疾患解説
フリガナ | ホッシンチフス |
別名 |
流行性発疹チフス ヨーロッパチフス シラミ発疹チフス 流行性シラミ媒介発疹チフス 刑務所熱 |
臓器区分 | 感染性疾患 |
英疾患名 | Epidemic Typhus |
ICD10 | A75.9 |
疾患の概念 | 発疹チフスリケッチャ(Rickettsie prowazekii)が病原体で、コロモジラミにより感染する。シラミの糞が、シラミの刺咬傷やその他の創傷、時として眼などに入った場合に感染が成立する。10歳未満の小児では、死亡は稀であるが、50歳を超える未治療患者では死亡率は60%にも達する。初回の発症から数年後に、体内の菌の活性化で再発することがあり、Brill-Zinsser病と呼ばれている。4類感染症である。 |
診断の手掛 | 7~14日間の潜伏期の後、悪寒戦慄、40℃台の発熱、頭痛などを訴える患者の皮膚に、4日目から7日目にかけて帽針頭大からエンドウ豆大のバラ疹を認めたら本症を疑う。発疹は、顔面、手掌、足底には広がらない。発熱は、朝にやや軽快する傾向があるが、2週間ほど続く。重症例では、発疹は点状出血となる。低血圧、血管虚脱、腎機能不全、脳炎の徴候、壊疽を伴う斑状出血および肺炎は、予後不良のサインなので慎重に観察する。 |
主訴 |
悪寒戦慄|Chill with shivening 筋肉痛|Myalgia 血圧低下|Blood pressure decreased 高熱|High fever/Hyperthermia 羞明|Photophobia/Photosensitibity 耳鳴|Tinnitus 頭痛|Headache/Cephalalgia 聴力障害|Hypoacusis 点状出血|Petechiae 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever バラ疹|Rose spot/Roseola 皮疹|Eruption/Exanthema 頻脈|Tachycardia めまい|Dizziness |
鑑別疾患 |
リケッチア症 ウイルス感染症 腸チフス|Typhoid Fever マラリア|Malaria 流行性髄膜炎 レプトスピラ症/ワイル病 |
スクリーニング検査 |
Albumin|アルブミン [/U] Creatinine|クレアチニン [/S] Eosinophils|好酸球 [/B] Erythrocytes|赤血球数 [/U] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] Leukocytes|白血球数 [/B, /B] Neutrophils|好中球 [/B] Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/S, /CSF] Sodium|ナトリウム [/S] Urea Nitrogen|尿素窒素 [/S] VDRL|性病研究所梅毒検査法/VDRL法 [Positive/S] γ-Globulin|γ-グロブリン [/S] |
異常値を示す検査 |
Antibody Titer [/S] Cells [/CSF] Complement Fixation [/S] Oxygen Partial Pressure|動脈血O2分圧/酸素分圧/O2分圧/PO2 [/B] Volume [/U] Weil-Felix Reaction|ワイル・フェリックス反応 [Positive/S] |
関連する検査の読み方 |
【CBC】 白血球数は増加、減少まちまちである。 【尿一般検査】 蛋白尿と血尿がよく見られる。 【血清学的検査】 発症後5~12日に採取した血清は、補体結合反応、凝集反応、免疫蛍光法の何れも陽性となる。 【ワイル・フェリックス反応】 OX19+++、OX2+、OXK非凝集である。WFRはリケッチア症の患者血清とプロテウス菌との凝集反応で病原リケッチアの種類で異なるプロテウス菌を用いる。 発疹チフス:OX19+、OX2+、OXK- 発疹熱:OX19+、OX2+、OXK- ツツガムシ病:OX19-、OX2-、OXK+ Rocky山紅斑熱:OX19+、OX2+、OXK- 【間接蛍光抗体法】 抗体価1:128以上なら陽性とする。 |
検体検査以外の検査計画 |