疾患解説
フリガナ | ジンコウソク |
別名 | |
臓器区分 | 腎・泌尿器疾患 |
英疾患名 | Renal Infarction |
ICD10 | N28.0 |
疾患の概念 | 腎動脈や分枝が閉塞され、その血管支配領域が、虚血性壊死に陥った状態で、原因は手術に併発する塞栓性閉塞が70~80%を占める。通常血栓塞栓、アテローム性動脈硬化症、線維性異形成が原因である。最も頻度が高い原因は血栓塞栓症で、塞栓は心房細動、心筋梗塞後もしくは細菌性心内膜炎による疣贅、アテローム塞栓である。より頻度は低いが脂肪塞栓、腫瘍塞栓も原因となる。血栓症は、腎動脈に自然発生するか、外傷、手術、血管造影、血管形成術後に発生する可能性もある。急性閉塞は腎動脈瘤の解離または破裂でも見られる。 |
診断の手掛 | 急激に発症する側腹部痛、発熱、肉眼的血尿、尿量減少、悪心、嘔吐を訴える患者を診たら本症を疑う。24時間後に、急性腎障害の症状と徴候が生じる可能性があるので、注意して観察を続ける。基礎疾患に心内膜炎、心房細動、動脈硬化、動脈炎がある。 |
主訴 |
嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea 血尿|Hematuria 高血圧|Hypertension 側腹部痛|Lateroabdominal pain 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 腹痛|Abdominal pain 乏尿|Oliguria 無尿|Anuria |
鑑別疾患 |
腎癌 外傷 腎膿瘍 |
スクリーニング検査 |
Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S] Amylase|アミラーゼ [/S] Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S] Creatinine|クレアチニン [/S] C-reactive Protein|C反応性蛋白 [/S] Erythrocytes|赤血球数 [/U] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S, /U] Leukocytes|白血球数 [/B] Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/U] |
異常値を示す検査 |
Active Plasma Renin|活性型レニン/血漿レニン活性/総レニン [/P] Alanine Aminopeptidase [/U] Creatinine Clearance|クレアチニンクリアランス [/U] Lysozyme|リゾチーム/ムラミダーゼ/ムコペプタイド/グリコヒドロラーゼ [/U] N-Acetyl-Glucosaminidase|N-アセチルβ-D-グルコサミニダーゼ活性(尿)/尿中NAG活性 [/U] |
関連する検査の読み方 |
【血漿レニン活性】 高値になり、高血圧を引き起こす。レニンは腎糸球体輸入臍動脈壁に存在する傍糸球体細胞で産生されるタンパク分解酵素である。検査は血漿中のレニン活性を有するARC濃度を特異的なモノクローナル抗体を用いて測定する。血圧や水・電解質の調節に重要な役割を持つレニン・アンジオテンシン系の評価には血漿レニン活性が測定されてきたが、ARCの直接測定により、レニンの分泌状態がより正確に判断できる。異常値を示したらアルドステロン濃度(PAC)を測定しPAC:PRA比を評価する。臨床的には腎疾患、高血圧、浮腫、腹水などの症状を持つ患者やミネラルコルチコイド異常が疑われる場合に測定する。 【腎機能検査】 両側腎の多発性梗塞では腎機能が低下し、腎不全になる。 【尿一般検査】 蛋白尿や顕微鏡的血尿を認める。 |
検体検査以外の検査計画 | MRA検査、ドプラ超音波検査、放射性核種レノグラム、動脈造影検査 |