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疾患解説

フリガナ キュウセイニョウサイカンエシ
別名
臓器区分 腎・泌尿器疾患
英疾患名 Acute Tubular Necrosis(ATN)
ICD10 N17.0
疾患の概念 急性尿細管壊死は、急性尿細管細胞損傷および機能障害を特徴とする腎障害である。低血圧による腎血流障害や、敗血症、腎毒性薬物などにより、近位尿細管を中心とする尿細管細胞の壊死と変性を来す病態で、壊死により老廃物の排泄、水・電解質調節、酸塩基平衡の維持などが障害される。原因となる腎毒性物質は、アミノグリコシド系薬剤、アムホテリシンB、シスプラチン、造影剤、NSAIDsなどである。この他、大きな手術、体表面積の15%を超えるⅢ度熱傷、ミオグロビンやヘモグロビンなども原因となる。腎不全を発症しなければ無症候性である。Na分画排泄率>1%である。
診断の手掛 低血圧イベントまたは薬物・毒物暴露後に高窒素血症を発症したら本症を疑う。治療上は、腎前性高窒素血症との鑑別が重要であり、血清クレアチニン値がベースラインより0.5mg/dL/日以上の上昇で発症が推測できる。ただし、クレアチニン値の上昇は静注造影剤の使用でも1~2日後に生じることがあり、アミノグリコシド系薬剤では、さらに遅延する可能性があるので注意する。ATNは通常無症候性であるが、急性腎障害の症状を引き起こす場合があり重度の場合は、最初は乏尿を呈するので注意する。この疾患は既存の慢性腎臓病、糖尿病、循環血流量または血流量の減少のある患者、高齢者に発症する可能性が高い。
主訴 嘔吐|Vomiting
悪心|Nausea
痙攣発作|Seizures/Convulsion/Convulsive seizure
高血圧|Hypertension
昏睡|Coma
昏迷|Stupor
紫斑|Purpura
出血傾向|Bleeding tendency/Hemorrhagic diathesis
食欲不振|Anorexia
全身倦怠感|General malaise/Fatigue
体重増加|Obesity
肥満|Obesity/Adiposity
貧血症状|Anemic symptom
浮腫|Edema/Dropsy
乏尿|Oliguria
無尿|Anuria
鑑別疾患 低血圧症|Hypotension
薬剤性腎障害
脱水症|Dehydration
糖尿病|Diabetes Mellitus
腎前性高窒素血症
水銀中毒
放射線障害|Radiation Injury
薬剤(アミノ配糖体系抗生物質、アムホテリシン、シスプラチン、放射線造影剤、ハーブ、エチレングリコール)
スクリーニング検査 Creatinine|クレアチニン [/S]
Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/U]
異常値を示す検査 CD45 Leukocytes|CD45 [/Tissue]
Creatinine Clearance|クレアチニンクリアランス [/U]
Endothelin-1|エンドセリン [/P]
Erythropoietin|エリスロポエチン [/S]
Hepatocyte Growth Factor|肝細胞増殖因子 [/U]
Intercellular Adhesion Molecule-1|CD54 [/Tissue]
Monocyte Chemotactic Protein-1 [/S, /U]
NAG|N-アセチルβ-D-グルコサミニダーゼ活性(尿)/尿中NAG活性 [/U]
Soluble Intercellular Adhesion Molecule-1|可溶性ICAM-1/可溶性CD54/細胞接着分子-1 [/U]
α1-Microglobulin|α1-ミクログロブリン/α1-マイクログロブリン [/U]
β2-Microglobulin|β2-ミクログロブリン/β2-マイクログロブリン [/U]
関連する検査の読み方 【UN:クレアチニン比】
UNが突然増加が進行し、10-15:1になる。尿素窒素:クレアチニン比は腎障害や尿素窒素値が高値の場合の評価に用いる。この検査は腎障害の把握に関しては、尿素窒素とクレアチニンをそれぞれ単独に測定した場合よりも鋭敏である。
【クレアチニンクリアランス】
低値である。
【クレアチニン】
上昇率は0.3~0.5mg/dL/日である。
【尿:血清クレアチニン比】
20以下である。
【Na】
尿Naが40mEq/L以上である。腎前性急性腎不全は20mEq/L以下なので鑑別できる。
【ナトリウム排泄率】
乏尿型、非乏尿型ともに2%以上である。腎で濾過されたNaと排泄されたNaの比率を示す。Naは正常では尿細管で99%以上再吸収されるので、尿への排泄量は1%以下となる。腎不全や急性尿細管壊死ではNaの再吸収障害により尿中へのNaの排泄量が増加する。
【尿中NAG活性】
著しく増加する。NAGは近位および遠位尿細管や集合管細胞内のライソゾームに含まれる酵素で、尿細管から排泄されるので、尿細管障害の程度を見るために測定される。臨床的には腎毒性のあるアミノグリコシド系抗生剤や重金属などによる尿細管障害の早期発見、腎疾患の診断・経過観察、糖尿病性腎症の早期発見などに用いる。
【α1-マイクログロブリン】
尿中に著しく増加する。α1-MGは肝で産生される糖蛋白で、糸球体で濾過され近位尿細管で再吸収される分子量約3万の低分子蛋白である。血中では遊離マイクログロブリンと、IgAと結合した高分子マイクログロブリンが半々の割合で存在する。血中濃度は糸球体の濾過と尿細管の再吸収で左右され、GFRを良く反映するため、尿細管機能の評価に用いられる。
【β2-マイクログロブリン】
高度に増加する。β2mは全ての有核細胞の膜抗原を構成しているが、細胞から遊離すると糸球体を通過し近位尿細管で再吸収され分解される。この蛋白の異化経路の大部分は腎を経由するため、腎の排泄機能が低下すると、他の低分子蛋白よりも著しく血中濃度が増加する。また、血中濃度はGFRと良く相関するので、GFRに代用されることもある。臨床的には腎障害部位の推測や腎疾患活動性の推定に用いる。
【尿浸透圧】
<450mOsm/kgになる。
【非乏尿型】
尿Naが通常40mEq/L以上であるが、20mEq/L以下のこともある。
【乏尿型】
尿浸透圧が350mOsm/kg以下、尿Naは20mEq/L以上である。
【尿沈渣】
尿細管上皮細胞、上皮円柱、不透明褐色の顆粒円柱、顆粒成分を含むろう様円柱などを認める。
検体検査以外の検査計画 腎超音波検査、心電図検査、胸部X線検査
疾患

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