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疾患解説

フリガナ カスイタイシュヨウ
別名
臓器区分 内分泌疾患
英疾患名 Pituitary Tumor
ICD10 D44.3
疾患の概念 下垂体前葉の内分泌細胞から発生する腫瘍で、大部分は良性腫瘍である。ホルモン分泌腫瘍である機能性腺腫と非分泌腫瘍の非機能性腺腫に分けられ、機能性はホルモン過剰症、非機能性は視機能障害を来す事がある。多発性内分泌腫瘍1の患者の半数に認められ、プロラクチン産生腫瘍が最も一般的である。
診断の手掛 腺腫による頭痛や視神経圧迫による両耳側半盲、一側性視神経萎縮、対側半盲などを訴える患者を診たら本症を疑う。多くの患者が、ホルモンの欠乏または過剰により内分泌障害を来す。1.視床下部が圧迫されると、バソプレシンの分泌が減少し尿崩症を発症する。2.プロラクチンが過剰産生されると、女性では無月経および乳汁漏出症を、男性は勃起障害および女性化乳房を発症する。3.成長ホルモンが過剰産生されれば、思春期前では巨人症を、思春期後では先端巨大症になる。4.ACTHが過剰産生されれば、クッシング症候群を発症する。また、出血性梗塞である「下垂体卒中」を発症すると急激な視機能障害、低Na血症、ショック、意識障害を呈する。
主訴 意識障害|Memory impaiment
嘔吐|Vomiting
悪心|Nausea
眼球運動障害|Eye movement disturbance
月経異常|Menoxenia
視野障害|Disturbance in visual field
ショック|Shock
視力障害|Blurred vision/Visual impairment
髄膜刺激症状|Meningeal irritation sign
頭痛|Headache/Cephalalgia
乳汁漏出|Nipple discharge
脳圧亢進症状|Intracranial hypertension
鑑別疾患 Rathk囊胞
頭蓋咽頭腫
胚細胞腫瘍
鞍結節部髄膜腫
転移性下垂体腫瘍
リンパ球性下垂体炎
下垂体過形成
高プロラクチン血症
先端巨大症|Acromegaly
甲状腺機能亢進症|Hyperthyroidism
多発性内分泌腫瘍|Multiple Endocrine Neoplasia (MEN)
脳腫瘍|Cerebral Tumor
スクリーニング検査 Thyroxine,Free(fT4)|遊離サイロキシン/遊離T4/フリーT4/遊離チロキシン [/S]
Tri-Iodothyronine, Free (fT3)|遊離トリヨードサイロニン/フリーT3/遊離T3/遊離トリヨードチロニン [/S]
Thyroid Stimulating Hormone|甲状腺刺激ホルモン [/S]
異常値を示す検査 C-terminal Telopeptide of Type I Collagen|I型コラーゲンC末端テロペプチド [/S]
Growth Hormone|成長ホルモン [/P]
Insulin-Like Growth Factor-I|インスリン様成長因子-1/ソマトメジンC [/S]
Insulin Loading Test|インスリン負荷試験/低血糖試験/インスリン低血糖試験 [/S,/S]
Luteinizing Hormone-releasing Hormone Test|LH-RH負荷試験/黄体形成ホルモン放出ホルモン負荷試験 [/S,/S]
Prolactin|プロラクチン/乳汁分泌ホルモン [/S]
Thyrotropin-releasing Hormone Test|甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン負荷試験/TRH負荷試験 [/S,/S]
α-Subunit of Glycoprotein Hormones [/P]
関連する検査の読み方 【下垂体前葉負荷試験】
下垂体機能評価にはLH-RH負荷試験、TRH負荷試験、インスリン負荷試験を行う。LH-RH負荷試験:下垂体下部ペプチドであるLH-RHは下垂体前葉に直接作用し、LHとFSHの分泌を促進する。この検査はLH-RHの作用により下垂体からのLH,FSHの分泌予備能を把握し、視床下部-下垂体-性腺系の機能障害の診断に有用である。視床下部障害ではLHとFSHの基礎値は低く、LH-RHに対する反応は良好である。下垂体障害では基礎値と反応の両者が不良である、また、性腺障害は基礎値が高く、反応は過剰反応を示す。TRH負荷試験:健常者ではTRH投与にGHは反応しないが、先端巨大症の約2/3はGHの上昇がみられ、樹状は不明であるが奇異反応とされている。また、TRHは下垂体前葉のPRL産生細胞に作用し、PRLの分泌を促進する。このため、TRHに対するPRLの反応低下は、視床下部障害ではなく、下垂体自体に原因がある下垂体機能低下症であることが分かる。TRHに対するTSHの反応低下は甲状腺機能亢進状態や下垂体機能低下症で見られる。インスリン負荷試験:インスリン投与による低血糖は視床下部で認識され、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)の分泌を促進し、同時にソマトスタチンの分泌を抑制することで、GFHの分泌を刺激する。GHとACTH分泌不全の診断に有用で、GH分泌予備能検査としては最重要な検査の一つである。
【プロラクチン】
200μg/L以上になる。PRLは下垂体前葉から分泌されるポリペプチドで産褥期の乳汁分泌促進、成長ホルモン様作用、腎尿細管での水・電解質再吸収促進などの生理作用を持ち、妊娠・産褥期以外に高値になれば全て病的状態と考える。臨床的にはProlactinomaを疑う場合、月経異常や男性性器異常を見た場合の必須検査である。300ng/mL以上あれば、ほぼプロラクチノーマと考えてよい。
検体検査以外の検査計画 頭部X線検査、頭部MRI検査、頭部CT検査、視力・視野検査

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