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疾患解説

フリガナ グッドパスチャーショウコウグン
別名 抗糸球体基底膜病
抗GMB抗体病
臓器区分 腎・泌尿器疾患
英疾患名 Goodpasture's Syndrome
ICD10 M31.0
疾患の概念 本症は肺腎症候群の亜型であり、Ⅳ型コラーゲンに対する自己抗体による急性進行性糸球体腎炎と半月体形成性糸球体腎炎を生じる自己免疫疾患である。急性進行性糸球体腎炎とびまん性肺出血を来し、抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体)が存在する疾患で、腎炎から発症する型が1/3、肺出血で発症する型が1/3、腎と肺の同時発症型が1/3である。肺胞出血、半月体形成性の急速進行性腎炎、抗糸球体基底膜抗体陽性の症候群で、遺伝的感受性(HLA-DRw15,HLA-DR4,およびHLA-DRB1アレルを有するヒト)を持つ喫煙者に多く発症するが、炭化水素への曝露およびウイルス性呼吸器感染症も誘因となる。
診断の手掛 喀血、呼吸困難、咳、痰などの呼吸器症状と腎症状としての肉眼的血尿を訴える患者は本症を疑う。喀血は最も顕著な症状で50~70%の患者に認められるが、出血があっても喀血が見られない症例もある。患者の40%に肉眼的血尿が見られ、進行すると浮腫と高血圧が出現する。肺出血は週単位から年単位で腎症状に先行しうる。男性の罹患率は女性より多く男女比は6:1である。確定診断は、遺伝子組換え型またはヒトのα3鎖のNC-1を利用する、間接蛍光抗体法またはCLEIA法で、血清中の抗GBM抗体を証明することである。しかし、抗好中球細胞質抗体検査が陽性となるのは患者の25%に過ぎない。
主訴 易疲労感|Fatigue
嘔吐|Vomiting
悪心|Nausea
喀血|Hemoptysis
関節痛|Arthralgia
筋肉痛|Myalgia
血痰|Bloody sputum/Hemoptysis
血尿|Hematuria
高血圧|Hypertension
呼吸困難|Dyspnea
食欲不振|Anorexia
咳|Cough
全身倦怠感|General malaise/Fatigue
痰|Sputum
脱力感|Weekness
発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever
浮腫|Edema/Dropsy
鑑別疾患 急性糸球体腎炎|Acute Glomerulonephritis
低酸素血症|Hypoxia
特発性肺ヘモジデローシス|Idiopathic Pulmonary Hemosiderosis
抗糸球体基底膜抗体腎炎
ウェゲナー肉芽腫症
ANCA関連肺疾患
膠原病性腎症
スクリーニング検査 Creatinine|クレアチニン [/S]
Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B]
Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B]
Iron|鉄/血清鉄 [/S]
MCHC|平均赤血球ヘモグロビン濃度 [/B]
TIBC|総鉄結合能 [/S]
Urea Nitrogen|尿素窒素 [/S]
異常値を示す検査 Antibody Titer [/S]
Anti-Glomerular Basement Membrane Antibody|抗糸球体基底膜抗体/抗GBM抗体 [Positive/S]
HLA Antigens|HLA抗原 [Present/B]
Iron Saturation|鉄飽和度 [/S]
Oxygen Partial Pressure|動脈血O2分圧/酸素分圧/O2分圧/PO2 [/B]
p-Antineutrophil Cytoplasmic Autoantibodies|抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体/核周囲型抗好中球細胞質抗体/MPO-ANCA/P-ANCA [/S]
Procollagen Type IV Peptide [/S]
Soluble Intercellular Adhesion Molecule-1|可溶性ICAM-1/可溶性CD54/細胞接着分子-1 [/S]
関連する検査の読み方 【CBC】
小球性、低色素性、鉄欠乏性貧血と好酸球低下を認める。
【尿一般検査】
蛋白、赤血球と赤血球円柱が出現し、腎機能が急速に低下する。蛋白尿は高度であり、しばしばネフローゼ症候群を呈する。顕微鏡的血尿が必発する。
【喀痰ヘモジデリン】
肺出血があるので、血痰、喀痰ヘモジデリンを認める。
【抗糸球体基底膜抗体】
陽性になる。抗糸球体基底膜抗体は腎糸球体基底膜に対する自己抗体で、この抗体が関与する腎炎は病理組織的には半月体形成腎炎、臨床上は急性進行性腎炎症候群の病態をとり、約50%の症例はGoodpasture症候群である。臨床的には急性進行性腎炎症候群の疑いがあれば、この抗体と抗好中球細胞質抗体を同時に測定し、抗好中球細胞質抗体関連腎炎と鑑別する。確定診断には腎生検が必要である。
【P-ANCA】
本症の25~30%の患者で陽性である。肺出血がみられない患者でも認められることがある。C-ANCAは好中球細胞質にあるα顆粒中のセリンプロテアーゼの一つであるpreteinase-3に対する抗体でWegener肉芽腫(WG)の特異自己抗体として報告された。臨床的には原因不明の発熱や耳鼻科領域、上気道、肺、腎にWegener肉芽腫を疑う症状を持つ患者に積極的に行う検査である。
【腎・肺生検】
肺生検の免疫蛍光法染色では特徴的な線状の沈着物を認め、巣状もしくは、び慢性増殖性糸球体腎炎像を呈する。腎生検はゴールドスタンダードである。
【補体価】
正常である。
【一酸化炭素拡散能】
増加するが、減少していれば肺炎または肺水腫を疑う。一酸化炭素拡散能は肺胞から肺毛細血管を通り、赤血球に至るガス運搬効率の指標で肺間質、肺血管、気道、毛細血管の血液量により値が左右される。
検体検査以外の検査計画 胸部X線検査、腹部X線検査、胸部CT検査、腎超音波検査、呼吸機能検査

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