疾患解説
フリガナ | ハイセイシン |
別名 | 肺性心疾患 |
臓器区分 | 呼吸器疾患 |
英疾患名 | Cor Pulmonale |
ICD10 | I27.9 |
疾患の概念 | 肺動脈性高血圧を引き起こす肺障害に続発する右室の拡大とそれに続発する右室不全と定義されている。肺のガス交換機能障害が原因のものと肺血管の閉塞性障害が原因のものとがある。肺性心は、肺またはその血管系の障害により発症するもので、通常は慢性であるが、急性のこともある。年齢は45歳以上に多く、男性は女性の2倍以上の発症頻度である。肺高血圧症を引き起こす原因は、COPDや血栓症による毛細血管床の喪失、低酸素症や高炭酸ガス血症による血管収縮、肺胞内圧の上昇、細動脈の中膜肥厚が挙げられる。 |
診断の手掛 | 呼吸困難、労作性疲労などの慢性気管支炎及び肺気腫による症状と徴候を訴える患者を診たら本症を疑う。原因疾患は、慢性閉塞性肺疾患が最も多い。頸静脈圧上昇、胸骨傍隆起、浮腫、肝腫大、腹水などの症状も見逃さない。 |
主訴 |
易疲労感|Fatigue 肝腫大|Hepatomegaly 胸痛|Chest pain 頸静脈怒張|Jugular venous distention 呼吸困難|Dyspnea 失神|Syncope 咳|Cough 喘鳴|Wheeze/Stridor 痰|Sputum チアノーゼ|Cyanosis/Cyanopathy ばち指|Dubbed finger 浮腫|Edema/Dropsy 末梢性チアノーゼ|Peripheral cyanosis |
鑑別疾患 |
先天性心疾患 左室不全 慢性閉塞性肺疾患|Chronic Obstructive Pulmonary Disease(COPD) 慢性肺血栓塞栓症 肺静脈閉塞症 強皮症 間質性肺線維症 後側弯症 慢性心不全 特発性間質性肺炎|Idiopathic Interstitial Pneumonia(IIP) 慢性気管支炎 肺気腫|Pulmonary Emphysema |
スクリーニング検査 |
Erythrocytes|赤血球数 [/B] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] |
異常値を示す検査 |
Ammonia|アンモニア [/B] Brain Natriuretic Peptide|脳性Na利尿ペプチド [/P] Carbon Dioxide Partial Pressure|動脈血CO2分圧/炭酸ガス分圧/CO2分圧/PCO2/PaCO2 [/B] Catecholamines|カテコールアミン総 [/P, /U] Epinephrine|カテコールアミン総 [/U] Norepinephrine|カテコールアミン総 [/U] Oxygen Partial Pressure|動脈血O2分圧/酸素分圧/O2分圧/PO2 [/B] Oxygen Saturation|酸素飽和度/O2飽和度 [/B] Vanillylmandelic Acid|バニリルマンデル酸 [/U] Viscosity|血液粘稠度/血液流体特性検査/血液流体変動能検査 [/S] Volume [/P] |
関連する検査の読み方 |
【脳性Na利尿ペプチド】 右心不全期には1,000pg/mLを超え、400~500pg/mLに達することもある。BNPは心室から分泌されるホルモンで、強力な水・Na利尿作用、血管弛緩作用、交感神経系とレニン・アンジオテンシン系の抑制作用、心不全の病態改善作用などがある。健常者の血中濃度は極めて低値であるが、心筋虚血、心筋肥大や心負荷により産生量が増え血中濃度は高値となる。臨床的には心室負荷を表す指標として有用であり、心不全特に慢性心不全の重症度評価、治療効果判定や経過観察に用いる。臨床的にはANPと同時に測定されるが、重症心不全ではANP濃度をはるかに超えて上昇する。このため心不全の指標としてはANPよりも優れている。 【CBC】 COPDに続発した場合は、多血症がよく見られる。 【酸素飽和度】 85%未満であることが多い。So2は血液ガス分析により算出される指標の一つでヘモグロビン結合酸素量の酸素容量の対する比率で、So2=(Hb結合O2量/O2 capacity)×100で表わされる。臨床的意義は体内での酸素不足状態や肺での換気状態の把握に用いられる。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査、CT検査、MRI検査、超音波検査、右心カテーテル検査、呼吸機能検査、心筋シンチグラフィー、心電図検査 |