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疾患解説

フリガナ インフルエンザ
別名
臓器区分 感染性疾患
英疾患名 Influenza
ICD10 J11.1
疾患の概念 インフルエンザウイルスA,B,Cにより発熱、鼻感冒、咳嗽、頭痛および全身倦怠感を引き起こす呼吸器感染症で、頻度はA,B,Cの順に多く、重症度もこの順になる。伝播力が強く、寒冷、乾燥などの環境因子や脱水、疲労などの個体条件が誘因になる。流行期には施設入所者、高齢者、心肺機能不全患者、妊娠後期の妊婦などのハイリスク患者では死亡例もある。病原性は抗原シフトと抗原ドリフトの2種類の概念がある。抗原シフトはヘマグルチニンもしくはノイミラニダーゼの変異によるウイルスの変化で、抗原ドリフトは1つのウイルス系統の抗原の微小変化である。5類感染症なので、週単位で纏めて届出する。
診断の手掛 流行期に潜伏期間は1~4日、平均約48時間で突然発症する悪寒戦慄、発熱、頭痛、腰痛、全身倦怠感、疼痛を訴える患者を診たら本症を疑う。患者は発症の時期をはっきりと覚えていることが多い。疼痛は腰部、背部、下肢に起こり、頭痛は眼球後部のうずきを伴うことが多い。呼吸器症状は最初は軽度で、ヒリヒリする咽頭痛、胸やけ、乾性咳嗽および鼻感冒を伴うことがあり、その後は下気道疾患が優勢になり咳嗽が続き、発声がかすれてきて痰を伴うようになる。消化管症状を認めることもある。小児では顕著な悪心、嘔吐または腹痛が見られることがあり、乳児は敗血症様症候群を呈しうる。発症後2~3日で急性症状は治まるが、発熱は5日間ほど続くことが多い。咳嗽、筋力低下、発汗および易疲労感は数日間、ときに数週間持続することがある。インフルエンザA型またはB型では、まれに脳炎、心筋炎およびミオグロビン尿症、腎不全を発症する。ライ症候群は脳症、脂肪肝と肝酵素、アンモニアまたはその両方の上昇、低血糖および高脂質血症を特徴とする病態で、インフルエンザB型の流行中に、特にアスピリンを摂取した小児でしばしば発症するので注意する。
主訴 嘔吐|Vomiting
悪寒戦慄|Chill with shivening
悪心|Nausea
下肢痛|Calf pain
関節痛|Arthralgia
胸痛|Chest pain
筋肉痛|Myalgia
下痢|Diarrhea
高熱|High fever/Hyperthermia
頭痛|Headache/Cephalalgia
咳|Cough
全身倦怠感|General malaise/Fatigue
痰|Sputum
背部痛|Backache
発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever
腹痛|Abdominal pain
腰痛|Low back pain/Lumbago
鑑別疾患 かぜ症候群
肺炎|Pneumonia
薬物アレルギー
膠原病
血管炎症候群|Vasculitic Syndrome
急性呼吸器感染症
スクリーニング検査 Albumin|アルブミン [/U]
Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S]
Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S]
Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S]
Creatine Kinase|クレアチンキナーゼ/クレアチンホスホキナーゼ [/S]
C-reactive Protein|C反応性蛋白 [/S]
Fibrinogen|フィブリノゲン/凝固第I因子 [/P]
Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B]
Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/P]
Leukocytes|白血球数 [/B, /B]
Lymphocytes|リンパ球 [/B, /B]
Neutrophils|好中球 [/B, /B]
Platelets|血小板 [/B]
Rheumatoid Factor|リウマチ因子測定/RAゼラチン凝集反応/リウマチ因子定量 [/S]
異常値を示す検査 Amyloid A Protein|血清アミロイドA蛋白/アポSAA/アミロイドA蛋白 [/S]
Complement Fixation [/S]
Erythrocyte Survival|赤血球寿命 [/RBC]
Factor II|第II因子活性/プロトロンビン [/P]
Factor IV|第IV因子活性/フリーCaイオン [/P]
Hemagglutination Inhibition [/S]
Influenza Virus Antigen [Positive/S]
Neutralizing Antibodies [/S]
Prothrombin Consumption [/B]
関連する検査の読み方 【CBC】
白血球数は減少する。
【CRP】
細菌感染を合併しない限りは増加しない。
【インフルエンザ迅速診断】【インフルエンザウイルス抗原】
EIA法で10分程度でAとB型が確定できる。インフルエンザウイルスはA、B、Cの3種類あるが、毎年冬期に流行を繰り返すのはA型とB型である。最近、迅速診断キットが開発され日常検査として頻用されている。ただしこの検査法は10,000~1,000,000pfu/assayの検出限界があり、一定以上のウイルス量ではじめて陽性になることに注意する。またインフルエンザウイルスの排泄は発症後1~2 日がピークであることも留意すべきである。
【インフルエンザウイルス抗体】
ペア血清を用いて2週目以降に測定するため、時間的に有用性は低い。インフルエンザウイルスは抗原性の違いによりA、B、Cの3型に分類されるが、日常臨床でのインフルエンザ感染症はA型、B型の2種であり、A型の香港型(H3N2)、ソ連型(H1N1)とB型がヒトに感染を繰り返している。臨床的にはA型、B型インフルエンザ感染が疑われる場合とインフルエンザワクチンの有効性の評価に用いられる。検体は急性期と回復期の2本の血清をペア血清とする。ただし、急性期の診断は抗原検出迅速診断キットを用いる。
【ウイルス培養】
鼻汁、咽頭スワブ、うがい液を検体とするが迅速性に乏しい。
【尿蛋白】
陽性になることがある。
検体検査以外の検査計画 胸部X線検査、心電図検査、心超音波検査、頭部CT検査

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