疾患解説
フリガナ | カイキネツ |
別名 | |
臓器区分 | 感染性疾患 |
英疾患名 | Relapsing Fever |
ICD10 | A68.9 |
疾患の概念 | 数種類のBorrelie属の細菌によって引き起こされる感染症で、ヒトジラミまたはヒメダニによって伝播され、主な保菌生物はげっ歯類である。北米、中南米、アフリカ、中近東、ヨーロッパに分布する。この疾患はスピロヘータ血症期の発熱と消失期の無熱が交互に繰り返される特徴がある。輸入感染症の一つで、4類感染症に指定されている。 |
診断の手掛 | 4~18日の潜伏期を経て頭痛、筋肉痛、嘔吐が3~5日続き、やがて解熱するが、再び発熱を繰り返す見かけ上の回復期間を持つ患者を診たら本症を疑う。発熱回数は、シラミ媒介型では1~2回、ダニ媒介型は3回程度である。発症の特徴は、突然の悪寒で、続いて高熱、頻脈、頭痛、嘔吐、筋肉痛、関節痛のほか、せん妄がみられる。紅斑性の斑状発疹ないし紫斑状発疹が、早期に体幹および四肢に出現することがある。結膜、皮下または粘膜下に出血を認めることもある。特に、シラミ媒介性の場合は、数週間の経過の後期に、黄疸、肝腫大、脾腫、心筋炎および心不全を来すことがある。再発はボレリアの周期的な増殖に関連があり、発熱、関節痛のほか、それまでに見られた全ての症状および徴候が突然再発する。 |
主訴 |
黄疸|Jaundice 嘔吐|Vomiting 悪寒戦慄|Chill with shivening 悪心|Nausea 肝腫大|Hepatomegaly 関節痛|Arthralgia 顔面神経麻痺|Facial paralysis/Facial palsy 筋肉痛|Myalgia 結膜充血|Conjunctival injection 高熱|High fever/Hyperthermia 出血傾向|Bleeding tendency/Hemorrhagic diathesis 頭痛|Headache/Cephalalgia せん妄|Delirium 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 脾腫|Splenomegaly 発疹|Eruption/Exanthema |
鑑別疾患 |
ライム病|Lyme Disease ライム関節炎 マラリア|Malaria デング熱|Dengue 黄熱病|Yellow Fever レプトスピラ症|Leptospirosis 発疹チフス|Epidemic Typhus インフルエンザ|Influenza 腸チフス|Typhoid Fever 蕁麻疹|Urticaria 多形滲出性紅斑 蜂巣炎|Cellulitis 自己炎症性症候群 |
スクリーニング検査 |
Albumin|アルブミン [/U] Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S, /U] Erythrocytes|赤血球数 [/U] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B, /P] Immunoglobulin G|免疫グロブリンG [/S] Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [/S] Leukocytes|白血球数 [/B, /B, /CSF] Monocytes|単球 [/CSF] Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/CSF, /U] VDRL|性病研究所梅毒検査法/VDRL法 [Positive/S] |
異常値を示す検査 |
Anti-Borrelia Burgdorferi Antibody|ボレリア抗体/ボレリア・ブルクドルフェリ抗体/ライム病抗体/抗ライム病抗体 [/S] Cells [/CSF] Complement Fixation [/S] Haptoglobin|ハプトグロビン [/S] Immunoglobulins|免疫グロブリン [/S] |
関連する検査の読み方 |
【血液像】 発熱期間中の暗視野顕微鏡検査、アクリジンオレンジ染色、ライト染色、ギムザ染色でスピロヘータが確認できる。バッフィーコートを用いれば検出率が上がる。 【ライム病抗体】 高値になる。抗ボレリア・ブルクドルフェリ抗体はLyme病の起炎菌に対する抗体である。このスピロヘータはマダニを媒介宿主として咬傷部より進入し、皮膚に特徴的な慢性遊走性紅斑を作る。感染初期は感冒様症状で始まり、数週から数ヶ月後に神経症状、循環器症状、関節炎症状を発症する。臨床的には中部地方、北海道のLyme病流行地でマダニ咬傷のある患者や遊走性紅斑を認める患者に測定する。 【骨髄吸引液】 末梢血と同様にスピロヘータが検出できる。 【血小板】 シラミ媒介性では急性期に50,000/μLとなることがある。 【Proteus OXK凝集素価】 シラミ媒介性回帰熱で1:80以上の高値となる。 【梅毒血清反応】 抗ボレリア抗体産生による交差反応で5~10%が陽性となる。 【PCR】 確定診断に有用である。 |
検体検査以外の検査計画 |