疾患解説
フリガナ | ゲンパツセイハイコウケツアツショウ |
別名 | 肺高血圧症 |
臓器区分 | 呼吸器疾患 |
英疾患名 | Primary Pulmonary Hypertension |
ICD10 | I27.0 |
疾患の概念 | 原発性肺高血圧症は、原因不明の肺高血圧に対する臨床診断名で、ダナポイント分類では、肺動脈性高血圧症に分類された。肺循環における血圧の上昇により、肺血管が収縮、肥厚および線維化し右心室の過負荷と右心室不全を引き起こす。肺高血圧症は、右心カテーテル検査で測定した安静時の肺動脈平均圧が ≥ 25mmHg、肺動脈楔入圧(肺毛細血管楔入圧)が正常(≤ 15mmHg)と定義されている。肺高血圧症の最も頻度の高い原因は:1.拡張機能障害を含む左心不全、2.低酸素症を伴う肺実質の疾患、3.睡眠時無呼吸、結合組織疾患、肺塞栓症の再発である。 |
診断の手掛 | 進行性の労作時呼吸困難、易疲労感、体動時胸骨後部痛を訴える患者を診たら本症を疑う。特に労作時呼吸困難と易疲労感は90%以上の患者が訴える症状である。このほか、狭心症、失神、末梢性浮腫も一般的な症状で、これらの症状は、右心不全により十分な心拍出量を得られないことが原因である。進行した症例では、右心不全の徴候として、傍胸骨拍動、II音の著しい分裂、II音肺動脈成分の亢進、肺動脈駆音、右室III音、三尖弁逆流による雑音および頸静脈の怒張などが見られる。うっ血肝および末梢浮腫が見られたら後期の臨床像と考える。肺の聴診は通常正常である。 |
主訴 |
易疲労感|Fatigue 肝腫大|Hepatomegaly 胸骨後部痛|Retrosternal pain/Substernal chest pain 胸痛|Chest pain 胸部不快感|Cest discomfort 血痰|Bloody sputum/Hemoptysis 呼吸困難|Dyspnea 失神|Syncope 咳|Cough 痰|Sputum チアノーゼ|Cyanosis/Cyanopathy 頻脈|Tachycardia 浮腫|Edema/Dropsy 労作時呼吸困難|Exertional dyspnea |
鑑別疾患 |
慢性気管支炎 気管支喘息 肺気腫|Pulmonary Emphysema 肺線維症 間質性肺炎 肺肉芽腫症 膠原病 肺感染症 悪性腫瘍 脊柱側弯症 胸膜ベンチ 肥満症|Obesity 特発性肺胞低換気症候群 肺血栓症 肺塞栓症|Pulmonary Embolism(PE) 動脈炎 住血吸虫症|Schistosomiasis 肺静脈閉塞症 心臓弁膜症 左室不全 先天性心疾患 |
スクリーニング検査 |
Fibrinogen|フィブリノゲン/凝固第I因子 [/P] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Uric Acid|尿酸 [/S] |
異常値を示す検査 |
Anti-Ku Antibodies|抗Ku抗体 [/S] Brain Natriuretic Peptide|脳性Na利尿ペプチド [/P] Endothelin-1|エンドセリン [/P] Glutathione|グルタチオン [/BAL Fluid] Nitric Oxide|一酸化窒素 [/BAL Fluid, /Breath] N-Terminal Pro-Brain Natriuretic Peptide|脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント/ヒト脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント [/S] Plasminogen Activator Inhibitor-1|プラスミノゲンアクチベータインヒビター-1 [/P] Serotonin|セロトニン/5-ヒドロキシトリプタミン [/Platelets, /P] Tissue Plasminogen Activator|組織プラスミノゲンアクチベータ [/P] |
関連する検査の読み方 |
【脳性Na利尿ペプチド】 高値になる。重症度の指標に有用である。BNPは心室から分泌されるホルモンで、強力な水・Na利尿作用、血管弛緩作用、交感神経系とレニン・アンジオテンシン系の抑制作用、心不全の病態改善作用などがある。健常者の血中濃度は極めて低値であるが、心筋虚血、心筋肥大や心負荷により産生量が増え血中濃度は高値となる。臨床的には心室負荷を表す指標として有用であり、心不全特に慢性心不全の重症度評価、治療効果判定や経過観察に用いる。臨床的にはANPと同時に測定されるが、重症心不全ではANP濃度をはるかに超えて上昇する。このため心不全の指標としてはANPよりも優れている。 【脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント】 高値になる。重症度の指標に有用である。NT-proBNPは強力な水・Na利尿作用と血管弛緩作用を有するBNPの前駆体フラグメントである。心筋細胞の負荷が増加すると脳性Na利尿ペプチド前駆体の産生が促進されるが、蛋白分解酵素の作用でBNPとNT-proBNPに分解され血中に分泌される。NT-proBNPはBNPに比べ半減期が長いため血中濃度の上昇が顕著であり、測定も短時間で出来るためBNPと同様の臨床的意義を持つ。臨床的には心室の負荷を反映する指標、心不全の早期診断、慢性心不全の重症度の把握などに用いる。 【Cu】 高値になることがある。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査、胸部CT検査、心電図検査、心超音波検査、右心カテーテル検査、肺動脈造影検査、呼吸機能検査 |