疾患解説
フリガナ | キョウチョクセイセキツイエン |
別名 | 脊椎関節症 |
臓器区分 | 膠原病・免疫疾患 |
英疾患名 | Ankylosing Spondylitis |
ICD10 | M45.9 |
疾患の概念 | 強直性脊椎炎は、体幹骨、末梢の大関節、指の炎症、夜間の背部痛、背部のこわばり、脊柱後弯症の増強、大動脈炎、心伝導異常、前部ぶどう膜炎を特徴とする全身性疾患である。リウマチ因子や抗環状シトルリン化ペプチド抗体(抗CCP抗体)が陰性で、95%の患者はHLA-B27が陽性である。関節や靭帯に認められる病変は、炎症と骨化である。20~40歳代の男性に好発(男女比は3:1)し、家族内発生が多く、患者の第1度近親者は、一般集団より10~20倍発症頻度が高い。 |
診断の手掛 |
成年男子で、夜間の背部痛、背部のこわばり、脊柱後弯、胸郭拡張の減弱、アキレス腱炎、慢性腰痛や説明出来ないブドウ膜炎、虹彩炎を見たら本症を疑う。疼痛とこわばりは運動で軽減する。患者の第一近親者は、一般集団の10~20倍の発症率であり、詳細な病歴聴取が診断の手掛かりになる。発症の年齢は通常10歳代後半から20歳代前半であり、男性に多い。 【診断基準:2015年厚労省】 1.臨床症状:a)腰背部の疼痛、こわばり(3ヶ月以上持続、運動により改善し、安静により改善しない)b)腰椎可動域制限(Schober試験で5cm以下) c)胸郭拡張制限(第4肋骨レベルで最大呼気時と最大吸気時の胸囲の差が2.5cm以下) 2.X線所見:両側の2度以上の仙腸関節炎、あるいは一側の3度以上の仙腸関節炎 確実例:臨床症状のa)、b)、c)のうちの1項目以上+X線所見 疑い例:a)臨床症状3項目 b)臨床症状なし+X線所見 鑑別診断:強直性脊椎炎以外の脊椎関節炎、SAPHO症候群・手掌膿胞症性骨関節炎、線維筋痛症・慢性疼痛、関節リウマチ、リウマチ性多発筋痛症、強直性脊椎骨増殖症、硬化性腸骨骨炎、変形性脊椎症・変形性腸骨関節症 【改訂New York基準】 1.矢状面(側方から見る)および前額面(後方から見る)の両方で腰椎の運動制限 2.年齢に応じて調整された胸郭拡張の制限 3.炎症性の背部痛の既往 患者は仙腸関節炎の画像検査所見および以上のうちの1つを有する必要がある。 |
主訴 |
運動失調|Ataxia 関節痛|Arthralgia 眼痛|Eye pain/Ocular pain こわばり|Stiffness 羞明|Photophobia/Photosensitibity 食欲不振|Anorexia 視力障害|Blurred vision/Visual impairment 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 体重減少|Weight loss 臀部痛|Gluteal pain 背部痛|Backache 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 貧血症状|Anemic symptom やせ|Weight loss 腰痛|Low back pain/Lumbago 流涙|Epiphora/Lacrimation |
鑑別疾患 |
関節リウマチ|Rheumatoid Arthritis 大動脈弁閉鎖不全症 椎間板ヘルニア 特発性骨増殖症 肺線維症 前部ぶどう膜炎 虹彩炎 糖原病 股関節炎 肺機能障害 アキレス腱炎 結核性脊椎炎 特発性骨増殖症 骨Paget病 副甲状腺機能亢進症|Hyperparathyroidism 悪性腫瘍 大動脈炎 狭心症|Angina Pectoris |
スクリーニング検査 |
Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S, /S] C-reactive Protein|C反応性蛋白 [/S] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/S] Leukocytes|白血球数 [/Synovial Fluid] Rheumatoid Factor|リウマチ因子測定/RAゼラチン凝集反応/リウマチ因子定量 [/S] γ-Glutamyltranspeptidase|γ-グルタミルトランスペプチダーゼ/γ-グルタミルトランスフェラーゼ [/S] |
異常値を示す検査 |
1,25-Dihydroxy Vitamin D3|1,25-ジヒドロキシビタミンD3/1α,25-ジヒドロキシビタミンD/活性型ビタミンD [/S] HLA-B27|HLA-B27 [/S] IgA Antibodies against Collagen [/S] IgA1 Antibodies against Collagen Type I [/S] IgA1 Antibodies against Collagen Type II [/S] IgA1 Antibodies against Collagen Type III [/S] IgA1 Antibodies against Collagen Type IV [/S] IgA2 Antibodies against Collagen Type I [/S] IgA2 Antibodies against Collagen Type III [/S] Insulin|インスリン [/P] Insulin-like Growth Factor Binding Protein-3|インスリン様成長因子結合蛋白-3型/IGF結合蛋白-3 [/S] Interleukin-11|インターロイキン-11 [/Synovial Fluid] Osteocalcin|オステオカルシン [/S] Parathyroid Hormone|副甲状腺ホルモン [/P] Procollagen Type II Peptide [/S] Pyridinium Crosslinks [/U] |
関連する検査の読み方 |
【CBC】 30%の患者に軽度から中等度までの低色素性貧血が認められる。 【ESR】【CRP】 活動性を示す患者の多くで上昇する。ESRは85%の患者で亢進する。 【ALP】 重症例では高値になる。 【HLA-B27】 患者の90%でHLA-B27が陽性であるが診断的価値はない。 【関節液一般検査】 炎症性関節液の所見で、白血球は2,000~50,000/μLである。 【髄液一般検査】 50%の患者に中等度の蛋白増加が認められる。 【リウマチ因子】 関節炎が脊椎領域のみの患者では陽性率は15%以下である。 【合併する疾患】 潰瘍性大腸炎、限局性腸炎や乾癬などを合併した場合は、合併症の検査所見を呈することがある。 |
検体検査以外の検査計画 | 脊椎X線検査、CT検査、MRI検査 |