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疾患解説

フリガナ ヨウケツセイニョウドクショウショウコウグン
別名
臓器区分 小児疾患
英疾患名 Hemolytic Uremic Syndrome(HUS)
ICD10 D59.3
疾患の概念 溶血性貧血、血小板減少、尿毒症を3主徴とする急性の劇症疾患で、腎の糸球体内皮細胞傷害と血栓性微小血管炎が本体である。感染性、薬物性、症候性、遺伝性に分類されているが、腸管出血性大腸炎(O157:H7)が原因のことが多い。HUSは、非免疫性の血小板破壊があり、血小板とフィブリンの緩んだ鎖が、小血管に沈着し、通過する血小板と赤血球に損傷を与えるので、血小板減少症および貧血を引き起こす。4歳以下の乳幼児に好発し、殆どの症例は、大腸菌 O157:H7と腸管出血性大腸菌による急性出血性大腸炎後に発症する。成人では、多くの症例が特発性であるが、シクロスポリン、マイトマイシンC、妊娠、大腸菌O157:H7または大腸菌O104:H4による出血性大腸炎も原因となる。
診断の手掛 発熱、血小板減少による症状、溶血による貧血症状を呈する患者を診たら本症を疑う。重度の虚血による意識障害、腹痛、心筋虚血による不整脈が顕在化することもある。
【診断基準:2012年日本小児腎臓病学会】
A.3主徴:1.溶血性貧血(破砕状赤血球を伴う貧血でHb10g/dL未満。2.血小板減少(血小板数15万/μL未満。3.急性腎障害(血清クレアチニン値が年齢・性別基準値の1.5倍以上)。
B.随伴症状:1.中枢神経:意識障害、痙攣、頭痛、出血性梗塞など。2.消化管:下痢、血便、腹痛、重症では腸管穿孔、腸狭窄、直腸脱、腸重積など。3.心臓:心筋障害による心不全。4.膵臓:膵炎。5.DIC
参考1:溶血性貧血によるLDの著明な上昇、ハプトグロビン低下、ビリルビン上昇を伴うが、クームス試験は陰性である。
参考2:血清O157LPS抗体、便O157抗原や便志賀毒素の迅速診断検査、便からの腸管出血性大腸菌の分離などを確定診断の補助とする。
主訴 意識障害|Memory impaiment
咽頭痛|Pharyngodynia
黄疸|Jaundice
嘔吐|Vomiting
悪心|Nausea
痙攣発作|Seizures/Convulsion/Convulsive seizure
血便|Bloody stool/Hemorrhagic stool/Hematochezia
下痢|Diarrhea
昏睡|Coma
昏迷|Stupor
紫斑|Purpura
出血傾向|Bleeding tendency/Hemorrhagic diathesis
消化管出血|Gastrointestinal bleeding
心悸亢進|Cardiopalmus
着色尿|Chromaturia
点状出血|Petechiae
発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever
皮下出血|Bruise/Subcutaneous bleeding
皮膚蒼白|Paling of skin
貧血症状|Anemic symptom
腹痛|Abdominal pain
ヘモグロビン尿|Hemoglobinuria
乏尿|Oliguria
無尿|Anuria
鑑別疾患 血小板減少症|Thrombocytopenia
血栓性血小板減少性紫斑病|Thrombotic Thrombocytopenic Purpura(TTP)
腎機能障害
播種性血管内凝固症候群|Disseminated Intravascular Coagulation(DIC)
貧血
スクリーニング検査 Albumin|アルブミン [/S]
Creatinine|クレアチニン [/S]
Erythrocytes|赤血球数 [/B]
GFR|糸球体濾過量 [/U]
Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B]
Leukocytes|白血球数 [/B]
Monocytes|単球 [/B]
Neutrophils|好中球 [/B]
Platelets|血小板 [/B, /B]
Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/S, /U]
α1-Globulin|α1-グロブリン [/S]
α2-Globulin|α2-グロブリン [/S]
γ-Globulin|γ-グロブリン [/S]
異常値を示す検査 Amino-terminal Propeptide of Type III Procollagen [/S]
Anti-Endothelial Cell Antibodies|抗内皮細胞抗体 [/S]
Antibodies to O157 Lipopolysaccharide [/S]
Anticardiolipin-specific IgA Antibodies [/S]
Anticardiolipin-specific IgG Antibodies [/S]
Anticardiolipin-specific IgM Antibodies [/S]
Burr Cell|バーセル/いがぐり状赤血球 [/B]
Endothelin|エンドセリン [/U]
Endothelin-1|エンドセリン [/U]
Escherichia Coli O157 Antigen|大腸菌O157抗原 [Positive/Feces]
Interleukin-1β|インターロイキン-1β [/S]
Interleukin-6|インターロイキン-6 [/S, /U]
Interleukin-8|インターロイキン-8 [/S, /U]
LPS Antibody of Escherichia Coli O157|病原性大腸菌O157LPS抗体/抗病原性大腸菌O157LPS抗体 [Positive/S]
Monocyte Chemotactic Protein-1 [/S, /U]
Platelet Activating Factor|血小板活性化因子 [/U]
Soluble E-Selectin|可溶性E-セレクチン/可溶性CD62E/可溶性ELAM-1 [/S]
Soluble Fas Antigen [/S]
Soluble Fas Ligand Antigen [/S]
Soluble Tumor Necrosis Factor Receptor-p55 [/S]
Soluble Tumor Necrosis Factor Receptor-p75 [/S]
Soluble Vascular Cell Adhesion Molecule-1|可溶性VCAM-1/可溶性CD106/可溶性血管細胞接着分子-1 [/S]
Thrombomodulin|トロンボモジュリン [/P]
Tumor Necrosis Factor-α|腫瘍壊死因子-α [/S]
Urea|尿素 [/S]
von Willebrand Factor|フォンウィルブランド因子活性/リストセチン・コファクター活性 [/P]
α1-Antitrypsin|α1-アンチトリプシン [/F]
関連する検査の読み方 【CBC】
血小板は10万/μL以下に減少する。診断に必須の検査である。溶血性貧血がみられHbは10g/dL以下になる。多染性赤血球、網赤血球が増加する。毛細血管性溶血を示す赤血球破砕像が認められる。白血球は増加する。血小板は100,000/μL以下になる。
【血液像】
分裂赤血球、断片化赤血球、三角型赤血球、ヘルメット細胞を認める。
【溶血所見】
網状赤血球増加、ハプトグロビン減少、LD増加が見られる。
【クレアチニン】
初期から上昇が見られる。
【Coombs試験】
陰性である。直接クームス試験/直接抗グロブリン試験は赤血球表面に結合している免疫グロブリンや補体を検出する検査で、自己免疫性溶血性貧血、血液型不適合妊娠による新生児溶血性疾患、血液型不適合輸血などの患者赤血球に結合している免疫グロブリンや補体の検出を目的とする。臨床的には溶血所見が認められ自己免疫性溶血性貧血が疑われるとき、溶血性輸血副作用が疑われるとき、新生児溶血性疾患が疑われるときに実施される。陽性の場合は直接モノスペシフィッククームス試験を行い、赤血球に結合しているのがIgGか補体(C3あるいはC4)かを明らかにする。また、解離同定試験を行い原因抗体の型特異性を同定する。
【FDP】
増加する。血栓性血小板減少性紫斑病を発症するとvWF-リストセチン・コファクター活性が低下する。
【病原性大腸菌O157LPS抗体】
陽性である。直接クームス試験/直接抗グロブリン試験は赤血球表面に結合している免疫グロブリンや補体を検出する検査で、自己免疫性溶血性貧血、血液型不適合妊娠による新生児溶血性疾患、血液型不適合輸血などの患者赤血球に結合している免疫グロブリンや補体の検出を目的とする。臨床的には溶血所見が認められ自己免疫性溶血性貧血が疑われるとき、溶血性輸血副作用が疑われるとき、新生児溶血性疾患が疑われるときに実施される。陽性の場合は直接モノスペシフィッククームス試験を行い、赤血球に結合しているのがIgGか補体(C3あるいはC4)かを明らかにする。また、解離同定試験を行い原因抗体の型特異性を同定する。
【大腸菌O157抗原】
陽性である。腸管毒素性大腸菌はO157,O111,O128,O145などの血清型があるが60~80%はO157が占めている。O157の多くの菌種はベロトキシンを産生するため、下痢、腹痛、血便、嘔吐などの消化器症状を訴える患者はこの検査を積極的に行う。臨床的には大腸菌O157が確認されたらEHECを疑いベロトキシン産生の有無を検査し、ベロトキシンによる溶血性貧血や腎不全の症状が現れていないか注意深く観察する。
【大腸菌ベロトキシン】
検出は診断に有用である。腸管出血性大腸菌はベロ毒素産生大腸菌とも呼ばれ、ベロトキシンと呼ばれる毒素を産生する。この毒素は激しい腹痛と血便を起こし、重症化すると溶血性尿毒症症候群や脳症を引き起こす。この菌は極めて高い感染力を持ち、約50個の菌で感染が成立するといわれる。臨床的には激しい腹痛を伴う鮮血便を見た場合に検査を行う。
【腸管病原性大腸菌(EPEC)】
腸管出血性大腸菌(EHEC)を検出する。
【糞便ベロトキシン産生大腸菌】
陽性なら診断が確定する。
【尿一般検査】
蛋白尿、ヘモグロビン尿を認める。
【尿沈渣】
赤血球、尿細管上皮細胞、顆粒もしくは硝子円柱尿を認める。
【診断の確定:小児のベロトキシン産生大腸菌感染】
1)破砕赤血球を伴う溶血性貧血(ヘモグロビン10g/dL以下)、2)血小板減少(10万/μL以下)、3)急性腎機能不全(クレアチニン値が健常時の1.5倍以上)。
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