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疾患解説

フリガナ ビタミンB1ケツボウショウ
別名 チアミン欠乏症
脚気
臓器区分 代謝性疾患
英疾患名 Vitamin B1 Deficiency
ICD10 E51.9
疾患の概念 ビタミンB1(チアミン)含有量の少ない食物を常食とする発展途上国の人々や、アルコール中毒者に多くみられるが、インスタント食品常用者、菜食主義者、経腸あるいは経静脈栄養療法を受けている患者にも見られる。意識障害、眼症状、運動失調を訴えたらWernicke脳症を考える。欠乏症は、末梢神経、視床、乳頭体、小脳の変性を引き起こし、脳血流が著しく減少し、血管抵抗が増加する。心臓が拡張することがあるが、この場合は、筋線維の膨張、断片化、空胞化が生じ、体液により間質腔の拡張が見られる。血管拡張が起こるので、足と下肢に浮腫が生じる。
診断の手掛 初期症状は、非特異的であるが、病状が進むと易疲労感、いらいら、記憶力低下、睡眠障害、前胸部痛、食欲不振、腹部不快感などを訴えるようになる。欠乏症の症状または徴候のある患者に、B1を投与して反応を見るのも一つの診断法である。アルコール依存症、アルコール中毒者を見逃さない。チアミン欠乏は、末梢の神経脱落症状である乾性脚気、ウェルニッケ-コルサコフ症候群、心血管性脚気や乳児脚気を発症する。乾性脚気は両側性かつ対称性で、手袋靴下型に分布し、主に下肢を侵し、足指の錯感覚、夜間に重度となる足の灼熱感、腓腹部の筋痙攣、下肢の疼痛、足底の異常感覚で始まる。腓腹部の筋肉の圧痛、蹲踞姿勢からの起立困難および足指の振動覚の低下が初期徴候である。ウェルニッケ-コルサコフ症候群は、ウェルニッケ脳症とコルサコフ精神病が組み合わさったもので、チアミンが含まれた食事をしないアルコール依存症患者に発症し、精神運動の遅延、無関心、眼振、運動失調、眼筋麻痺、意識障害が見られ、無治療では昏睡から死に至る。心血管性脚気は、アミン欠乏症による心筋疾患で、血管拡張、頻脈、大きい脈圧、発汗、皮膚のほてり及び乳酸アシドーシスが見られ、心不全を発症し起座呼吸、肺浮腫、末梢浮腫を引き起こす。乳児脚気はチアミン欠乏症の母親から授乳を受ける乳児に生後3~4週間までに発症し、心不全、失声症、深部腱反射の消失が特徴的である。
主訴 易感染性|Susceptibility to infection
易疲労感|Fatigue
いらいら|Irritability
感覚障害|Sensory disturbance
記憶障害|Memory impairment
筋力低下|Weakness
健忘|Amnesia
食欲不振|Anorexia
徐脈|Bradycardia
睡眠障害|Sleep disorder
前胸部痛|Precordialgia
全身倦怠感|General malaise/Fatigue
体重減少|Weight loss
不安|Anxiety
腹部不快感|Abdominal discomfort
不眠|Insomnia
麻痺|Palsy/Paralysis/Numbness
やせ|Weight loss
抑うつ状態|Depressive state
鑑別疾患 糖尿病|Diabetes Mellitus
アルコール依存症|Alcoholism
ビタミンB12欠乏症|Vitamin B12 Deficiency
重金属中毒
甲状腺機能亢進症|Hyperthyroidism
下痢症|Diarrhea
吸収障害
肝不全|Hepatic Failure
両側性多発性神経障害
単一神経炎
多発性単神経炎
スクリーニング検査 Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B]
Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B]
Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/S]
異常値を示す検査 Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/S]
Carbon Dioxide Partial Pressure|動脈血CO2分圧/炭酸ガス分圧/CO2分圧/PCO2/PaCO2 [/B]
pH|尿pH [/B]
Pyrophosphate [/S]
Pyruvate [/B]
Thiamine|ビタミンB1/チアミン/サイアミン [/B]
Transketolase|トランスケトラーゼ/グルコースアルデヒドトランスフェラーゼ [/B]
関連する検査の読み方 【トランスケトラーゼ】
チアミンピロリン酸を加える前後での活性値を測定する。基準範囲以下になる。トランスケトラーゼは解糖の五炭糖リン酸回路第2相の反応に関与している酵素である。各種臓器に広く分布しているが、補酵素に活性化ビタミンB1が必要なので、ビタミンB1が欠乏すると低値を示す。臨床的にはビタミンB1欠乏状態の評価に用いる。異常値を認めたら、ビタミンB1を測定する。
【チアミン】
クレアチニン換算で一日尿中27μg/g未満になれば異常である。ビタミンB1は別名サイアミンと呼ばれる水溶性ビタミンで、穀物の胚芽、酵母、肝に含まれ糖代謝系の補酵素としての生理作用がある。欠乏状態は食事からの摂取量減少、肝硬変などでの利用障害、腸管からの吸収障害、妊娠、過労、甲状腺機能亢進による需要増大などによって引き起こされる。臨床的にはビタミンB1欠乏が疑われる時と高カロリー輸液の際のモニタリングとして測定される。
【ビタミンB1負荷試験】
ビタミンB1利用障害があれば、負荷30分後の全血総ビタミンB1濃度は基準範囲を超えて上昇し、その後速やかに下降する。
検体検査以外の検査計画 胸部X線検査

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