疾患解説
フリガナ | ホウセンキンショウ |
別名 | アクチノミセス症 |
臓器区分 | 感染性疾患 |
英疾患名 | Actinomycosis |
ICD10 | A42.9 |
疾患の概念 | 口腔内、結腸、腟に常在する偏性嫌気性グラム陰性桿菌であるイスラエル放線菌(Actinomyces israelii)による亜急性ないし慢性の化膿性肉芽性疾患で、限局性または血行性感染症である。膿汁内に1~2mmの菌塊(イオウ顆粒)を認める。原因菌であるActinomyces.israeliiは、歯肉、扁桃および歯に常在しているが、感染例の多くは、複数菌によるもので、病変部からは、口腔嫌気性菌、ブドウ球菌、レンサ球菌、Aggregatibacter属が高頻度に培養される。 |
診断の手掛 | 限局性の排膿洞を伴う膿瘍、結核様肺炎、軽度の敗血症など、原因不明の血行性感染を疑わせる症状を訴える患者を診たら本症を疑う。特徴的な病変は、周囲を肉芽組織に取り囲まれた、互いに交通のある複数の小さな膿瘍から構成される硬結である。病変部は、皮膚につながる瘻孔を形成し、そこから円形または球形、黄色で、直径1mm以下の硫黄顆粒を含む膿性分泌物が排出されるので見逃さない。顔面放線菌症は、顔面に発赤、腫脹、疼痛、板状硬結、瘻孔が見られ、腹部放線菌症は、回盲部、虫垂、S状結腸に腫瘤と炎症症状が見られる。 |
主訴 |
顔面腫脹|Swelling of face 顔面発赤|Facial flare 咳|Cough 痰|Sputum 膿性痰|Purulent sputum 膿瘍|Abscess 微熱|Low grade fever/Febricula 腹部腫瘤|Abdominal tumor/Abdominal mass 瘻孔|Fistula |
鑑別疾患 |
肺ノカルジア症 肺化膿症 肺真菌症 肺結核|Pulmonary Tuberculosis 肺癌|Lung Cancer |
スクリーニング検査 |
Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S] Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S] Leukocytes|白血球数 [/B] Urea Nitrogen|尿素窒素 [/S] γ-Glutamyltranspeptidase|γ-グルタミルトランスペプチダーゼ/γ-グルタミルトランスフェラーゼ [/S] |
異常値を示す検査 | Oxygen Partial Pressure|動脈血O2分圧/酸素分圧/O2分圧/PO2 [/B] |
関連する検査の読み方 |
【喀痰】【膿汁】【生検】 特異の硫黄顆粒(直径1mm以下の黄色、円形または球形の塊)や細菌性線維の塊として認められる放線菌を確認する。口腔内常在菌のため喀痰から分離されただけでは診断できない。 【免疫蛍光検査】 菌の培養は通常5~7日を要するため、培養法に変わる有力な診断法である。 【イオウ顆粒】 細菌性繊維の塊で、周囲は放射状、棍棒状、硝子質の外層に囲まれている。グラム染色は要請で、組織内ではHE染色陽性である。喀痰、気管支洗浄液、腟分泌物から菌を同定しても、イオウ顆粒の存在が確認されなければ診断的意義は少ない。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査、腹部CT検査、腹部超音波検査 |