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疾患解説

フリガナ トウニョウビョウセイケトアシドーシス
別名
臓器区分 代謝性疾患
英疾患名 Diabetic Ketoacidosis(DKA)
ICD10 1型糖尿病家とアシドーシス:E10.1
2型糖尿病ケトアシドーシス:E11.1
疾患の概念 インスリンの著しい不足ないし作用障害で引き起こされるケトン血症を主徴候とする糖尿病の重篤な合併症で、1型糖尿病の治療中断時・発症時に生じることが多いが、2型糖尿病でも糖質過剰摂取により生じることがある。検査値としては、血糖>250mg/dL、血液pH<7.3のアシドーシス、血清重炭酸イオン<15mEq/L、血清ケトン陽性になる。インスリン欠乏による高血糖により浸透圧利尿が起こり、水分および電解質の著明な喪失が見られ、尿中へのケトン体排泄により、NaおよびKがさらに喪失する。Kの喪失は、時に24時間で300mEqを上回るので、K値のモニタリングと補充が行われなければ、生命を脅かす低K血症が生じる恐れがある。DKAの誘因となりうるストレスは、肺炎、尿路感染症、心筋梗塞、脳卒中、膵炎、外傷があるが、薬剤ではコルチコステロイド、サイアザイド系利尿薬、交感神経刺激薬がある。
診断の手掛 主として1型糖尿病の患者に、高血糖による症状と悪心、嘔吐、腹痛が見られたら本症を疑う。患者は脱水やアシドーシスによる低血圧や頻脈を呈し、酸血症を代償するために、患者はクスマウル呼吸をし、呼気中のアセトンにより果物のような香りのする息になる。腹痛は急性膵炎、腸破裂が疑われるような激しい場合もある。急性脳浮腫はDKA患者の約1%に生じる合併症で、死亡に進展する可能性があり、慎重な観察が必要である。
主訴 意識障害|Memory impaiment
易疲労感|Fatigue
嘔吐|Vomiting
悪心|Nausea
片麻痺|Hemiplegia
筋肉痛|Myalgia
傾眠|Drowsiness/Somonolency
痙攣発作|Seizures/Convulsion/Convulsive seizure
血圧低下|Blood pressure decreased
下痢|Diarrhea
口渇|Thirst
行動異常|Behavior abnomality
項部硬直|Nuchal stiffness/Stiffness of neck/Stiff neck
呼気アセトン臭|Ordor of acetone in the breath
昏睡|Coma
昏迷|Stupor
頭痛|Headache/Cephalalgia
多尿|Polyuria
発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever
皮膚緊張低下|Poor skin turgor
頻脈|Tachycardia
腹痛|Abdominal pain
乏尿|Oliguria
無尿|Anuria
鑑別疾患 肝性昏睡
中毒性意識障害
糖尿病|Diabetes Mellitus
糖尿病性低血糖
乳酸アシドーシス
妊娠高血圧症候群|Pregnancy-induced Hypertension
脳血管障害
非ケトン性高浸透圧症候群|Nonketotic Hyperosmolar syndrome(NKHS)
慢性腎不全|Chronic Renal Failure
急性脳症
低K血症|Hypokalemia
低リン血症|Hypophosphatemia
肝性脳症|Hepatic Encephalopathy
過換気症候群|Hyperventilation Syndrome
Huntington病
スクリーニング検査 Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S]
Amylase|アミラーゼ [/S]
Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S]
Cholinesterase|コリンエステラーゼ/ブチルコリンエステラーゼ/偽コリンエステラーゼ [/S]
Creatine Kinase|クレアチンキナーゼ/クレアチンホスホキナーゼ [/S]
Eosinophils|好酸球 [/B]
Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/S]
Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B]
Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S]
Leukocytes|白血球数 [/B]
Lymphocytes|リンパ球 [/B]
Magnesium|マグネシウム [/S]
Neutrophils|好中球 [/B]
Phosphate|無機リン [/S]
Potassium|カリウム [/S, /S]
Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/S]
Sodium|ナトリウム [/S, /S]
Thyroxine (T4)|総サイロキシン/総T4/サイロキシン/チロキシン [/S]
Tri-Iodothyronine (T3)|総トリヨードサイロニン/総T3/トリヨードサイロニン/トリヨードチロニン [/S]
Urea Nitrogen|尿素窒素 [/S]
Uric Acid|尿酸 [/S]
γ-Glutamyltranspeptidase|γ-グルタミルトランスペプチダーゼ/γ-グルタミルトランスフェラーゼ [/Saliva]
異常値を示す検査 Anion Gap|アニオンギャップ [/B]
Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/S]
Carbon Dioxide Partial Pressure|動脈血CO2分圧/炭酸ガス分圧/CO2分圧/PCO2/PaCO2 [/B]
Glucagon|グルカゴン/膵グルカゴン [/P]
Glutamate Dehydrogenase|グルタミン酸脱水素酵素 [/S]
Glutathione Peroxidase [/S]
Growth Hormone|成長ホルモン [/P]
Isocitrate Dehydrogenase|イソクエン酸脱水素酵素/イソクエン酸デヒドロゲナーゼ [/S]
Ketone Bodies,Fractionation|ケトン体分画 [/B]
Ketones,Qualitative|ケトン体定性 [/S, /U]
Lactate|乳酸/ラクテート [/B]
Lipase|リパーゼ/膵リパーゼ [/S]
Lipids|総脂質 [/S]
Malate Dehydrogenase|リンゴ酸脱水素酵素 [/S]
Malondialdehyde [/S]
Norepinephrine|カテコールアミン総 [/P]
Organic Hydroperoxides [/S]
pH|尿pH [/B]
Prolactin|プロラクチン/乳汁分泌ホルモン [/P]
Selenium|セレン/セレニウム [/S]
Sorbitol Dehydrogenase|ソルビトール脱水素酵素 [/S]
Zinc|亜鉛 [/S]
関連する検査の読み方 【CBC】
白血球は感染が無くとも増加し、しばしば20,000/μL以上である。リンパ球と好酸球は減少する。ヘモグロビンとヘマトクリットは血液量の低下で相対的に増加する。
【ESR】
感染が無くとも、糖尿病患者では亢進することがある。
【グルコース】
通常300mg/dL以上に増加。500~800mg/dLを越えれば、非ケトン性高浸透圧性高血糖を示唆する。値と重症度は相関しない。
【アミラーゼ】【リパーゼ】
唾液アミラーゼと膵アミラーゼがしばしば上昇している。リパーゼも上昇する。
【電解質】
Naの著しい低値(120mEq/L)は、通常高トリグリセリド血症か高浸透圧が原因。Kは基準範囲内かアシドーシスによる細胞からの流出で増加するが、アシドーシスが訂正されると4.5mEq/L未満の著明なK欠乏を示す。
【クレアチニン】
高値になる。
【β-ヒドロキシ酪酸】
血清中で高値となる。
【尿一般検査】
尿ケトン体が著しく増加する。糖尿病患者で尿糖、尿ケトン体陽性なら糖尿病性アシドーシス発症を考える。
【ケトン体分画】
総ケトン体が2,000μmol/L以上に著しく増加する。ケトン体分画は静脈血中のアセト酢酸(AcAc)、3-ヒドロキシ酪酸(3-HBA)、総ケトン体と動脈血中のアセト酢酸/3-ヒドロキシ酪酸比(ケトン体比)を測定するもので、糖代謝障害、飢餓状態、悪液質などの際のケトン血症の診断に用いる。AcAcや3-HBAが血中に増加した状態をケトン血症と呼び、濃度が腎閾値を超えるとケトン尿になる。また、ケトン体はインスリンと逆相関にあり、インスリン作用が低下し血糖が上昇すると血中ケトン体は上昇する。
【浸透圧】
高値になるが、340mOsm/L以下である。
【動脈血ガス分析】
塩基の喪失、酸の負荷によりHCO3-は24mEq/L以下、pHは7.30未満である。
【Anion Gap】
12を超える高値となる。AGは乳酸やケトン体などの量を間接的に表す指標でAG=(Na)-(Cl-)+(HCO3-)の式で計算され、陰イオン(乳酸、ピルビン酸、リン酸、硫酸)増減の指標となる。臨床的には酸塩基平衡以上を来す疾患に用いる。
【確定診断】
1)高血糖、2)ケトーシス、3)アシドーシス、の3要素がそろえば本症と診断される。高血糖の存在下で、動脈血pH < 7.30、アニオンギャップ > 12、血清中のケトン体陽性、尿糖と尿ケトン体が強陽性ならDKAの診断が確定される。
検体検査以外の検査計画 心電図検査

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