疾患解説
フリガナ | ケッキュウドンショクショウコウグン |
別名 | 血球貪食性リンパ組織球症 |
臓器区分 | 血液・造血器疾患 |
英疾患名 | Hemophagocytic Syndrome |
ICD10 | D76.2 |
疾患の概念 | 原発性(一次性)と反応性(二次性)があり、原発性は家族性血球貪食性組織球症と呼ばれ、反応性は悪性腫瘍、感染症、膠原病などにより異常に産生されたサイトカインが、マクロファージを活性化し、このマクロファージが血球を貪食する疾患である。 |
診断の手掛 |
持続する高熱、リンパ節腫脹、肝腫大、脾腫、汎血球減少症、凝固障害、神経学的異常などを訴える患者を診たら本症を疑う。特に不明熱の場合は、一度は本症を疑うことが必要である。この疾患は稀で、主に生後18カ月未満の乳児が罹患する。 【診断基準】 既知の原因遺伝子に突然変異が認められた場合、または以下の8項目の診断基準のうち5項目に該当した場合にはHLHと診断する。1.発熱(最高体温が38.5℃を上回る日が7日間を超える場合) 2.脾腫(触知可能な脾臓が肋骨下縁の下3cmを超える) 3.障害血球系が2種類を超える血球減少症(ヘモグロビン < 9g/dL,好中球数 < 100/μL,血小板 < 100,000/μL) 4.高トリグリセリド血症(空腹時トリグリセリド > 2.0mmol/Lまたは年齢基準値より3標準偏差を超える増加)または低フィブリノーゲン血症(フィブリノーゲン < 1.5g/Lまたは年齢正常値より3SDを超える減少) 5.血球貪食像(骨髄、脾臓、リンパ節の生検検体で確認) 6.ナチュラルキラー細胞の活性低下または活性喪失 7.血清フェリチン > 500μg/L 8.可溶性IL-2上昇( > 2400U/mL) |
主訴 |
黄疸|Jaundice 肝腫大|Hepatomegaly 原因不明熱|Fever of unknown origin/FUO 高熱|High fever/Hyperthermia 紫斑|Purpura 出血傾向|Bleeding tendency/Hemorrhagic diathesis 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 脾腫|Splenomegaly 皮疹|Eruption/Exanthema リンパ節腫脹|Lymphadenopathy |
鑑別疾患 |
悪性リンパ腫|Malignant Lymphoma 白血病 悪性腫瘍 感染症 全身性エリテマトーデス|Systemic Lupus Erythematosus(SLE) 成人発症スティル病 自己免疫性疾患 EBウイルス感染症|Epstein-Barr Virus Infection ランゲルハンス細胞組織球症|Langerhans Cell Histiocytosis(LCH) |
スクリーニング検査 |
Ferritin|フェリチン [/S] Fibrinogen|フィブリノゲン/凝固第I因子 [/P] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S] Neutrophils|好中球 [/B] Platelets|血小板 [/B] Triglycerides|トリグリセリド/中性脂肪/トリグリセライド/トリアシルグリセロール [/S] |
異常値を示す検査 |
Interferon-γ|インターフェロン-γ [/S] Interleukin-6|インターロイキン-6 [/S] Natural Killer Cell Activity|ナチュラルキラー細胞活性/NK細胞活性 [/B] Soluble Interleukin-2 Receptor|可溶性 IL-2レセプター/IL-2レセプター/可溶性 IL-2受容体 [/S] β2-Microglobulin|β2-ミクログロブリン/β2-マイクログロブリン [/S, /U] |
関連する検査の読み方 |
【パルボウイルスB19抗体】 陰性であることを確かめる。パルボウイルスは伝染性紅斑の病原ウイルスである。この疾患は殆どが予後良好であるが、妊婦や溶血性疾患の患者では重篤な疾患に発展する可能性がある。抗パルボウイルスB19抗体は臨床的には秋から春にかけて両頬部に独特の蝶型紅斑で発症し、次いで肩、四肢に網状の紅斑を見たらパルボウイルス感染が疑う。IgM型抗体は急性期に一過性に出現し、IgG抗体は急性期から回復期のかけて高値となる。 【パルボウイルスB19遺伝子検査】 陽性になることがある。 【可溶性IL-2レセプター】 極めて高値になることがある。sIL-2Rは細胞表面に存在し、リンパ球などと結合し刺激を細胞内に伝える働きがある。悪性リンパ腫では受容体の発現が亢進している為、血液中のsIL-2Rが増加するので、これら疾患の重症度推定、治療効果判定などに用いる。 【骨髄像】 特徴的な血球貪食細胞が観察される。 |
検体検査以外の検査計画 | |