疾患解説
フリガナ | ハンノウセイカンセツエン |
別名 | |
臓器区分 | 膠原病・免疫疾患 |
英疾患名 | Reactive Arthritis |
ICD10 | M02.9 |
疾患の概念 | 泌尿生殖器または消化器の感染症に関連する急性の脊椎関節症で、HLA-B27陽性率が高い。原因菌は、赤痢菌、サルモネラ、エルシニア、クラミジア、カンピロバクターが知られている。性別の発症頻度は、腸管感染では男女比1:1であるが、性感染では9:1と男性が多い。性感染による型は、20~40歳の男性に発症し、Chlamydia trachomatisが関与することが最も多い。赤痢による型はSalmonella、YersiniaまたはCampylobacterなどの感染によるものが多い。患者のHLA-B27アレル保有率は63~96%であり、これにより遺伝的素因の存在が裏付けられる。ライター症候群と呼ばれていた、尿道炎または子宮頸管炎、結膜炎および粘膜皮膚病変を伴う脊椎関節症は、反応性関節炎の一種である。 |
診断の手掛 | 尿道炎や消化管感染症の後に発症する非対称性の関節炎の患者を診たら本症を疑う。炎症性腰背部痛は徐々に発症し、少なくとも3ヶ月以上持続、朝のこわばり30分以上、運動で改善するが安静では改善しないという特徴がある。共通した症状は、易疲労感、やせ、こわばり、発熱、体重減少などである。関節炎は、軽度の場合と重度の場合があり、関節障害は非対称性で、少関節性または多関節性で、主に下肢の大関節および足趾に起こる。尿道炎や赤痢の後、1~2週間は本症の発症に注意し、その後数週間にわたって微熱、結膜炎および関節炎の徴候を慎重に観察する。 |
主訴 |
易疲労感|Fatigue 潰瘍|Ulcer 関節痛|Arthralgia こわばり|Stiffness 体重減少|Weight loss 臀部痛|Gluteal pain 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever やせ|Weight loss 腰背部痛|Low back pain |
鑑別疾患 |
強直性脊椎炎|Ankylosing Spondylitis 乾癬性関節炎 炎症性腸疾患関連関節炎 付着部炎関連関節炎 骨Paget病 結核性脊椎炎 副甲状腺機能亢進症|Hyperparathyroidism 悪性腫瘍 細菌性赤痢|Bacillary Dysentery 播種性淋菌感染症 環状亀頭炎 膿漏性角化症 尿道炎|Urethritis 出血性膀胱炎 前立腺炎 子宮頸管炎 結膜炎 |
スクリーニング検査 |
C-reactive Protein|C反応性蛋白 [/S] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/Synovial Fluid] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] Leukocytes|白血球数 [/B, /Prostatic Fluid, /Synovial Fluid, /U] Neutrophils|好中球 [/Synovial Fluid] α2-Globulin|α2-グロブリン [/S] γ-Globulin|γ-グロブリン [/S] |
異常値を示す検査 |
Cells [/Synovial Fluid] Complement, Total|補体価/CH50 [/S, /Synovial Fluid] HLA Antigens|HLA抗原 [Present/B] HLA-B27|HLA-B27 [/B] L-Lactate [/Synovial Fluid] Procollagen Type II Peptide [/S] |
関連する検査の読み方 |
【CRP】【ESR】 上昇する。 【補体価】 血清と滑液では高値になるが、診断には役立たない。除外診断に用いられることがある。 【リウマチ因子】 陰性である。 【HLA-B27】 50~75%の患者で陽性である。HLA-B27抗原は関節リウマチと強直性脊椎炎で高率に陽性となることから、これら疾患の診断に有用である。また、この抗原は高い家族集積性を示し、遺伝因子としての重要性が示唆されている。 【関節液一般検査】 炎症性関節液で白血球が増加している。培養検査は陰性であるが、PCR法では病原菌のフラグメントが確認される。 |
検体検査以外の検査計画 | 関節X線検査、CT検査、MRI検査 |