疾患解説
フリガナ | キョケツセイダイチョウエン |
別名 | |
臓器区分 | 消化器疾患 |
英疾患名 | Ischemic Colitis |
ICD10 | K55.9 |
疾患の概念 | 腸間膜動脈の分枝である結腸動脈の末梢枝の血流減少や、腸管壁内の微小循環障害によって生ずる可逆的な限局性の虚血性病変で、中高年の女性に好発するが、最近では若年者にも見られるようになった。障害は粘膜および粘膜下層に限定され、全層壊死が起こることはごく稀である。アテローム性動脈硬化による小型血管の動脈硬化が原因と考えられている。 |
診断の手掛 | 60歳以上の高齢者で糖尿病、心疾患などの基礎疾患を有し、急速に発症する腹痛(左下腹部痛)に続いて下痢、下血を起こす患者を診たら本症を疑う。腹痛、下痢、下血が3主徴である。通常、症状は急性腸間膜虚血症と比較して軽度で出現が緩徐であり、左下腹部痛に続いて下血が起こる特徴がある。約5%の患者に再発がみられ、数週間後に虚血部位に狭窄が生じる場合がある。 |
主訴 |
下腹部痛|Hypogastric pain 下血|Melena 下痢|Diarrhea 消化管出血|Gastrointestinal bleeding 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 腹痛|Abdominal pain |
鑑別疾患 |
潰瘍性大腸炎|Ulcerative Colitis クローン病|Crohn's Disease 憩室炎|Diverticulitis 結合組織病 高血圧症|Hypertension 心疾患 糖尿病|Diabetes Mellitus 動脈硬化症|Arteriosclerosis 薬剤性腸炎 感染性腸炎 アメーバ赤痢|Amebic Dysentery 腸結核 腸Behcet病 大腸癌|Cancer of Colon |
スクリーニング検査 |
Leukocytes|白血球数 [/B] C-reactive Protein|C反応性蛋白 [/S] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Inorganic Phosphate|無機リン [/S] |
異常値を示す検査 | |
関連する検査の読み方 |
【無機リン】 25%の患者で増加する。5.5mg/dL以上であれば広範囲の腸管損傷を考える。IPは生体内にCaに次いで多く存在する無機物で約500~800gあり、80~90%は骨に、15%が細胞内液に分布し細胞外液は0.1%程度と少ない。臨床的にはイオン化したリンをCaと共に骨代謝の異常を知るために測定する。ただし、IPは血清中では生理作用がないため、IP量が変動しても症状として現れることはない。 |
検体検査以外の検査計画 | 注腸造影検査、内視鏡検査、腹部単純X線検査、腹部超音波検査、血管造影検査、腹部CT検査 |