疾患解説
フリガナ | イセツジョゴショウコウグン |
別名 | |
臓器区分 | 消化器疾患 |
英疾患名 | Postgastrectomy Syndrome |
ICD10 | K91.1 |
疾患の概念 | 胃切除後の早期、晩期に発症する機能的、器質的障害を来す合併症で、ダンピング症候群、輸入脚症候群、栄養障害、逆流性食道炎、牛乳不耐症、貧血、体重減少、骨代謝障害、胃切除後胆石症、残胃癌などがある。原因は1.胃の貯蔵能、粉砕能、排泄能などの胃運動の障害 2.胃が分泌する塩酸、ペプシノゲン、ビタミンB12 の吸収に必要な内因子などの分泌障害 3.輸入脚内での停滞である。 |
診断の手掛 | 胸やけ、胸痛、つかえ感があれば逆流性食道炎を、また食後5~30分に冷汗、動悸、顔面紅潮、めまいを訴えればダンピング症候群を疑う。食後15~30分に上腹部痛、腹部膨満感、胆汁性嘔吐があれば輸入脚症候群の可能性が高い。この他、下痢、脂肪便、腹部膨満感、体重減少、貧血症状などを訴えれば吸収機能障害を、腹痛、食欲不振、吐下血などを訴えれば吻合部潰瘍を考える。 |
主訴 |
嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea 顔面紅潮|Facial suffusion 胸痛|Chest pain 下痢|Diarrhea 脂肪便|Steatorrhea 心窩部痛|Epigastralgia/Epigastric pain/Upper abdominal pein 頭痛|Headache/Cephalalgia 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 体重減少|Weight loss 脱力感|Weekness 動悸|Palpitations 貧血症状|Anemic symptom 腹部膨満感|Sense of Abdominal fullness 浮腫|Edema/Dropsy 胸焼け|Heartbum/Pyrosis めまい|Dizziness やせ|Weight loss 冷汗|Cold sweat |
鑑別疾患 |
胃癌の再発 ダンピング症候群 輸入脚症候群 栄養不良 胃食道逆流症|Gastroesophageal Reflux 貧血 骨代謝障害 胆石症|Cholecystolithiasis |
スクリーニング検査 |
Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/S, /S] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] Iron|鉄/血清鉄 [/S] MCH|平均赤血球ヘモグロビン量 [/B] MCHC|平均赤血球ヘモグロビン濃度 [/B] MCV|平均赤血球容積 [/B] Potassium|カリウム [/S] |
異常値を示す検査 |
5-HIAA|5-ヒドロキシインドール酢酸 [/P] Fat|脂肪(糞便) [/F] Glucagon|グルカゴン/膵グルカゴン [/P] Glucose Tolerance|ブドウ糖負荷試験/グルコース負荷試験 [/S] Neurotensin|ニューロテンシン [/P] Serotonin|セロトニン/5-ヒドロキシトリプタミン [/P] Vitamin B12|ビタミンB12/コバラミン/シアノコバラミン [/S] Volume [/P] α-Melanocyte Stimulating Hormone|α-メラノサイト刺激ホルモン [/S] β-Endorphin|β-エンドルフィン [/P] |
関連する検査の読み方 |
【5-HIAA】 発症時には50mg/日以上に高度増加することがある。5-HIAAはセロトニンの主要代謝産物で、血液中の殆どのセロトニンは5-HIAAとして尿中に排泄される。血漿中の値が高い場合はCarcinoid症候群、Dumping症候群が強く示唆され診断的有用性が高い。 【セロトニン】 高度に増加することがある。5-HTは約90%が消化管に、残りが脳と血小板に分布し血管や気管支の平滑筋収縮、消化管運動・分泌調節、知覚・睡眠などへの関与、血小板凝集促進などの作用がある。血中5-HTの大部分は5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)として尿中に排泄されるので両者の同時測定が望ましい。 【ニューロテンシン】 高値になる。ニューロテンシンは中枢神経系、腸管神経叢などの神経系組織と小腸粘膜のN細胞に分布するペプチドで、消化器系では胃酸分泌抑制、小腸と大腸の腸管運動の促進、膵では外分泌刺激作用、インスリンとグルカゴンの分泌促進作用などが知られている。また、中枢神経系ではドパミン作動ニューロンの機能調節や下垂体前葉ホルモンの分泌調節に関与している。 |
検体検査以外の検査計画 | 胃・食道内視鏡検査、上部消化管X線検査、超音波検査、pHモニタリング、ダンピング誘発試験 |