疾患解説
フリガナ | シボウソクセンショウコウグン |
別名 | |
臓器区分 | 救急疾患 |
英疾患名 | Fat Embolism Syndrome |
ICD10 | T79.1 |
疾患の概念 | 骨髄内の脂肪滴が血管内に入り、脳や肺などで塞栓を起こす病態で、多くは長管骨の骨折部位からの脂肪滴流出による。骨折してから12~72時間後に発症し、呼吸器症状、脳神経症状、皮膚症状がみられる。 |
診断の手掛 |
骨折、外傷、外科手術後、熱傷、急性膵炎、脂肪吸引手術後、人工心肺着装者に発熱、頻脈、呼吸困難を生じたら本症を疑う。症状は1.呼吸器症状:呼吸困難、頻呼吸、低酸素血症、2.脳・神経症状:意識障害、痙攣、麻痺、3.膚症状:点状出血である。 【診断基準 鶴田1978】 大基準 1. 点状出血、2. 呼吸器症状および肺X線病変、3. 頭部外傷と関連しない脳・神経症状 中基準 1. 低酸素血症(PaO2<70mmHg)、2. ヘモグロビン値低下(<10g/dL) 小基準 1. 頻脈、2. 発熱、3. 尿中脂肪滴、4. 血小板減少、5. 赤沈の促進、6. 血清リパーゼ値上昇、7. 血中遊離脂肪滴 大基準2項目以上もしくは大基準1、中小基準4以上で臨床診断確定、大基準0、中基準1、小基準4で疑い |
主訴 |
意識障害|Memory impaiment 痙攣発作|Seizures/Convulsion/Convulsive seizure 呼吸困難|Dyspnea 呼吸促迫|Respiratory distress 錯乱|Confusion 咳|Cough 痰|Sputum 点状出血|Petechiae 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 頻呼吸|Tachypnea 頻脈|Tachycardia 不安|Anxiety 麻痺|Palsy/Paralysis/Numbness |
鑑別疾患 |
外傷 血小板減少症|Thrombocytopenia 骨折 肺塞栓症|Pulmonary Embolism(PE) びまん性軸索損傷 貧血 |
スクリーニング検査 |
Calcium|カルシウム [/S] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] Leukocytes|白血球数 [/B] Neutrophils|好中球 [/BAL Fluid] Platelets|血小板 [/B] |
異常値を示す検査 |
Carbon Dioxide Partial Pressure|動脈血CO2分圧/炭酸ガス分圧/CO2分圧/PCO2/PaCO2 [/B] Fat|脂肪(糞便) [/Sputum, /U] Free Fatty Acids|遊離脂肪酸/非エステル型脂肪酸/FFA [/S] Lipase|リパーゼ/膵リパーゼ [/S] Macrophages|マクロファージ [/BAL Fluid] Oxygen Partial Pressure|動脈血O2分圧/酸素分圧/O2分圧/PO2 [/B] Oxygen Saturation|酸素飽和度/O2飽和度 [/B] |
関連する検査の読み方 |
【CBC】 白血球は増加、ヘマトクリット、ヘモグロビン、血小板は低値である。 【リパーゼ】 増加する。リパーゼの大部分は膵リパーゼで膵腺房細胞で産生され、十二指腸に排出されトリグリセリドをグリセロールと脂肪酸に加水分解する酵素である。 【脂肪滴染色】 血中、尿中ともにズダンIII染色で脂肪滴を認める。 【PaO2】【PaCO2】 PaO2とPaCO2が低下する。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査、心電図検査、心超音波検査、パルスオキシメトリー、頭部CT検査、頭部MRI検査 |