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疾患解説

フリガナ シンブジョウミャクケッセンショウ
別名
臓器区分 循環器疾患
英疾患名 Deep Venous Thrombosis(DVT)
ICD10 I80.2
疾患の概念 骨盤内から下肢の深部静脈に血栓を形成する疾患で、血栓が遊離して肺動脈を閉塞し、致命的な肺塞栓症を合併することがある。血栓は大腿部の浅大腿静脈、膝窩静脈と腓腹部の後脛骨静脈、腓骨静脈に発生しやすい。肺塞栓症は一般にはエコノミークラス症候群(旅行者血栓症)として知られているが、長期臥床者、高齢者、悪性腫瘍、術後にも発症する。原因は静脈還流の障害、血管内皮の損傷または機能不全、或いは凝固亢進を引き起こす状態の存在である。DVTは通常、静脈の弁尖から始まり、トロンビン、フィブリンおよび赤血球と少数の血小板から構成されており赤色血栓と呼ばれている。DVTの合併症としては、 慢性静脈不全症、静脈炎後症候群、静脈炎後症候群、肺塞栓症が挙げられる。稀に急性DVTから有痛性白股腫または有痛性青股腫を発症することがあり、速やかに診断して治療を行わないとうっ血性壊疽を発症する可能性がある。有痛性白股腫は、妊娠中にみられる合併症で、下肢が乳白色を呈する。有痛性青股腫は、広範な腸骨-大腿静脈血栓症により静脈閉塞が起こり下肢に虚血、極度の疼痛およびチアノーゼを生じる。
診断の手掛 下肢に急激に発症する浮腫、チアノーゼ、皮下静脈の怒張、疼痛、大腿静脈の圧痛、Homans徴候を認めたら本症を疑う。血栓はふくらはぎの小静脈に起り、症状が無く見つからない。膝を伸展した状態で足首を背屈すると誘発される、ふくらはぎの不快感(Homans徴候)は感度も特異度も低い。経口避妊薬の使用、長期にわたる運動不足、最近の手術暦、外傷について聞くことを忘れない。診断には「臨床因子に基づく深部静脈血栓症の確率」を参考にする。
因子:1.腓腹部または大腿部の静脈分布に沿った圧痛 2.下肢全体の腫脹 3.腓腹部の腫脹(脛骨粗面の10cm下で測定した腓腹部周径の左右差が3cmを超える)4.患側下肢でより重度の圧痕性浮腫 5.表在部の側副静脈の拡張 6.癌(過去6カ月以内に治療を中止した症例を含む) 7.下肢の不動状態(例,麻痺,不全麻痺,ギプス使用,最近の長距離旅行などによる) 8.3日を超える不動状態につながる手術を過去4週間以内に受けた
確率:確率は該当する因子の数で表され,他の診断の可能性がDVTと同等かそれ以上である場合は2点を引く。1.確率が高い:3点以上 2.確率が中程度:1~2点 3.確率が低い:0点以下
Anand SS, Wells PS, Hunt D, et al: Does this patient have deep vein thrombosis?Journal of the American Medical Association 279 (14):1094–1099, 1998.による。
主訴 下肢浮腫|Lower extremity edema
紅斑|Erythema/Rubedo
腫脹|Swelling/Tumor
大腿静脈圧痛|Tenderness of femoral vein
チアノーゼ|Cyanosis/Cyanopathy
疼痛|Pain/Ache
皮下静脈怒張|Subcutaneous venous dilatation
ホーマンス徴候|Homans sign
鑑別疾患 全身性エリテマトーデス|Systemic Lupus Erythematosus(SLE)
動脈硬化症|Arteriosclerosis
蜂巣炎|Cellulitis
リンパ浮腫
血管Behcet病
抗リン脂質抗体症候群
肺塞栓症|Pulmonary Embolism(PE)
有痛性白股腫
有痛性青股腫
子宮筋腫
閉塞性動脈硬化症
発作性夜間血色素尿症|Paroxysmal Nocturnal Hemoglobinuria(PNH)
スクリーニング検査 Eosinophils|好酸球 [/B]
異常値を示す検査 Anticardiolipin Antibodies|抗リン脂質抗体/抗PL抗体/抗カルジオリピン(CL)抗体/ループスアンチコアグラント(LA)/リン脂質抗体 [/S]
D-Dimer|Dダイマー/フィブリン分解産物Dダイマー [/P]
Laminin|ラミニン [/S]
Lipoprotein Lp (a)|リポ蛋白(a)/リポプロテイン(a) [/S]
Protein S|プロテインS/プロテインS抗原量 [/P]
Protein T [/P]
Prothrombin Fragment 1,2|プロトロンビンフラグメント1+2 [/P]
Soluble Fibrin Monomer Complex|可溶性フィブリンモノマー複合体/フィブリンモノマー複合体 [/P]
γ-Carboxyglutamic Acid, Free [/P]
関連する検査の読み方 【D-Dimer】
急性期に高値となるが、陽性的中率や特異度は低い。高感度D-ダイマーは陰性的中率が高いので、陰性ならばDVTを高い確率で否定できる。
【アンチトロンビンIII】
低下することがある。AT IIIは肝と血管内皮で産生される代表的な凝固阻止因子で、トロンビン、XIIa、XIaIXa、Xaと不可逆結合し失活させる作用がある。凝固因子と等モル比結合により複合体を形成するので、結合量が多いほどAT IIIは消費され血中濃度が低下する。臨床的には血栓症などで凝固因子活性化が亢進している疾患の診断、重症度の推定や凝固亢進状態の経過観察に用いる。
【可溶性フィブリンモノマー複合体】
凝固亢進の程度を判断できる。血液凝固過程でトロンビンがフィブリノゲンに作用すると、フィブリノペプチドAとBが遊離してフィブリンモノマーを作る。このフィブリンモノマーはフィブリノゲン、フィブリン分解産物やフィブロネクチンなどと結合し、可溶性フィブリンモノマー複合体(SFMC)を形成する。臨床的には凝固亢進状態、血栓症、播種性血管内凝固症候群などを疑うときに測定する。特に定量法はDICスコアと良い相関があり感度、特異度共に他のDICマーカーより優れている。異常値を見た場合はTAT、プロトロンビンF1+2、FDP、FDP-E、PIC、D-ダイマーなどの線溶亢進状態の検査とPF-4、β-TG、PT、APTTなどの消費性凝固障害の検査を行う。
【プロテインC】【プロテインS】
低下することがある。PCはビタミンK依存性の蛋白で血管内皮細胞表面に存在するトロンボモジュリンと結合したトロンビンにより分解され活性化プロテインCになる。生理機能は抗凝固作用と線溶促進作用で凝固反応の調節に関与している。臨床的には深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症などの多発性血栓症や新生児電撃性紫斑病の際に測定する。PSはビタミンK依存性に肝、血管内皮細胞、巨核球や単球で産生される蛋白で、40%は遊離型、残りは補体型の制御蛋白であるC4b結合蛋白と結合している。このうち生物学的活性を持つものは遊離型である。臨床的には深部静脈血栓症や血栓性静脈炎などのプロテインS欠乏による多発性血栓症を疑う場合に測定する。
【血清学的検査】
IgG/IgM抗β2糖蛋白1抗体、IgG/IgM抗カルジオリピン抗体、凝固時間測定により抗リン脂質抗体が検出される。
【抗リン脂質抗体】
陽性患者ではAPTTやPT-INRが延長する場合があるが、出血傾向は無い。活性化第X因子はリン脂質、カルシウム、活性化第V因子の存在下でトロンビンを生成するが、抗リン脂質抗体であるループスアンチコアグラントがあると凝固時間が延長する。臨床的には血栓症状が見られる自己免疫疾患患者、出血傾向はないがPT、APTTの延長が認められる患者では必須の検査である。この検査が陽性となった場合は、より詳しい血栓や凝固異常の状態を調べる必要がある。
検体検査以外の検査計画 心電図検査、圧迫超音波検査、心超音波検査、脈波検査、ドプラ血流検査、上行性静脈造影検査、肺血管造影検査、造影ヘリカル胸部CT検査、MRA検査、MRI検査、換気血流シンチグラフィー

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