疾患解説
フリガナ | ケッショウバンゲンショウショウ |
別名 | |
臓器区分 | 血液・造血器疾患 |
英疾患名 | Thrombocytopenia |
ICD10 | D69.6 |
疾患の概念 | 血小板の産生異常、寿命の短縮、貯留増加、希釈、薬物副作用などにより、血小板数が減少するもので、血小板数が、10万/μL以下になると皮膚の点状出血、紫斑、歯肉出血、血尿、鼻出血などが出やすくなる。減少の機序は1.骨髄での産生減少、2.脾での捕捉の増加、3.血小板破壊の促進とこれらの機序の複合である。最も一般的な血小板減少症は、妊娠性血小板減少症、免疫媒介性の血小板破壊による薬剤性血小板減少症、化学療法剤による骨髄抑制、全身性感染症に伴う血小板減少症と免疫性血小板減少症(ITP)である。 |
診断の手掛 | 病歴だけが診断を示唆することが多いが、臨床所見は、特発性血小板減少性紫斑病と類似している。典型的な出血パターン、すなわち、皮膚の多発性の点状出血(下腿で最も著明となる)、鼻出血などの粘膜出血、外傷部位に点在する斑状出血などを見逃さない。血小板が3万/μL以上あれば誘引の無い出血は起こりにくい。14万/μL以下の患者は血小板減少症として扱う。点状出血と出血が認められるが、血小板数と凝固検査(INR,PTT)が正常な患者は、血小板機能異常症を疑い検査を進める。 |
主訴 |
血尿|Hematuria 月経過多|Menorragia 歯肉出血|Gingival bleeding/Ulorrhagia 紫斑|Purpura 出血傾向|Bleeding tendency/Hemorrhagic diathesis 点状出血|Petechiae 斑状出血|Ecchymosis 貧血症状|Anemic symptom 鼻出血|Nosebleed/Nasal hemorrhage/Epistaxis |
鑑別疾患 |
悪性腫瘍 アルコール依存症|Alcoholism エイズ/HIV感染症|Acquired Immune Deficiency Syndrome(AIDS) 海綿状血管腫 血栓性血小板減少性紫斑病|Thrombotic Thrombocytopenic Purpura(TTP) 重症急性呼吸器症候群|Severe Acute Respiratory Syndrome(SARS) 特発性血小板減少性紫斑病|Idiopathic Thrombocytopenic Purpura(ITP) 敗血症|Sepsis 播種性血管内凝固症候群|Disseminated Intravascular Coagulation(DIC) 白血病 脾機能亢進症|Hypersplenism 貧血 薬物中毒 溶血性尿毒症症候群|Hemolytic Uremic Syndrome(HUS) 骨髄異形成症候群|Myelodysplastic Syndrome 伝染性紅斑 ヘノッホ-シェーンライン紫斑病|Henoch-Schönlein Purpura 全身性エリテマトーデス|Systemic Lupus Erythematosus(SLE) シェーグレン症候群|Sjogren's Syndrome |
スクリーニング検査 | Platelets|血小板 [/B] |
異常値を示す検査 |
D-Dimer|Dダイマー/フィブリン分解産物Dダイマー [/P] Mean Platelet Volume|平均血小板容積 [/Platelets] Tissue Plasminogen Activator|組織プラスミノゲンアクチベータ [/P] von Willebrand Factor Antigen|第VIII因子様抗原/第VIII因子関連抗原/フォンウィルブランド因子抗原量 [/P] |
関連する検査の読み方 |
【CBC】 偽血小板減少症がEDTAによる凝集、血小板衛星現象、血小板寒冷凝集反応、巨大血小板血症で認められる。 【平均血小板容積】 MPVの値は血小板造血活性と大型血小板の増加を反映している。すなわち、血小板産生回転が速いと大型の幼若血小板が末梢血中に出現しMPVは増加する。 【骨髄像】 悪性腫瘍の浸潤や薬剤による低形成で骨髄巨核球数が低下する。 【血小板第4因子】 低値である。 【血小板の産生】 再生不良性貧血、骨髄癆、葉酸・ビタミンB1欠乏、アルコール中毒、化学療法剤で低下する。 【血小板の消費亢進】 TTP、DIC、敗血症、妊娠中毒症、大量出血、肝硬変、脾機能亢進、大量輸血による希釈、腎不全、発作性夜間血色素尿症で起こる。 【血小板の破壊亢進】 薬剤による免疫性血小板低下症(キニジン、キニーネ、スルフォンアミド、ペニシリン類、ヘパリン)、ITP、SLE、リンパ増殖性疾患、輸血後、体外循環。 【抗血小板抗体】 自己抗体と同種抗体があれば陽性である。 【毛細血管抵抗試験】 20個以上の出血点がみられ異常値になる。 【出血時間】 著しく延長する。 【原因とする感染症】 エイズ、亜急性感染性心内膜炎、敗血症、チフス、風疹、伝染性単核球症などがある。 【遺伝性疾患】 Alport症候群、Chediak-Higashi症候群、Ehlers-Danlos症候群、Wiskott-Aldrich症候群、血小板無力症がある。 |
検体検査以外の検査計画 |