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疾患解説

フリガナ トクハツセイハイヘモジデローシス
別名 びまん性肺胞出血症候群
臓器区分 呼吸器疾患
英疾患名 Idiopathic Pulmonary Hemosiderosis
ICD10 E83.1
疾患の概念 肺胞への持続性あるいは再発性の出血により、特発性肺ヘモジデリン沈着症と孤立性pauchi-immune型肺毛細血管炎を来す疾患である。グッドパスチャー症候群とは対照的で、腎病変の併発は無く、抗糸球体基底膜抗体も出現しない。特徴は、肺の小血管の広範な損傷に起因するびまん性肺胞出血で、主に10歳未満の小児に起こり、肺胞毛細血管内皮の障害が原因と考えられている。肺胞出血を引き起こしうる疾患や薬物としては、全身性血管炎、グッドパスチャー症候群、抗リン脂質抗体症候群、結合組織疾患などの自己免疫疾患、侵襲性アスペルギルス症、ハンタウイルス感染症などの肺感染症、僧帽弁狭窄症、凝固障害、孤立性pauci-immune型肺毛細血管炎、特発性肺ヘモジデローシス、プロピルチオウラシル、フェニトイン、アミオダロン、メトトレキサート、ニトロフラントイン、ブレオマイシン、モンテルカスト、インフリキシマブなどの薬物がある。
診断の手掛 呼吸困難、咳、痰、発熱が一般的な症状であるが、多くの患者は急性呼吸不全を発症し、時に死に至る。喀血も2/3の患者に認められる。患者の殆どに貧血とヘマトクリットの低下を伴う持続性出血がみられる。
主訴 喀血|Hemoptysis
呼吸困難|Dyspnea
咳|Cough
痰|Sputum
発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever
鑑別疾患 全身性血管炎
グッドパスチャー症候群|Goodpasture's Syndrome
抗リン脂質抗体症候群
肺感染症
薬毒物暴露
臓器移植
僧帽弁狭窄症
薬剤(抗凝固剤)
顕微鏡的多発血管炎|Microscopic Polyangitis
ウェゲナー肉芽腫症
全身性エリテマトーデス|Systemic Lupus Erythematosus(SLE)
糸球体腎炎
肺腎症候群
特発性肺ヘモジデリン沈着症
スクリーニング検査 α-Fetoprotein|α-フェトプロテイン [/S]
Bilirubin-Direct|直接ビリルビン/抱合型ビリルビン [/S]
CEA|癌胎児性抗原 [/S]
Eosinophils|好酸球 [/B]
Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B]
Iron|鉄/血清鉄 [/S]
MCV|平均赤血球容積 [/B]
異常値を示す検査 Carbon Dioxide Partial Pressure|動脈血CO2分圧/炭酸ガス分圧/CO2分圧/PCO2/PaCO2 [/B]
Glomerular Basement Membrane Antibody|抗糸球体基底膜抗体/抗GBM抗体 [/S]
Occult Blood|潜血反応(便)/グアヤック法/o-トリジン法/ラテックス凝集法 [/F]
Urobilinogen|ウロビリノゲン定性(尿) [/U]
関連する検査の読み方 【尿検査】
糸球体腎炎および肺-腎症候群を除外する目的で行う。
【血清鉄】
鉄欠乏が典型的所見である。
【抗糸球体基底膜抗体】
高値になる。
【P-ANCA】
孤立性pauchi-immune型毛細血管炎で上昇することがある。P-ANCAは好中球細胞質にあるα顆粒中の酵素(ミエロペルオキシダーゼ)に対する抗体で好中球の細胞質部分と反応する。この抗体は血管炎症候群の病態形成の主要因であり、血管炎症候群の診断、活動性評価に極めて有用とされている。臨床的には顕微鏡的多発血管炎、アレルギー性肉芽腫性血管炎、特発性半月体形成性糸球体腎炎が疑われる場合に用いる。これら疾患における陽性率は70~100%と高い。ただし、健常者でも5%程度の頻度で陽性になりうるので注意する。
【一酸化炭素拡散能】
上昇は肺内の出血を示唆する。一酸化炭素拡散能は肺胞から肺毛細血管を通り、赤血球に至るガス運搬効率の指標で肺間質、肺血管、気道、毛細血管の血液量により値が左右される。
【確定診断】
肺毛細血管炎の証明、または気管支洗浄液か肺生検でヘモジデリン貪食マクロファージを検出する。
検体検査以外の検査計画 胸部X線検査、呼吸機能検査、心超音波検査

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