疾患解説
フリガナ | キカンシカクチョウショウ |
別名 | |
臓器区分 | 呼吸器疾患 |
英疾患名 | Bronchiectasis |
ICD10 | J47 |
疾患の概念 | 慢性の感染及び炎症によって引き起こされる気管支の不可逆的な拡張を特徴とする臨床症候群で、原因不明の特発性と肺結核、肺化膿症、気道閉塞、じん肺などによる続発性に分けられる。ただし、原因疾患が明らかなものは原疾患名が付けられる。気管支拡張症は、慢性的な気道炎症を引き起こす様々な疾患の最終段階とされている。びまん性気管支拡張症は、肺の多数の領域を侵すが、限局性気管支拡張症は病変が1ないし2領域に限られる。びまん性気管支拡張症は、主として気道を侵す遺伝的、免疫学的または解剖学的異常を伴う患者に発症する。限局性気管支拡張症は、未治療の肺炎や異物、腫瘍、術後変化、リンパ節腫脹による閉塞の結果として生じる。 |
診断の手掛 | この疾患は、拡張気管支の慢性あるいは繰り返す感染と分泌、貯留した分泌物がもたらすので、大量の濃厚で粘り気のある膿性痰を伴う慢性の咳を訴える患者を診たら本症を疑う。主訴としては呼吸困難がよく見られるが、炎症で脆弱化した気道粘膜からの喀血(50~70%)を伴うこともある。最も頻度の高い症状は慢性咳嗽で、濃厚で粘稠な膿性の痰を喀出する。呼吸困難や喘鳴の頻度が高く、胸膜性胸痛も出現する。疾患が進行すると、低酸素血症および肺高血圧症による右心不全が出現し、呼吸困難を悪化させる。 |
主訴 |
易疲労感|Fatigue 喀血|Hemoptysis 血痰|Bloody sputum/Hemoptysis 口臭|Halitosis 呼吸困難|Dyspnea 咳|Cough 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 体重減少|Weight loss 痰|Sputum 膿性痰|Purulent sputum 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever ばち指|Dubbed finger やせ|Weight loss |
鑑別疾患 |
気管支アスペルギルス症 気管支喘息 気管支肺炎 肺結核|Pulmonary Tuberculosis 非結核性抗酸菌症|Non-Tuberculous Mycobacteria(NTM) びまん性汎細気管支炎 慢性副鼻腔炎 慢性閉塞性肺疾患|Chronic Obstructive Pulmonary Disease(COPD) |
スクリーニング検査 |
Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] Leukocytes|白血球数 [/B] Lymphocytes|リンパ球 [/Sputum] Neutrophils|好中球 [/Sputum] γ-Globulin|γ-グロブリン [/S, /S] |
異常値を示す検査 |
Arylsulfatase [/S] CA 19-9|CA19-9 [/S] Cells [/Sputum] Cold Agglutinins|寒冷凝集反応/寒冷血球凝集反応 [/S] Oxygen Partial Pressure|動脈血O2分圧/酸素分圧/O2分圧/PO2 [/B] Surfactant Protein A|サーファクタントプロテインA/肺サーファクタントプロテインA [/S] Surfactant Protein D|サーファクタントプロテインD/肺サーファクタントプロテインD [/S] |
関連する検査の読み方 |
【CA19-9】 増加することがある。 【CBC】 軽度~中等度の貧血がみられれば慢性炎症の合併を考える。白血球は肺炎の合併がなければ基準範囲内である。 【Na】【Cl】 汗のNaとClは基礎疾患である嚢胞性線維症の診断に必要である。 【喀痰一般検査】 多量で膿性粘液状(血性もししばしばみられる)、甘臭がする。培養ではインフルエンザ桿菌と緑膿菌が多い。 【喀痰細菌培養】 細菌、マイコバクテリウム・アビウム、結核菌、アスペルギルス属などの染色、培養を行う。 【気管支肺胞洗浄液一般検査】 好中球が増加する。 【サーファクタントプロテインA】【サーファクタントプロテインD】 高値になることがある。 【PaCO2】 低換気によりPaCO2が40Torr以上になる。 【肺機能検査】 ベースラインの肺機能および疾患進行のモニタリングに有用である。気管支拡張症は気流制限(1秒量[FEV1]、努力肺活量[FVC]、およびFEV1/FVC比の減少が診られる。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査、高分解能CT検査、気管支造影検査、気管支鏡検査、呼吸機能検査、電子顕微鏡検査 |