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疾患解説

フリガナ ドウミャクコウカショウ
別名 アテローム性動脈硬化
臓器区分 循環器疾患
英疾患名 Arteriosclerosis
ICD10 I70.9
疾患の概念 血管壁の肥厚・硬化・再構築・機能低下を伴う動脈病変の総称で、粥状硬化、中膜硬化、細動脈硬化の3種があるが、臨床的には粥状硬化を動脈硬化と呼んでいる。一般的には中型動脈、大型動脈の斑点状の内膜プラークで、アテローム硬化と呼ばれる。プラークは脂質、炎症細胞、平滑筋細胞および結合組織で構成されている。危険因子は、脂質異常症、糖尿病、喫煙、家族歴、座位時間の長い生活習慣、肥満、高血圧などである。アテローム性動脈硬化の初発病変は脂肪線条で、これは脂質を多く含有した泡沫細胞が動脈の内膜層に蓄積したものである。プラークの形成、成長および合併症の発症に至るまでの全ての段階が、損傷に対するサイトカインを介した炎症反応と考えられ、アテローム形成または形成促進段階では内皮損傷が主な役割を担っているとされている。脂質異常症(総コレステロール高値、LDLコレステロール高値、HDLコレステロール低値)、高血圧、糖尿病は、血管内皮の機能障害と炎症を来すことによりアテローム性動脈硬化を促進する。
診断の手掛 アテローム性動脈硬化は初期には無症状で、しばしば数十年も無症状のまま経過するので、危険因子を持つ患者に、一過性の虚血症状が見られたら、進行した動脈硬化症の発症を疑う。安定プラークが成長し、動脈内腔が70%以上狭まると、安定労作性狭心症、一過性脳虚血発作、間欠性跛行などの虚血症状や局所的な皮膚温の低下が見られることもある。不安定プラークが破綻して主要動脈を閉塞し、さらに血栓症または塞栓症が重複すると、不安定狭心症、梗塞、虚血性脳卒中、四肢の安静時痛が生じる。高脂血症、糖尿病、喫煙、家族暦、肥満、高血圧は危険因子なので、これらのリスクを持つ患者は定期的な動脈のチェックが必要である。
主訴 インポテンツ|Impotence
壊疽|Gangrene
潰瘍|Ulcer
間歇性跛行|Intermittent claudication/Dysbasia intermittens
しびれ|Numbness
頭重感|Dull headache
疼痛|Pain/Ache
腹痛|Abdominal pain
めまい|Dizziness
鑑別疾患 一過性脳虚血発作|Transient Ischemic Attack(TIA)
安定労作性狭心症
冠動脈疾患|Coronary Artery Disease(CAD)
器質性脳症候群
高血圧症|Hypertension
高安動脈炎|Takayasu's Arteritis
動脈硬化性心疾患
閉塞性動脈硬化症
血栓症
高脂血症
糖尿病|Diabetes Mellitus
Buerger病
Behcet症候群
スクリーニング検査 Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S]
Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S]
Creatinine|クレアチニン [/S]
Erythrocytes|赤血球数 [/B]
HDL-Cholesterol|HDL-コレステロール/高比重リポ蛋白コレステロール [/S]
LDL-Cholesterol|LDL-コレステロール/低比重リポ蛋白コレステロール [/S]
Triglycerides|トリグリセリド/中性脂肪/トリグリセライド/トリアシルグリセロール [/S]
Urea Nitrogen|尿素窒素 [/S]
Uric Acid|尿酸 [/S]
異常値を示す検査 Apolipoprotein A-I|アポリポ蛋白A-I [/S]
Apolipoprotein A-II|アポリポ蛋白A-II [/S]
Apolipoprotein B|アポリポ蛋白B [/S]
Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/S]
Ceruloplasmin|セルロプラスミン/フェロオキシダーゼ [/S]
Copper|銅 [/S]
Cryomacroglobulins [/S]
Endothelin-1|エンドセリン [/P]
Factor VIII|第VIII因子活性/抗血友病因子 [/P]
High Sensitive CRP|高感度CRP [/S]
Homocysteine|ホモシステイン/ホモシスチン/総ホモシステイン [/P]
LDL-Cholesterol,Oxidized|酸化LDL/マロンジアルデヒド修飾LDL [/S]
Lipids|総脂質 [/S]
Lipoproteins|リポ蛋白脂質分画 [/S]
Lipoprotein Lp (a)|リポ蛋白(a)/リポプロテイン(a) [/S]
Osteocalcin, Bound [/S]
Osteocalcin, Free [/S]
Remnant Like Particles-Cholesterol|レムナント様リポ蛋白コレステロール/RLP-コレステロール [/S]
Selenium|セレン/セレニウム [/S]
Soluble Vascular Cell Adhesion Molecule-1|可溶性VCAM-1/可溶性CD106/可溶性血管細胞接着分子-1 [/S]
Tissue Plasminogen Activator:Plasminogen Activator Inhibitor-1 Antigen Ratio [/P]
Volume [/RBC, /RBC]
Zinc|亜鉛 [/S]
α2-Macroglobulin|α2-マクログロブリン [/S]
関連する検査の読み方 【高感度CRP】
3mg/dLを超えると心血管イベントが高率で予測される。健常人の血清中のCRP濃度は約600ng/mL(0.06mg/dL)であるが、通常法の基準範囲は0.1~0.3mg/dL以下である。高感度CRPは0.30mg/dL以下まで測定できるため従来健常者とされてきた慢性炎症の存在を知ることが出来る。慢性炎症は動脈硬化の危険因子であり、動脈硬化の予測因子として高感度CRPは重要な意義を持つ。また新生児感染症の早期発見にも有用性が高い。
【LDL-コレステロール】
基準範囲内か高値であるが、小型で密なLDLがより動脈硬化との関連が強い。LDL-Cは低比重リポ蛋白(LDL)に含まれるコレステロールで、末梢組織へのコレステロールの輸送と、末梢組織でのコレステロールの代謝調節を担当している。血清コレステロールの約50%はLDL-Cで、最も強い動脈硬化惹起性を持つLDLは動脈硬化症の発症と進展に関与していると考えられている。臨床的には高脂血症、低脂血症、動脈硬化性疾患の診断と治療の指標に使われる。2007年に総コレステロールに代わり、LDL-Cを脂質異常症の診断基準にすることが決められ、総コレステロールはあくまで参考とすることとなった。臨床的には高コレステロール血症の鑑別、高・低脂血症の診断と治療効果判定、動脈硬化症の診断と治療の指標のために測定する。
【酸化LDL】
酸化LDLは動脈硬化の形成、進展に関与している酸化ストレスマーカーで、動脈硬化巣から様々な脂質酸化物と共に検出される。臨床的には糖尿病や高脂血症で高値を示すため、冠動脈疾患の既往がある糖尿病患者の予後推定に用いる。
【リポ蛋白(a)】
30mg/dL以上に増加する。Lp(a)はアポ蛋白Bにアポ蛋白(a)が結合しているリポ蛋白である。虚血性心疾患、脳梗塞など各種の動脈硬化性疾患との関連が知られているが、構造上プラスミノゲンに類似していることから、血栓形成の促進にも関与していると考えられている。Lp(a)濃度は0.1~100mg/dLまで個人差が大きいが、同一個人では殆ど一定の値を示し大きな変動はない。濃度分布は低値に偏った分布を示し、現時点でのカットオフ値は30~40mg/dLとされている。臨床的には動脈硬化性疾患の危険因子の評価として測定する。
【リポ蛋白関連ホスフォリパーゼA2】
LDL-コレステロールが基準範囲以下の患者では、リポ蛋白関連PLA2が心血管イベントを予測するという報告もある。
【レムナント様リポ蛋白コレステロール】
高値になる。発症危険因子の評価として測定する。RLP-CはカイロミクロンやVLDLがリポ蛋白リパーゼによって分解され生じる中間代謝物の総称で、トリグリセリド、アポ蛋白B、C-II、C-III、Eと正の相関がある。動脈硬化の基礎病変の一つである粥状硬化症の原因物質の一つとされているため、レムナント粒子の動態は動脈硬化性疾患の病態解析に有用とされる。臨床的には動脈硬化性疾患の危険因子として、またIII型高脂血症の簡易検査法として測定する。異常値を見た場合はリポ蛋白分画、アポ蛋白の測定を行う。
【ホモシステイン】
動脈硬化合併症、血栓症の危険因子である。
【微量アルブミン尿】
24時間当たりのアルブミン量が、30mgを上回る微量アルブミン尿は、腎障害その他の進行のマーカーであるだけでなく、心血管及び非心血管の罹患率及び死亡率の予測因子である。
【危険因子】
動脈硬化の危険因子は糖尿病、高血圧、高ホモシステイン血症、高インスリン血症、腎不全である。
検体検査以外の検査計画 胸腹部X線検査、頸動脈エコー検査、血管内超音波検査、血管内視鏡検査、光干渉断層撮影、プラークサーモグラフィー、径食道心超音波検査、胸部・腹部・頸部CT検査、MRI検査、MRA検査、冠動脈造影検査、血圧脈波検査、足関節:上腕血圧比、眼底検査

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