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疾患解説

フリガナ ホウシャセンショウガイ
別名
臓器区分 救急疾患
英疾患名 Radiation Injury
ICD10 T66
疾患の概念 放射線障害は、急性放射線障害症候群と晩発影響に分けられる。急性放射線症候群は全身にほぼ1Gy以上の放射線を被曝したときに現れる骨髄障害、消化管障害、皮膚障害などによる症状の総称である。晩発影響は数ヶ月~数年後、時には数十年後に中枢神経障害、末梢神経障害を発症し徐々に進行する。
診断の手掛 放射線照射後に照射部に紅斑、脱毛、皮膚紅斑などを認めたら本症を疑う。症状は被曝が全身に及ぶか、局所に限定されたかによって大きく異なる。被曝の既往が診断の手掛りになるので、病歴聴取は重要である。高線量の放射線を受けた後には、脳血管症候群、消化管症候群、造血器症候群を発症する。脳血管症候群は、30Gyを超える高い全身被曝線量を受けた場合の臨床像で、常に死に至る。前駆症状は、被曝後数分以内~1時間に発現し、振戦、痙攣発作、運動失調、脳浮腫を発症し、数時間~1または2日以内に死亡する。消化管症候群は、6~30Gyの全身被曝線量を受けた後の臨床像で、顕著な前駆症状が約1時間以内に出現し、2日以内に消失する。4~5日の潜伏期間中に、消化管粘膜細胞が死滅するため、難治性の悪心、嘔吐、および下痢が現れ、重度の脱水と電解質平衡異常、血漿量減少、血管虚脱が見られる。造血器症候群は、1~6Gyの全身線量約受けた後の臨床像で、全身性の汎血球減少が見られる。軽度の前駆症状が、被爆1~6時間後に始まり、24~48時間持続する。骨髄幹細胞が著しく減少するが、血中の成熟血液細胞は殆ど影響を受けない。しかし、リンパ球は例外で、被曝後、数時間から数日以内にリンパ球減少症を発症することがある。好中球減少症と抗体産生の低下により感染症のリスクが増加する。血小板が減少するので、点状出血および粘膜出血が3~4週間以内に見られ、数カ月持続する。生存者は、白血病を含む放射線誘発癌の発症率が高いので長期にわたる定期検査が必要である。
主訴 運動失調|Ataxia
嘔吐|Vomiting
悪心|Nausea
片麻痺|Hemiplegia
感覚障害|Sensory disturbance
眼球運動障害|Eye movement disturbance
言語障害|Language disorder/Allophasis
構音障害|Dysarthria
紅斑|Erythema/Rubedo
脱毛|Alopecia
鑑別疾患 貧血
熱傷
下痢症|Diarrhea
皮膚癌|Skin Cancer
肺炎|Pneumonia
白内障
不妊症
スクリーニング検査 Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S]
Amylase|アミラーゼ [/S]
Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S]
Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S]
Eosinophils|好酸球 [/B]
Erythrocytes|赤血球数 [/B]
Ferritin|フェリチン [/S]
Fibrinogen|フィブリノゲン/凝固第I因子 [/P]
Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B]
Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B]
Leucine Aminopeptidase|ロイシンアミノペプチダーゼ [/U]
Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S]
Leukocytes|白血球数 [/B, /B]
Lymphocytes|リンパ球 [/B]
Neutrophils|好中球 [/B, /B]
Platelets|血小板 [/B]
Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/U]
Urea Nitrogen|尿素窒素 [/S]
Uric Acid|尿酸 [/S, /U]
γ-Globulin|γ-グロブリン [/S]
異常値を示す検査 Citrulline|シトルリン [/P]
Creatine|クレアチン [/U]
Deoxycytidine|デオキシシチジン [/U]
Factor VIII|第VIII因子活性/抗血友病因子 [/P]
Granulocyte Colony Stimulating Factor|顆粒球コロニー刺激因子 [/S]
Interleukin-6|インターロイキン-6 [/S]
Lysozyme|リゾチーム/ムラミダーゼ/ムコペプタイド/グリコヒドロラーゼ [/U]
Ornithine Carbamoyl Transferase|オルニチンカルバミルトランスフェラーゼ [/S]
Properdin|プロパジン [/P]
Reticulocytes|網赤血球/レチクロサイト/網状赤血球数 [/B]
Taurine|タウリン/アミノエチルスルホン酸 [/U]
β-Aminoisobutyric Acid [/P]
関連する検査の読み方 【CBC】
1Gy以上の被曝による急性放射線障害では、リンパ球の経時的な減少から始まり、続いて白血球、血小板が減少する。急性被曝後に白血球分画とリンパ球絶対数の算出を含む血算を行い、最初の放射線量および予後を推定するために、被曝から24,48,および72時間後に測定を繰り返し行う。
【アミラーゼ】
被曝後数日間は、血中と尿中の唾液腺由来のアミラーゼが増加する。大量の放射線被曝では、24時間後から血清アミラーゼ値が線量に依存して上昇し始めるため、ベースライン時とその後毎日測定する。
【CRP】
CRPは線量に応じて増加するので、最小限の被曝患者と大量被曝患者の鑑別に有用である。
【シトルリン】
血漿シトルリン値の低下は消化管損傷を示す。
【血中fms関連チロシンキナーゼ3リガンド値】
FLT-3は造血系損傷のマーカーである。
【インターロイキン-6】
このマーカーは高い放射線量で増加する。
【顆粒球コロニー刺激因子】
高い放射線量で値が増加する。
検体検査以外の検査計画 MRI検査、筋電図検査

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