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疾患解説

フリガナ ジンジョウセイテンポウソウ
別名
臓器区分 皮膚疾患
英疾患名 Pemphigus Vulgaris
ICD10 L10.0
疾患の概念 主に中・高齢者の皮膚、粘膜に表皮内水疱やびらんを生じる、稀な自己免疫性疾患で、重症例では死に至ることもある。尋常性天疱瘡は、中・高年患者に発症するのが普通で、発症頻度に男女差はない。非ホジキンリンパ腫患者に腫瘍随伴性天疱瘡という亜型が発症することがある。この疾患は、カルシウム依存性のカドヘリンであるデスモグレイン1およびデスモグレイン3に対するIgG自己抗体を特徴とする。患者はHLA-DR4およびHLA-DRw6のハプロタイプを有する頻度が高い。
診断の手掛 水疱性疾患または慢性のびらん、粘膜潰瘍を訴える患者は本疾患を疑うべきである。初期症状は、疼痛を伴う口腔粘膜びらんあるいはアフタの長期にわたる繰り返しであるが、その後突然全身に弛緩性水疱が出現する。口腔粘膜病変は約90%の患者で、経過中のいずれかの時期に必ず生じる。皮膚水疱は一見正常な皮膚に発症し、破れて痂皮を伴うびらん面を残すが、そう痒はない。
【診断基準:2010年日本皮膚科学会】
(1)臨床診断項目:①皮膚に多発する、破れやすい弛緩性水泡 ②水泡に続発する進行性、難治性のびらん、あるいは鱗屑痂皮性局面 ③口腔粘膜を含む可視粘膜部の非感染性水泡、あるいはびらん ④Nikolsky現象陽性
(2)病理組織学的診断項目:表皮細胞間接着障害(棘融解)による表皮内水泡を認める。
(3)免疫組織学的診断項目:①病変部ないし外見上正常な皮膚・粘膜部の細胞膜間にIgG(時に補体)の沈着を直接蛍光抗体法により認める。②血清中に抗表皮細胞膜IgG自己抗体(抗デスモグレインIgG抗体)を間接蛍光抗体法あるいはELISA法またはCLEIA法により同定する。
(4)判定及び診断:①(1)項目のうち少なくとも1項目と(2)項目を満たし、かつ(3項目のうち少なくとも1項目を満たす症例。②(1)項目のうち2項目以上を満たし、(3)項目の①、②を満たす症例
主訴 アフタ|Aphtha
潰瘍|Ulcer
口腔内潰瘍|Oral cavity ulcer
口腔粘膜びらん|Erosion of oral mucosa
水疱|Bulla/Blister
ニコルスキー現象|Nikolsky phenomenon
皮膚びらん|Skin erosion
びらん|Erosion
鑑別疾患 水疱性類天疱瘡|Bullous Pemphigoid
後天性表皮水疱症
疱疹状皮膚炎|Dermatitis Herpetiformis
多形滲出性紅斑
薬疹|Drug Eruption
中毒疹
落葉状天疱瘡
水疱性接触皮膚炎
中毒性表皮壊死症
スクリーニング検査 Albumin|アルブミン [/S]
Eosinophils|好酸球 [/B, /B]
Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B]
Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B]
Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B]
Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [/S]
Leukocytes|白血球数 [/B]
Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/S]
異常値を示す検査 Antibody Titer [/S]
Anti-Desmoglein 1 Autoantibody|抗デスモグレイン1抗体/抗Dsg1抗体 [Positive/S]
Anti-Desmoglein 3 Autoantibody|抗デスモグレイン3抗体/抗Dsg 3抗体 [positive/S]
Complement Fixation [/S]
Complement, Total|補体価/CH50 [/S]
Cryoglobulins|クリオグロブリン [/S]
Immunoglobulin E|免疫グロブリンE/非特異的IgE/レアギン抗体 [/S]
Indirect Fluorescent Antibodies [/S]
Soluble E-Cadherin|可溶性E-カドヘリン [/S]
Soluble E-Selectin|可溶性E-セレクチン/可溶性CD62E/可溶性ELAM-1 [/S]
関連する検査の読み方 【抗デスモグレイン抗体】
抗デスモグレイン抗体は抗Dsg1抗体と抗Dsg3抗体に分けられ、抗Dsg1抗体は落葉状天疱瘡と尋常性天疱瘡に、また抗Dsg3抗体は尋常性天疱瘡に出現する自己抗体で、これら疾患の病因であることが明らかになっている。
【抗デスモグレイン1抗体】【抗デスモグレイン3抗体】
天疱瘡は細胞間接着因子のデスモグレイン1あるいはデスモグレイン3に対する自己抗体によって細胞間の接着が障害されて水疱を形成する疾患である。抗Dsg 1抗体は天疱瘡の落葉状天疱瘡と粘膜皮膚型尋常性天疱瘡で陽性になり、粘膜優位型尋常性天疱瘡では陰性になる。このため抗Dsg 1の測定は天疱瘡の臨床型の鑑別の際に行われる。また、落葉状天疱瘡の病勢と並行して推移するので、病勢のモニタリングに有用とされている。
【生検】
新鮮な病変の辺縁及びその近傍の皮膚を生検材料とする。
検体検査以外の検査計画

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