疾患解説
フリガナ | ダッスイショウ |
別名 | |
臓器区分 | 救急疾患 |
英疾患名 | Dehydration |
ICD10 | E86 |
疾患の概念 | 体液量が減少した状態で、水とNaが喪失する。水が欠乏した水分欠乏性脱水(高張性脱水)、Naが欠乏した食塩欠乏性脱水(低張性脱水)と混合性脱水(等張性脱水)に分けられる。原因は水分喪失量の増加、水分摂取量の減少、またはその両方である。水分喪失量増加は嘔吐、下痢またはその両方による。その他の喪失の原因は、糖尿病性ケトアシドーシ、大量発汗、熱傷、腸管内腔への喪失である。水分摂取量の減少は、咽頭炎などの軽度の疾患から重篤な疾患迄でみられる。 |
診断の手掛 | 症状と徴候は、水分欠乏の程度により様々であるが、渇き、嗜眠、皮膚・粘膜の乾燥、乏尿、無尿、頻脈、低血圧を訴える患者を診たら本症を疑う。頻脈は中等度の脱水、低血圧は重度の脱水を示唆する所見である。軽度脱水では、所見は軽微で、頬粘膜のわずかな乾燥、口渇を訴え、尿量のわずかな減少がみられ、乳児では体重の約5%、青年では約3%の体重が減少する。中等度では頬粘膜の乾燥、頻脈、乏尿か無尿、嗜眠、眼および泉門の陥凹、皮膚ツルゴールの低下が見られ、乳児では体重の約10%、青年では約6%の体重が減少する。重度の脱水では、中等度の徴候に加えて、速くて弱い脈、涙液欠乏、チアノーゼ、速い呼吸、毛細血管再充満時間の延長、低血圧、斑状の皮膚、昏睡などが見られ、乳児では体重の約15%、青年では約9%の体重減少が見られる。 |
主訴 |
嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea 痙攣発作|Seizures/Convulsion/Convulsive seizure 口渇|Thirst 嗜眠|Lethargy ショック|Shock 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 低血圧|Hypotension/Hypotonia 粘膜乾燥|Dryness of mucosa 頻脈|Tachycardia 乏尿|Oliguria 無尿|Anuria |
鑑別疾患 |
外傷 ショック|Shock 腸閉塞|Intestinal Obstruction 糖尿病性ケトアシドーシス|Diabetic Ketoacidosis(DKA) 熱傷 腹膜炎|Peritonitis アジソン病/急性副腎不全|Addison's Disease/Adrenal Crisis バーター症候群|Bartter's Syndrome コレラ|Cholera 熱中症|Heatstroke 下痢症|Diarrhea 胃腸炎|Gastroenteritis |
スクリーニング検査 |
Chloride|クロール [/S] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B,/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B,/B] Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/S] Sodium|ナトリウム [/S,/S] Urea Nitrogen|尿素窒素 [/S] |
異常値を示す検査 | |
関連する検査の読み方 |
【Na欠乏性脱水】 循環不全、細胞内水中毒。(Na)低下(UN)著しく増加、(血液濃縮)著しく増加濃縮、(浸透圧)著しく上昇、(尿浸透圧)基準範囲内、(尿比重)1.025以上 【等張性脱水】 循環不全。(Na)低下、(尿Na)20mEq/L以上(UN)増加(、血液)濃縮、(浸透圧)基準範囲内、(尿浸透圧)低下、(尿比重)1.025以上 【水欠乏性脱水】 高浸透圧、細胞内脱水。(Na)増加 、(UN)増加、(血液濃縮)濃縮、(浸透圧)基準範囲内~増加、(尿浸透圧)著しく上昇、(尿比重)1.025以上 【尿沈渣】 尿細管上皮細胞を認める。 |
検体検査以外の検査計画 | |