疾患解説
フリガナ | ケイハイショウ |
別名 | |
臓器区分 | 呼吸器疾患 |
英疾患名 | Silicosis |
ICD10 | J62.8 |
疾患の概念 | 結晶性の遊離シリカの塵を吸入することで発症する職業性肺疾患で、結節性肺線維症が特徴である。軽度の呼吸困難で始まり低酸素血症、肺高血圧症、重度の呼吸障害を引き起こす。発症のリスクが高いのは、岩や砂の運搬または爆破に携わる炭坑労働者、採石場労働者、石切り工労働者またはシリカを含有する岩または砂の研磨材を使用する研磨作業員、ガラス職人および陶磁器の職人である。炭坑労働者は珪肺症と炭坑夫塵肺症の混合リスクがある。発症の機序は、吸入された遊離シリカの粒子を肺胞マクロファージが貪食し、リンパ節と間質組織に入り込む。この、マクロファージはTNF-α、IL-1、TGF-βおよびオキシダントを放出し、肺実質の炎症、コラーゲンの合成と最終的には線維化を促すことによる。 |
診断の手掛 | 職業的にシリカ(通常は石英)を扱う人が呼吸困難を訴えたら本症を疑う。呼吸困難は労作性で始まり安静時呼吸困難に進行する。慢性珪肺症はしばしば無症状であるが、最終的には労作時呼吸困難を発症し、その後、安静時呼吸困難に進行する。湿性咳嗽が認められたら、珪肺症、慢性職業性気管支炎または喫煙によるものと考える。疾患が進行すると呼吸音が減弱し、進行例では、肺硬化、肺高血圧症および呼吸不全を発症することがある。急性珪肺症は、呼吸困難、体重減少および易疲労感が急速に進行する。全ての珪肺症患者は、肺結核と非結核性肺抗酸菌症のリスクが約30倍高く、シリカに曝露されたが珪肺症を発症していない場合は、一般集団に比べ結核の発症するリスクが3倍高い。 |
主訴 |
胸痛|Chest pain 呼吸困難|Dyspnea 咳|Cough 喘鳴|Wheeze/Stridor 痰|Sputum チアノーゼ|Cyanosis/Cyanopathy 動悸|Palpitations 労作時呼吸困難|Exertional dyspnea |
鑑別疾患 |
溶接工鉄症 ヘモジデリン沈着症 サルコイドーシス|Sarcoidosis 慢性ベリリウム症 塵肺症 粟粒結核 肺真菌症 転移性悪性腫瘍 肺結核|Pulmonary Tuberculosis 特発性肺線維症|Idiopathic Pulmonary Fibrosis(IPF) 膠原病性間質性肺炎 肺胞微石症 びまん性汎細気管支炎 間質性肺炎 癌性リンパ管症 |
スクリーニング検査 |
Erythrocytes|赤血球数 [/B] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B, /B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B, /B] Leukocytes|白血球数 [/B] Rheumatoid Factor|リウマチ因子測定/RAゼラチン凝集反応/リウマチ因子定量 [/S] |
異常値を示す検査 |
1,25-Dihydroxy Vitamin D3|1,25-ジヒドロキシビタミンD3/1α,25-ジヒドロキシビタミンD/活性型ビタミンD [/S] Angiotensin-converting Enzyme|アンギオテンシン変換酵素 [/S] Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/S] Carbon Dioxide Partial Pressure|動脈血CO2分圧/炭酸ガス分圧/CO2分圧/PCO2/PaCO2 [/B] Oxygen Partial Pressure|動脈血O2分圧/酸素分圧/O2分圧/PO2 [/B] Oxygen Saturation|酸素飽和度/O2飽和度 [/B] |
関連する検査の読み方 |
【気管支肺洗浄液】 Tリンパ球サブセット(CD4+:CD8+)が増加する。 【動脈血ガス分析】 診断には有用ではないが、疾患進行のモニタリングには有用である。 【パルスオキシメトリー】 運動時のガス交換の測定は、肺機能障害の最も感度の高い測定法の1つである。 【抗核抗体】【RA因子】 一部の患者は、抗核抗体およびリウマトイド因子が上昇するが、この所見は全身性強皮症やRAなどの結合組織疾患の合併を示唆する。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査、胸部CT検査、スパイラルCT検査 |