疾患解説
フリガナ | ハイホウタンパクショウ |
別名 | |
臓器区分 | 呼吸器疾患 |
英疾患名 | Pulmonary Alveolar Proteinosis |
ICD10 | J84.0 |
疾患の概念 | 肺胞と細気管支内にサーファクタント・リポ蛋白とリン脂質が貯留する疾患で、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の異常による肺胞マクロファージのサーファクタント処理障害が原因と考えられている。多くは特発性で、30~50歳の男女に発症する。二次性肺胞蛋白症は、急性珪肺症、Pneumocystis jirovecii感染症、造血器悪性腫瘍、薬剤による免疫抑制のある患者、アルミニウム・チタン・セメント・セルロース塵埃の吸入がある場合に発症する。 |
診断の手掛 | 1/3の症例は無症状で、胸部X線検査でたまたま発見される。残りの症例は徐々に進行する労作時呼吸困難が主症状で、易疲労感、体重減少、微熱が見られる。時に塊状または粘着性の痰を排出する咳が見られるが、一般的ではない。ばち状指やチアノーゼはあまり見られない。 |
主訴 |
易疲労感|Fatigue 咳|Cough 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 体重減少|Weight loss 痰|Sputum 白色ガム状痰|White gum-like sputum やせ|Weight loss 労作時呼吸困難|Exertional dyspnea |
鑑別疾患 |
特発性間質性肺炎|Idiopathic Interstitial Pneumonia(IIP) 肺サルコイドーシス 膠原病 細菌性肺炎 過敏性肺炎 薬剤性肺炎 レジオネラ症/在郷軍人病|Legionnaires' Disease 癌性リンパ管症 ニューモシスチス肺炎|Pneumocystis Pneumonia サイトメガロウイルス肺炎 |
スクリーニング検査 |
Albumin|アルブミン [/BAL Fluid] CEA|癌胎児性抗原 [/BAL Fluid, /S] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S] |
異常値を示す検査 |
Carbon Dioxide Partial Pressure|動脈血CO2分圧/炭酸ガス分圧/CO2分圧/PCO2/PaCO2 [/B] KL-6 Antigen|シアル化糖鎖抗原KL-6/KL-6 [/S] Oxygen Partial Pressure|動脈血O2分圧/酸素分圧/O2分圧/PO2 [/B] Oxygen Saturation|酸素飽和度/O2飽和度 [/B] Surfactant Protein A|サーファクタントプロテインA/肺サーファクタントプロテインA [/S] Surfactant Protein D|サーファクタントプロテインD/肺サーファクタントプロテインD [/S] |
関連する検査の読み方 |
【気管支肺洗浄液一般検査】 牛乳様の白濁が見られ、沈渣で顆粒様物質が認められ、PAS染色をすると陽性の粒状物質と無構造の好酸性物質が観察される。また、サーファクタントを貪食したマクロファージが散在している。 【サーファクタントプロテインA】 高値になる。SP-AはⅡ型肺胞上皮で産生されるリン脂質・蛋白質の複合体で、肺胞内に分泌され表面張力を打ち消すことで肺胞の含気を保持している。欠乏や機能低下は肺の含気を低下させ、呼吸困難をきたす。臨床的には肺野にびまん性の線維化陰影が認められた場合に測定する。 【サーファクタントプロテインD】 80%の患者で高値になる。サーファクタントプロテインは肺胞II型細胞で産生され分泌される表面活性部質でA、B、C、Dの4種が同定されている。SP-Dは親水性が強く約70%が肺胞被覆層の可溶性分画に分布している。肺胞上皮細胞が損傷を受けると、この細胞に強く発現しているSP-Dが血中に増加する。臨床的には肺にびまん性の線維化陰影が見られた時に、肺損傷の程度を把握するために測定する。 【喀痰】 塊状のゼラチン様の痰が喀出されることがある。 【LD】 しばしば高値になることがある。 【抗GM-CSF抗体】 殆どの患者で認められる。この疾患の肺胞中や血清中に出現する自己抗体で、カットオフ値を3μg/mLとすると感度・特異度ともに100%であり殆どの患者では10μg/mLを超える。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査、胸部高解像度CT検査、呼吸機能検査 |