疾患解説
フリガナ | コウNaケッショウ |
別名 | |
臓器区分 | 電解質代謝疾患 |
英疾患名 | Hypernatremia |
ICD10 | E87.0 |
疾患の概念 | Na過剰か水分欠乏(脱水)によるが、多くの場合溶質に対する水分欠乏によって発症する。臨床的には高浸透圧血症を呈する。Naは体液浸透圧の指標であるが、145mEq/L以上を高Na血症といい、高浸透圧血症を伴う。細胞外液量減少型(hypovolemic)の高Na血症は、Naよりも大量の水分が体から失われたときに生じる。原因である浸透圧利尿を引き起こす物質は利尿薬、グリセロール、マンニトールなどであるが、浸透圧利尿による高Na血症の原因で最も頻度が高いものは、糖尿病患者の高血糖である。細胞外液量正常型(euvolemic)の高Na血症は、体内総水分量が減少し、体内総Na量はほぼ正常な状態で、大量発汗などの水分喪失による純粋な水分不足が原因である。細胞外液量増加型(hypervolemic)の高Na血症は、水分摂取制限を伴う大幅なNa摂取増加が原因で、乳酸アシドーシス治療中の高張性NaHCO3の過剰輸液、水分摂取制限を伴う大量のNa摂取、大量の高張食塩水の輸液で引き起こされる。また、高齢者の高Na血症は、術後患者、経管栄養または静脈栄養が行われている患者に多く見られる。 |
診断の手掛 | 強い口渇を訴える患者は、常に高Na血症の可能性を考える。高Na血症では細胞外液の浸透圧の上昇を減弱のため水分が細胞内から移動する。これにより脳細胞が収縮し、錯乱、神経筋の興奮、痙攣発作、混迷、昏睡などの症状を発症し、死亡率は40~60%と高い。また、脳細胞容積を減少は、くも膜下出血、脳内出血のリスクが増加し、死亡した患者は、皮質下またはくも膜下出血を伴う脳血管障害および静脈血栓症がよく見られる。 |
主訴 |
意識障害|Memory impaiment 嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea 筋力低下|Weakness 痙攣発作|Seizures/Convulsion/Convulsive seizure 口渇|Thirst 昏睡|Coma 昏迷|Stupor 錯乱|Confusion 頭痛|Headache/Cephalalgia 体重減少|Weight loss ツルゴール低下|Poor skin turgor 粘膜乾燥|Dryness of mucosa 皮膚乾燥|Xeroderma 乏尿|Oliguria 麻痺|Palsy/Paralysis/Numbness 無尿|Anuria やせ|Weight loss |
鑑別疾患 |
クッシング症候群|Cushing's Syndrome 高Ca血症|Hypercalcemia 腎性尿崩症|Diabetes Insipidus, Nephrogenic(NDI) 脱水症|Dehydration 中枢性尿崩症|Diabetes Insipidus,Central(CDI) 低K血症|Hypokalemia 糖尿病性ケトアシドーシス|Diabetic Ketoacidosis(DKA) 非ケトン性高浸透圧症候群|Nonketotic Hyperosmolar syndrome(NKHS) 原発性アルドステロン症|Primary Aldosteronism 薬剤(デメクロサイクリン、リチウム、アムホテリシンB、フェニトイン、ラクツロース、コレスチラミン、マンニトール) 低K血症|Hypokalemia |
スクリーニング検査 | Sodium|ナトリウム [/S] |
異常値を示す検査 | Osmotic Pressure|浸透圧 [/S] |
関連する検査の読み方 |
【グルコース】 100mg/dL増加するごとに、Naは1.7mEq/dL低下する。 【浸透圧】 血清の値は340mOm/kg以上に著しく増加する。腎性水分喪失と非腎性水分喪失との鑑別に有用である。尿浸透圧は800mOsm/L以上になるが、800mOsm/L以下なら水分保持の障害を考える。高Na血症があって尿浸透圧が300mOsm/L未満の場合は部分型の尿崩症か浸透圧利尿である。 【デスモプレシンへの反応】 中枢性尿崩症と腎性尿崩症との鑑別に用いる。中枢性尿崩症では尿浸透圧が50%以上上昇するが、腎性では変化しない。 【Na】 Naが130mEq/L以下なら水分過剰である。尿中Naは20mEq/L以上である。Clは中等度に増加する。 【水制限試験】 多尿状態の鑑別に必要なこともある。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査 |