大部分の症例は無症状であるが、時に急性腎炎用の症状を呈することもある。ネフローゼ症候群の発現は比較的稀である。一般に経過は緩慢であるが、20年の経過で約40%の患者が末期腎不全に移行する。
2.尿検査:a)必発所見:持続的顕微鏡的血尿 b)頻発所見:間欠的または持続的蛋白尿 c)偶発所見:肉眼的血尿
3.血液検査:a)必発所見:なし b)頻発所見:成人の場合IgA値315mg/dL以上
4.確定診断:腎生検による糸球体の観察が唯一の方法である。a)光顕所見:巣状分節性からびまん性全節性までのメサンギウム増殖性変化が主体であるが、半月体、分節性硬化、全節性硬化など多彩な病変がみられる。b)蛍光抗体法または酵素抗体法所見:びまん性にメサンギウム領域を主体とするIgAの顆粒状沈着。c)電顕所見:メサンギウム基質内、特にパラメサンギウム領域を中心とする高電子密度物質の沈着。
*上記の2-a、2-b、3-bの3つの所見が認められれば、本症の可能性が高い。
*鑑別診断:紫斑性腎炎、肝硬変、ループス腎炎
主訴 関節痛|Arthralgia
血尿|Hematuria
下血|Melena
高血圧|Hypertension
紫斑|Purpura
出血傾向|Bleeding tendency/Hemorrhagic diathesis
多尿|Polyuria
蛋白尿|Proteinuria
貧血症状|Anemic symptom
頻尿|Pollakiuria/Pollakisuria
腹痛|Abdominal pain
浮腫|Edema/Dropsy
夜間頻尿|Nocturia
鑑別疾患 高血圧症|Hypertension
糸球体腎炎
上気道感染症
腎硬化症|Renal Sclerosis
膜性増殖性糸球体腎炎|Membranoproliferative Glomerulonephritis
慢性腎盂腎炎|Chronic Pyelonephritis
免疫複合体性糸球体腎炎
ループス腎炎|Lupus Nephritis
肝性糸球体硬化症
ヘノッホ-シェーンライン性腎炎
膜性腎症
巣状分節性糸球体硬化症|Focal Segmental Glomerular Sclerosis(FSGS)
MRSA関連糸球体腎炎
非IgAメサンギウム増殖性糸球体腎炎
良性腎硬化症
スクリーニング検査 Anti-Streptolysin O|抗ストレプトリジンO価/抗ストレプトリジン抗体 [/S]
Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S]
Creatinine|クレアチニン [/S]
Erythrocytes|赤血球数 [/U]
GFR|糸球体濾過量 [/U]
HDL-Cholesterol|HDL-コレステロール/高比重リポ蛋白コレステロール [/S]
Immunoglobulin A|免疫グロブリンA [/S]
Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/U]
Triglycerides|トリグリセリド/中性脂肪/トリグリセライド/トリアシルグリセロール [/S]
Urea Nitrogen|尿素窒素 [/S]
異常値を示す検査 Anti-Endothelial Cell Antibodies|抗内皮細胞抗体 [/S]
Anti-Streptococcal Polysaccharide Antibody|抗連鎖球菌多糖体抗体 [/S]
Apolipoprotein A-I|アポリポ蛋白A-I [/S]
Apolipoprotein B|アポリポ蛋白B [/S]
B Lymphocyte Surface Membrane Immunoglobulin|B細胞表面免疫グロブリン/B細胞受容体 [/S]
CD45 Leukocytes|CD45 [/Tissue]
Creatinine Clearance|クレアチニンクリアランス [/U]
Endothelin|エンドセリン [/U]
Haptoglobin|ハプトグロビン [/S]
Immunoglobulin E|免疫グロブリンE/非特異的IgE/レアギン抗体 [/S]
Intercellular Adhesion Molecule-1|CD54 [/Tissue]
Interleukin-1β|インターロイキン-1β [/U]
Interleukin-6|インターロイキン-6 [/U]
LDL-Cholesterol:HDL-Cholesterol Ratio [/S]
Lipoprotein Lp (a)|リポ蛋白(a)/リポプロテイン(a) [/S]
Macrophage Colony Stimulating Factor|マクロファージコロニー刺激因子 [/S, /U]
Monocyte Chemotactic Protein-1 [/S, /U]
Soluble Fas Antigen [/S]
Soluble Intercellular Adhesion Molecule-1|可溶性ICAM-1/可溶性CD54/細胞接着分子-1 [/U]
Tumor Necrosis Factor-α|腫瘍壊死因子-α [/U]
α1-Acid Glycoprotein|α1-酸性糖蛋白/オロソムコイド/α1アシドグリコプロテイン [/S]
α1-Antitrypsin|α1-アンチトリプシン [/S]
β2-Microglobulin|β2-ミクログロブリン/β2-マイクログロブリン [/S,/U]
関連する検査の読み方 【免疫グロブリン】
IgAは患者の約50%で315mg/dL以上に増加するが値は疾患の活動性とは対比しない。IgAフィブロネクチン複合体が認められることがあるが、臨床的意義は不明である。IgG、IgMは基準範囲内である。血清IgA:C3比が3.01以上に増加し、血尿、蛋白尿がみられればIgA腎症を強く示唆する所見である。
【B細胞表面免疫グロブリン】
増加することがある。S-IgはB細胞のみに存在している免疫グロブリンであり、その検出はB細胞の最も信頼できるマーカーである。
【β2-マイクログロブリン】
β2mは全ての有核細胞の膜抗原を構成しているが、細胞から遊離すると糸球体を通過し近位尿細管で再吸収され分解される。この蛋白の異化経路の大部分は腎を経由するため、腎の排泄機能が低下すると、他の低分子蛋白よりも著しく血中濃度が増加する。また、血中濃度はGFRと良く相関するので、GFRに代用されることもある。臨床的には腎障害部位の推測や腎疾患活動性の推定に用いる。
【腎生検】
確定診断に有用である。腎生検の適応は顕微鏡的血尿、蛋白尿、IgAが315mg/dL以上、IgA:C3比が3.01以上を満たすことを確認する。蛍光抗体法でIgAがメサンギウムを中心に局在している所見がみられるが、非特異的所見である。その他IgG、IgM、補体成分も認められる。糸球体のIgA沈着が確定診断に用いられる。
【免疫染色】
免疫染色でIgAが糸球体メサンギウム領域を中心に局在している。
【尿中NAG活性】
急性期に見られたら二次的な尿細管障害があると考える。NAGは近位および遠位尿細管や集合管細胞内のライソゾームに含まれる酵素で、尿細管から排泄されるので、尿細管障害の程度を見るために測定される。臨床的には腎毒性のあるアミノグリコシド系抗生剤や重金属などによる尿細管障害の早期発見、腎疾患の診断・経過観察、糖尿病性腎症の早期発見などに用いる。
【尿一般検査】
症例の70~80%に1g/日未満の軽度の蛋白を認めるが、2g/日以上のことは比較的少ない。すべての症例で顕微鏡的血尿がみられ、肉眼的血尿も約10%の患者に認められる。
【尿蛋白定量】
1~2g/日以上になれば予後が悪い。
【血尿】
肉眼的血尿、特に発熱を伴う粘膜疾患から2日以内または側腹部痛を伴う場合は本症を考える。
【尿沈渣】
糸球体性血尿で変形赤血球と赤血球円柱、赤血球と顆粒の混合円柱、白血球円柱を認める。
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