疾患解説
フリガナ | セキメンショウ |
別名 |
石綿肺 肺石綿症 石綿肺症 |
臓器区分 | 呼吸器疾患 |
英疾患名 | Asbestosis |
ICD10 | J61 |
疾患の概念 | アスベスト繊維の吸入により発症する間質性肺線維症の一つで、アスベストを扱う職業の従事者に多い。原因は、吸入したアスベスト繊維を貪食した肺胞マクロファージが放出するサイトカインと成長因子による線維形成の促進である。患者の10%以上は、アスベスト暴露停止後も疾患が進行する。アスベスト繊維は、肺組織に直接的な毒性をもつ可能性があり、発症のリスクは、曝露の期間および強度、吸入した繊維の種類、長さおよび太さに関係する。アスベスト曝露のリスクがある労働者は、造船業、織物産業、建設業、住宅改築業者、アスベスト除去に携わる労働者ならびにアスベスト繊維に曝露される鉱山労働者などである。間接曝露が、曝露労働者の家族に起こりうるので注意する。 |
診断の手掛 | アスベストを扱う、あるいは扱った既往がある患者が、進行性の呼吸困難、乾性の咳、易疲労感などを訴えたら本症を疑う。10%以上の患者は、アスベト曝露停止後も疾患が進行する。進行するとばち指、右室不全(肺性心)の症状や徴候が見られる。 |
主訴 |
易疲労感|Fatigue 乾性咳|Dry cough 胸痛|Chest pain 咳|Cough 喘鳴|Wheeze/Stridor 痰|Sputum チアノーゼ|Cyanosis/Cyanopathy 動悸|Palpitations ばち指|Dubbed finger 労作時呼吸困難|Exertional dyspnea |
鑑別疾患 |
結核 粟粒結核 サルコイドーシス|Sarcoidosis 肺胞微石症 びまん性汎細気管支炎 間質性肺炎 肺癌|Lung Cancer 癌性リンパ管症 珪肺症|Silicosis 胸膜中皮腫|Mesothelioma |
スクリーニング検査 |
Erythrocytes|赤血球数 [/B, /PlF] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B, /B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B, /B] Leukocytes|白血球数 [/B] Rheumatoid Factor|リウマチ因子測定/RAゼラチン凝集反応/リウマチ因子定量 [/S] |
異常値を示す検査 |
Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/S] CA 19-9|CA19-9 [/S] Carbon Dioxide Partial Pressure|動脈血CO2分圧/炭酸ガス分圧/CO2分圧/PCO2/PaCO2 [/B, /B] Oxygen Partial Pressure|動脈血O2分圧/酸素分圧/O2分圧/PO2 [/B] Oxygen Saturation|酸素飽和度/O2飽和度 [/B] |
関連する検査の読み方 |
【気管支肺洗浄液】 肺線維症の患者でアスベスト小体が見られれば、石綿肺が示唆されるが、アスベスト繊維は曝露歴があるが罹患していない人の肺でみられることもあり、また石綿肺患者でみられないこともある。 【胸水一般検査】 血性胸水になることがある。 【肺機能検査】 肺気量およびDLcoの低下が見られることがあり、経時的な肺機能の変化を見るのに役立つ。また、安静時および運動時のパルスオキシメトリーは非特異的ではあるが、アスベストによる障害の検出感度は高い。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査、胸部HRCT検査、呼吸機能検査 |