疾患解説
フリガナ | シンケイガサイボウシュ |
別名 | 神経芽腫 |
臓器区分 | 小児疾患 |
英疾患名 | Neuroblastoma |
ICD10 | C74.9 |
疾患の概念 | 副腎あるいは副腎外の交感神経叢から発生する癌で、症例の約90%は5歳未満の乳児である。頻度は低いが後腹膜、胸部、頸部を含む副腎外の交感神経鎖からも発生する。染色体上に細胞遺伝学的異常が多く存在し、N-myc遺伝子、高2倍体、病理組織学的所見が進行および予後と相関する。殆どの神経芽細胞腫はカテコールアミンを産生し、尿中のカテコールアミン分解産物が高値となる。診断時点で、約40~50%の患者が所属のリンパ節に転移しており、50~60%は遠隔転移がみられる。遠隔転移の部位は骨髄、骨、肝臓、リンパ節であるが、稀に皮膚や脳に転移することもある。 |
診断の手掛 | 症状と徴候は原発巣の部位と病変の広がりで異なるが、最も多い症状は腹痛、不快感、腹部腫瘤による腹部膨満感である。一部の症状は転移により起こるので、広範囲の骨転移による骨痛、眼球後部への転移による眼窩周囲の斑状出血及び眼球突出、骨髄転移による貧血、血小板減少による点状出血なども見逃さない。脊柱管内へ転移すると、局所神経脱落症状または麻痺を来す。また、小脳性運動失調、眼球クローヌス-ミオクローヌス、水様性下痢、高血圧などの腫瘍随伴症候群を呈することもある。 |
主訴 |
腹痛|Abdominal pain 腹部腫瘤|Abdominal tumor/Abdominal mass 腹部不快感|Abdominal discomfort 腹部膨満感|Sense of Abdominal fullness |
鑑別疾患 |
再生不良性貧血|Aplastic Anemia 骨髄異形成症候群|Myelodysplastic Syndrome 伝染性単核球症|Infectious Mononucleosis 肝芽細胞腫 Wilms腫瘍 横紋筋肉腫 胚細胞腫瘍 非ホジキンリンパ腫|Non-Hodgkins Lymphoma(NHL) 腫瘍随伴症候群 腎腫瘤 悪性リンパ腫|Malignant Lymphoma 生殖器腫瘍 |
スクリーニング検査 | CEA|癌胎児性抗原 [/S] |
異常値を示す検査 |
Arylsulfatase [/U] Catecholamines|カテコールアミン総 [/P] Chromogranin-A|クロモグラニンA [/S,/P] Dopamine|ドーパミン [/P, /U] Homovanillic Acid|ホモバニリン酸 [/U] Metanephrine|メタネフリン/メタアドレナリン/メタネフリン総 [/U] Neuron-specific Enolase|神経特異エノラーゼ [/S] Neuropeptide Y|ニューロペプチドY [/P] Vanillylmandelic Acid|バニリルマンデル酸 [/U] |
関連する検査の読み方 |
【N-myc遺伝子検査】 約50%に増幅を認める。Ⅲ・Ⅳ期Ⅱ多い。MYCN遺伝子は細胞内の癌原遺伝子であるmyc遺伝子群の一つで神経芽細胞腫から分離・同定された。臨床的にはMYCN増幅例の神経芽細胞腫は、予後が悪いことが明らかにされているので、疾患の予後推定に用いる。 【神経特異エノラーゼ】 10ng/mL以上に増加することがある。 【HVA】 尿中の値は6.7mg/日以上の高値になる。尿中のバニルマンデル酸(VMA)もしくはホモバニルマンデル酸(HVA)、またはその両方が、患者の90%以上で高値となる。 【VMA】 尿中の値は5.1mg/日以上の高値になる。 【メタネフリン】 尿中の値は1mg/日以上の異常高値になることがある。カテコールアミンの中間代謝産物である、メタネフリンとノルメタネフリンを分画定量する検査である。臨床的にはカテコールアミンと同様に神経芽細胞腫や褐色細胞腫を疑う患者に測定する。24時間尿中に排泄された量により一日のカテコールアミンの排泄量が推定できる。 【染色体】 1番染色体のp36バンドに欠失が認められる。 【生検】 確定診断は生検で行う。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸・腹部単純X線検査、腹部超音波検査、造影CT検査、MRI検査、核医学的検査 |