疾患解説
フリガナ | デングネツ |
別名 |
骨折熱 dandy fever |
臓器区分 | 感染性疾患 |
英疾患名 | Dengue |
ICD10 | A90 |
疾患の概念 | ヤブカ属の蚊によって媒介されるフラビウイルスによって感染し、北緯約35°から南緯35°までの熱帯地域の風土病で、アウトブレイクは東南アジアが最も多い。最近我が国でも感染の報告があり、CDCでは日本を流行地域として指定した。フラビウイルスは、感染したヒトの血液中を2~7日間循環するので、この期間にヤブカが血を吸うことでウイルスを得ると考えられている。4類感染症である。 |
診断の手掛 | 感染後3~15日の潜伏期に続いて発熱、関節痛、筋肉痛、発疹を訴える患者を診たら本症を疑う。発症後、数時間に脚および関節に激しい痛みが起こり、これが「骨折熱」と云う名称の由来である。体温が急激に40℃まで上昇し、相対的徐脈を伴い、眼球と眼瞼結膜充血と一過性の紅潮または淡いピンク色の斑状発疹が見られ、しばしば頸部および鼠径リンパ節が腫大する。発熱と他の症状が、48~96時間持続した後に大量発汗を伴う解熱期に入り、体調はその後、約24時間で回復するが、その後再び発熱が再発する。同時に、圧迫により消退する斑状丘疹状皮疹が体幹から四肢および顔面に向かって拡大する。診断上、血小板減少(66.4%)を見るTouniqueテストは、臨床上重要である。発熱(99.1%)、骨関節痛(31.1%)、筋肉痛(29.1%)、発疹(52.7%)が3主徴である。また、重症化のサインである腹痛、嘔吐、胸水、腹水、粘膜出血、精神状態不安定、血液濃縮所見(ヘマトクリット値20%以上)を見逃さない。 |
主訴 |
咽頭痛|Pharyngodynia 関節痛|Arthralgia 眼窩痛|Orbital pain 筋肉痛|Myalgia 高熱|High fever/Hyperthermia 頭痛|Headache/Cephalalgia 咳|Cough 痰|Sputum 点状出血|Petechiae 二峰性発熱|Bimodal fever 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 発疹|Eruption/Exanthema リンパ節腫脹|Lymphadenopathy |
鑑別疾患 |
マラリア|Malaria インフルエンザ|Influenza 風疹|Rubella Infection 麻疹|Measles 発疹チフス|Epidemic Typhus 発疹熱 ウエストナイル熱 レプトスピラ症|Leptospirosis 回帰熱|Relapsing Fever チクングニア熱 |
スクリーニング検査 |
C-reactive Protein|C反応性蛋白 [/S] Platelets|血小板 [/B] |
異常値を示す検査 |
Dengue Virus Antigen|デングウイルス抗原/デングウイルスNS1抗原 [/S] Phospholipase A2 Type II [/S] Tumor Necrosis Factor-α|腫瘍壊死因子-α [/S] |
関連する検査の読み方 |
【デングウイルス抗原】 陽性である。デングウイルスの非構造蛋白であるNS1は感染細胞中で合成され、細胞外に分泌される。特にヒト感染細胞からは盛んに放出されるので、血中NS1蛋白を検出することによりデングウイルスの感染が証明される。 【白血球】 発症後4~5日までに白血球数は2,000~4,000/μLになり顆粒球は20~40%になる。 【血小板】 減少するのでデング熱を疑う場合は必ず測定する。 【尿検査】 中等度のアルブミン尿と少数の円柱がみられる。 【ELISA】 IgMとIgGの検査で診断が確定する。 【日本脳炎ウイルス抗体】 交差反応が認められる。 【Tourniqet テスト】 陽性になる。点状出血が2.5c㎡あたり10個以上になれば陽性と判定する。 |
検体検査以外の検査計画 |