疾患解説
フリガナ | コツパジェットビョウ |
別名 | 変形性骨炎 |
臓器区分 | 運動器疾患 |
英疾患名 | Paget's Disease |
ICD10 | M88.99 |
疾患の概念 | 原因不明の、局所における骨代謝回転が亢進する慢性疾患で、成人に発症する。正常な骨基質が軟化し、肥大した骨と入れ替わる。何れの骨も罹患しうるが、特に骨盤、大腿骨、頭蓋骨、脛骨、脊椎などの発症が多い。患者は3:2の割合で男性が多く、遺伝的な素因が報告されている。原因として、複数の遺伝子異常が同定され、6番染色体由来のユビキチン結合に関連するSequestrum 1遺伝子の変異が、パジェット病患者の約10%で見られる。罹患骨の電子顕微鏡像では、ウイルス感染症が示唆されており、ウイルスが破骨細胞の異常な活性を引き起こすという仮説が立てられている。罹患部位では、骨代謝回転が亢進し、病変部は代謝が活発で、非常に血管に富む組織が認められる。約10~15%の患者は、骨形成の亢進とCa必要量増加により二次性副甲状腺機能亢進症を発症する。 |
診断の手掛 | 長期間に亘り無症候であることが多いが、骨痛が最初の症状であることが多く、骨にうずくような深い痛みを感じたら本症を疑う。痛みは夜間に強くなることがある。診断の手がかりとなる徴候としては、脊椎の後弯、脛骨の弯曲、両側頭部と前頭部の頭蓋拡大、頭皮静脈拡張、聴神経難聴、進行部位の頻繁な骨折などがある。40歳以上で骨盤、大腿骨、脊椎、頭蓋に急激で整合性の無い骨改変を呈する患者を診たら本疾患を強く疑う。病的骨折が、最初の臨床像であることもある。骨肉腫が1%未満で発症するが、この場合は、重度の疼痛を訴える。説明のつかない血清ALP高値でγ-GTが基準範囲内の場合も本症を強く疑う。 |
主訴 |
骨痛|Osteodynia/Bone pain/Ostalgia こわばり|Stiffness 頭痛|Headache/Cephalalgia 聴覚障害|Hearing impairment/Hearing disorder |
鑑別疾患 |
骨肉腫|Osteosarcoma 線維性骨異形成症 多発性骨髄腫|Multiple Myeloma 転移性骨腫瘍 嚢胞性線維性骨炎 |
スクリーニング検査 |
Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S] Calcium|カルシウム [/S] |
異常値を示す検査 |
24,25-Dihydroxy Vitamin D|24,25-ジヒドロキシビタミンD3/24,25-(OH)3ビタミンD [/S] Acid Phosphatase,Tartrate Resistant (I/S)Alkaline Phosphatase,Bone Isoenzyme [/S] Amino-terminal Propeptide of Type I Procollagen [/S] Bone Sialoprotein|骨シアロ蛋白質 [/S] C-terminal Propeptide of Type I Collagen [/S] C-terminal Telopeptide of Type I Collagen|I型コラーゲンC末端テロペプチド [/U] Deoxypyridinoline|デオキシピリジノリン [/U] Galactosyl-Hydroxylysine [/U] Hydroxyproline|総ヒドロキシプロリン/ヒドロキシプロリン [/U] N-terminal Telopeptide of Type I Collagen [/Bone Marrow] Osteocalcin|オステオカルシン [/S] Parathyroid Hormone|副甲状腺ホルモン [/P] Procollagen Type I Peptide [/S] Type I Collagen Cross-linked C-telopeptide [/S] Type I Collagen Telopeptide [/S] |
関連する検査の読み方 |
【ALP】 無症状の患者がALP高値で偶然見つかることが多い。値は疾患の活動性を反映する。ALP高値で、γ-GT値と無機リン値が基準範囲内の高齢者は、骨パジェット病を考慮する。 【Ca】 血清中、尿中の値は患者が安静状態にあると、高値になることもあるが、通常は基準範囲内である。 【無機リン】 基準範囲内である。 【ヒドロキシプロリン】 Hypの尿中の値は高値になる。 |
検体検査以外の検査計画 | 骨X線検査、CT検査、MRI検査 |