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疾患解説

フリガナ ヒャクニチゼキ
別名 百日咳菌感染症
臓器区分 感染性疾患
英疾患名 Whooping Cough
ICD10 A37.9
疾患の概念 グラム陰性小桿菌(Bordetella pertussis)による急性上気道感染症で、発熱無しに長期間咳が持続する臨床的特徴がある。咳は百日咳毒素や線維状血球凝集素などによる特有の痙攣性咳発作(痙咳発作)である。患者は、2歳未満の乳幼児が殆どで、成人は保菌者となる。感染は、カタル期と痙咳期早期の患者からのエアロゾルを介した伝播で、濃厚接触者の80%以上が発症する。汚染物との接触による感染は稀で、痙咳期の3週目より後の患者は感染源とならない。百日咳の合併症は呼吸器疾患が最も多く、中耳炎もしばしば見られる。呼吸器疾患は、年齢を問わず気管支肺炎が特に高齢者に多く重症化する。痙攣発作は、乳児でよく見られるが、年長の小児では稀である。重度の発作による低酸素症で、脳、眼、皮膚、粘膜への出血が起こることがある。脳出血、脳浮腫および百日咳菌毒素による脳炎は、痙性麻痺、知的障害、その他の神経学的障害を来すことがある。5類感染症である。
診断の手掛 1~2週間(最大3週間)の潜伏期を置いて、カタル期、痙咳期、回復期と進み全経過は、6~12週である。1~2週持続する鎮咳薬で軽快せず、むしろ咳が悪化する患者を診たら本症を疑う。長く高調の”ヒュー”という鶏鳴様吸気(笛声)で終わる発作性または痙攣性の咳が特徴的である。カタル期は、潜行性に始まり、くしゃみ、流涙、鼻感冒の徴候、食欲不振、元気のなさ、夜間の乾性咳嗽などが見られるが、発熱は稀である。痙咳期は、10~14日後で、咳嗽の重症度が増し頻度が増加する。1回の呼気の間に立て続けに5回以上の咳嗽が連続して起こり、最後に深い吸気とともに高調の笛声であるwhoopが聴かれる。発作中または発作後に大量の粘稠な粘液が喀出され、同時に嘔吐が見られる。乳児では、吸気性笛声よりも窒息発作がよく見られる。発症から4週間以内に回復期になり、症状は軽快するが、発作性の咳嗽が数カ月に亘り続くことがある。
主訴 嘔吐|Vomiting
悪心|Nausea
乾性咳|Dry cough
顔面浮腫|Facial edema
吸気性笛声|Squawk/Inspiratory wheeze
痙攣性咳|Spasmoid cough
結膜出血|Conjunctival hemorrhage
食欲不振|Anorexia
咳|Cough
痰|Sputum
笛声|Weezing
百日咳顔貌|Pertussis facies
発作性咳|Paroxysmal cough
鑑別疾患 RSウイルス感染症
クラミジア感染症
パラ百日咳
マイコプラズマ感染症|Mycoplasma Infection
リンパ球増多症
気管支炎|Bronchitis
インフルエンザ|Influenza
アデノウイルス感染症|Adenovirus Infections
結核
気管支肺炎
中耳炎|Otitis Media
脳出血
脳浮腫
中毒性脳炎
スクリーニング検査 Leukocytes|白血球数 [/B]
Lymphocytes|リンパ球 [/B]
異常値を示す検査 Agglutination Tests [Positive/S]
Bordetella Pertussis Antibody|百日咳抗体/抗百日咳抗体 [/S]
Bordetella pertussis DNA|百日咳菌核酸/百日咳菌DNA [Positive/Nasal swabs]
Complement Fixation [/S]
Neutralizing Antibodies [/S]
関連する検査の読み方 【CBC】
白血球が15,000~20,000/μL以上に著増し、リンパ球が60~80%と優位で、絶対数が増加する。
【CD3】
増加する。
【CRP】
陰性である。
【百日咳菌核酸】
この検査は百日咳菌感染が疑われる患者の早期診断の目的で行われる。診断は発症から4週までが可能であり、感度79.0%、特異度100%、正診率91.2%とされている。7日以上の咳があり、1.発作性の咳き込み、2.吸気性笛声、3.咳き込み嘔吐の何れか一つ以上を伴う場合は臨床的に百日咳を強く疑う。
【T細胞】
増加する。
【百日咳抗体】
陽性である。百日咳菌は気道の線毛細胞に付着し、百日咳毒素を産生し激しい咳を引き起こす。WHOの診断基準では 1.21日以上の痙咳発作 2.百日咳毒素抗体価上昇または線維状赤血球凝集素抗体上昇 3.百日咳確定の家族との接触のいずれか一つがあれば診断可能としている。百日咳菌の分離・培養は最も確実であるが、実際の菌陽性率は成人で10%以下のため、抗体価測定が用いられている。
【鼻咽喉ぬぐい液百日咳菌培養】
診断法としては最も確実で、カタル期および痙咳期初期症例では、80~90%の陽性率である。培養にはボルデー・ジャング培地を用いる。
【鼻咽頭塗抹標本】
特異的蛍光抗体検査は感度が培養には劣るが、有用な診断的検査である。
検体検査以外の検査計画 胸部x線検査

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