疾患解説
フリガナ | キカンシエン |
別名 |
慢性気管支炎 急性気管支炎 |
臓器区分 | 呼吸器疾患 |
英疾患名 | Bronchitis |
ICD10 | J40 |
疾患の概念 | 細菌、ウイルス、アレルギー、喫煙、大気汚染などによる気管支粘膜の炎症で、急性と慢性に分けられる。病理学的には、気管支粘膜の炎症所見(浮腫、充血)や気管支粘液の増加を認める。通常は、コロナウイルス、ライノウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルスが原因である。 |
診断の手掛 | 急性気管支炎は、乾性または湿性咳、発熱などの下気道症状で発症し、細菌感染を合併すると膿性痰が見られる。慢性気管支炎は、咳と痰が少なくとも3ヶ月以上に亘って持続するか、または2冬以上に見られることが診断条件である。 |
主訴 |
息切れ|Shortness of breath/Breathlessness 乾性咳|Dry cough 胸痛|Chest pain 呼吸困難|Dyspnea 湿性咳|Wet cough 咳|Cough 痰|Sputum 膿性痰|Purulent sputum 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever |
鑑別疾患 |
アレルギー|Allergy 化学物質過敏症 気管支拡張症|Bronchiectasis 気管支喘息 上気道感染症 びまん性汎細気管支炎 慢性閉塞性肺疾患|Chronic Obstructive Pulmonary Disease(COPD) |
スクリーニング検査 |
CEA|癌胎児性抗原 [/S] Eosinophils|好酸球 [/B, /Sputum] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Leukocytes|白血球数 [/B] Neutrophils|好中球 [/B] Rheumatoid Factor|リウマチ因子測定/RAゼラチン凝集反応/リウマチ因子定量 [/S] |
異常値を示す検査 |
Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/S] Bordetella pertussis DNA|百日咳菌核酸/百日咳菌DNA [Positive/Nasal swab] Carbon Dioxide Partial Pressure|動脈血CO2分圧/炭酸ガス分圧/CO2分圧/PCO2/PaCO2 [/B] Cells [/Sputum] Copper|銅 [/S] Endothelin-1|エンドセリン [/BAL Fluid] Influenza Virus antigen|インフルエンザウイルス抗原/ノイラミニダーゼ/インフルエンザ迅速診断 [/S] Mucin-associated Antigen|ムチン様癌関連抗原 [/S] Oxygen Partial Pressure|動脈血O2分圧/酸素分圧/O2分圧/PO2 [/B] Oxygen Saturation|酸素飽和度/O2飽和度 [/B] pH|尿pH [/B, /B] Zinc|亜鉛 [/S] α1-Antichymotrypsin|α1-アンチキモトリプシン [/S] |
関連する検査の読み方 |
【気管支肺胞洗浄液一般検査】 リンパ球が増加する。 【インフルエンザ迅速診断】 除外診断のために行うことが望ましい。インフルエンザウイルスはA、B、Cの3種類あるが、毎年冬期に流行を繰り返すのはA型とB型である。最近、迅速診断キットが開発され日常検査として頻用されている。ただしこの検査法は10,000~1,000,000pfu/assayの検出限界があり、一定以上のウイルス量ではじめて陽性になることに注意する。またインフルエンザウイルスの排泄は発症後1~2 日がピークであることも留意すべきである。 【百日咳菌核酸】 成人で2週間以上咳が続いていいれば鼻咽頭液の培養か、核酸検査を行う。百日咳菌核酸検査は百日咳菌感染が疑われる患者の早期診断の目的で行われる。診断は発症から4週までが可能であり、感度79.0%、特異度100%、正診率91.2%とされている。7日以上の咳があり、1.発作性の咳き込み、2.吸気性笛声、3.咳き込み嘔吐の何れか一つ以上を伴う場合は臨床的に百日咳を強く疑う。 【急性気管支炎】 特異的な検査所見はない。細菌感染が合併すると白血球増多、CRP高値などの炎症所見を認める。 【慢性気管支炎】 喀痰の性状、1日量、細菌培養などを行う。呼吸機能検査は異常を認めないことが多く、あっても軽度である。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査、胸部CT検査、呼吸機能検査、心電図検査、パルスオキシメトリー |