疾患解説
フリガナ | ショウチョウガン |
別名 | 悪性腫瘍(小腸) |
臓器区分 | 消化器疾患 |
英疾患名 | Cancer of Small Intestine |
ICD10 | C17.9 |
疾患の概念 | 小腸腫瘍の頻度は、全消化管腫瘍の2%であるが悪性腫瘍の頻度が高い。発生部位は、十二指腸遠位部と空腸近位部が圧倒的に多く肛門側に向かうほど少なくなる。原発癌では腺癌が最も多く悪性腫瘍の約50%を占める。腺癌は、結腸クローン病と比較して小腸クローン病では高頻度に発生する。その他、原発性悪性リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫などが見られる。小腸リンパ腫は、長期間未治療のセリアック病にしばしば発症する。カルチノイド腫瘍は、小腸、特に回腸と虫垂で発生頻度が高く、しばしば悪性で、50%の症例では複数の腫瘍が発生する。小腸カルチノイドの約30%が閉塞、疼痛、出血またはカルチノイド症候群を引き起こす。カポジ肉腫は、高齢のユダヤ人およびイタリア人男性の疾患とされていたが、進行の速い病型がアフリカ人、移植患者およびAIDS患者に発症し、患者の40~60%で消化管病変がみられる。病変は通常、胃、小腸、遠位結腸に発生する。消化管病変は通常、無症状であるが、出血、下痢、蛋白漏出性腸症、腸重積症を発症することがある。 |
診断の手掛 | 腹部腫瘤、腸閉塞、下血、腹痛などの腹部症状を訴える患者を診たら、稀ではあるが一度は小腸腫瘍を疑うべきである。AIDS、長期にわたる炎症性腸疾患、セリアック病の患者にも注意する。 |
主訴 |
嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea 下血|Melena 下痢|Diarrhea 貧血症状|Anemic symptom 腹痛|Abdominal pain 腹部腫瘤|Abdominal tumor/Abdominal mass |
鑑別疾患 |
腸結核 クローン病|Crohn's Disease 腸Behcet病 虚血性腸炎 炎症性腸疾患 |
スクリーニング検査 |
CEA|癌胎児性抗原 [/AsF, /PeF, /PlF, /S] Erythrocytes|赤血球数 [/AsF] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] Iron|鉄/血清鉄 [/S] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S] Leukocytes|白血球数 [/AsF] MCH|平均赤血球ヘモグロビン量 [/B] MCHC|平均赤血球ヘモグロビン濃度 [/B] MCV|平均赤血球容積 [/B] Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/S, /AsF] TIBC|総鉄結合能 [/S] |
異常値を示す検査 |
Aldolase|アルドラーゼ/アルドラーゼアイソザイム [/S] Complement C3|補体第3成分/β1C・β1Aグロブリン/C3 [/S] Complement C4|補体第4成分/β1Eグロブリン/C4 [/S] Hexokinase|ヘキソキナーゼ(赤血球) [/S] Iron Saturation|鉄飽和度 [/S] Lactate|乳酸/ラクテート [/B] Occult Blood|潜血反応(便)/グアヤック法/o-トリジン法/ラテックス凝集法 [/F] Parathyroid Hormone|副甲状腺ホルモン [/P] Pyruvate [/B] |
関連する検査の読み方 |
【CEA】 増加することがあるがスクリーニングには使えない。CEAは大腸癌から分離された分子量18~20万の糖蛋白で、胎児消化器粘膜と共通の抗原性がある。生理的には細胞間接着因子として癌細胞同士の接着に関与していると考えられている。CEAは皮膚、食道、胃、大腸、膵、乳腺、肺胞、気管支、甲状腺、胆嚢、胆管、尿管などの正常組織でも発現しているが、血中には極めて小量しか移行しない。しかし、癌細胞でCEAの産生が増加すると血中CEA量は増加する。また、健常者や良性疾患でも陽性を示すことがあるので、スクリーニングには適していない。臨床的には癌の治療効果判定、再発予知、進展度推定などに用いられる。 |
検体検査以外の検査計画 | 腹部単純X線検査、造影X線検査、小腸鏡検査、血管造影検査、CT検査、超音波検査 |