疾患解説
フリガナ | アレルギー |
別名 | 古典的アレルギー |
臓器区分 | アレルギー疾患 |
英疾患名 | Allergy |
ICD10 | T78.4 |
疾患の概念 | Ⅰ型(即時型):IgE介在性で、組織肥満細胞や好塩基球に結合しているIgEに抗原が結合しヒスタミン、プロテアーゼ、走化性因子の放出およびプロスタグランジン、ロイコトリエン、血小板活性化因子、サイトカインの合成を引き起こす。これらのメディエータは、血管拡張、毛細血管透過性亢進、粘液の過剰分泌、平滑筋痙攣、好酸球や2型ヘルパーT細胞および炎症細胞による組織浸潤を引き起こす。I型反応はアトピー性疾患(アレルギー性喘息、鼻炎、結膜炎)、アナフィラキシー、血管性浮腫、蕁麻疹、ラテックスおよび一部の食物に対するアレルギーを引き起こす。この反応は、抗原の曝露後1時間未満で出現する。Ⅱ型(細胞障害型):細胞表面抗原または細胞表面に連結した分子に抗体が結合し発症する。抗原抗体複合体がナチュラルキラー細胞、好酸球、マクロファージ、補体を活性化し細胞と組織を損傷する。関与する疾患は、急性移植片拒絶反応、クームス試験陽性溶血性貧血、橋本甲状腺炎、グッドパスチャー症候群などがある。Ⅲ型(免疫複合型):血管または組織に沈着した循環抗原抗体免疫複合体に反応して炎症を引き起こす。これらの複合体が、補体系や特定の免疫細胞を活性化し炎症メディエータを放出し、抗原-抗体複合体が微小血管に沈着する。疾患としては血清病、SLE、関節リウマチ、白血球破砕性血管炎、クリオグロブリン血症、過敏性肺炎、糸球体腎炎などがある。Ⅲ型反応は抗原への曝露から4~10日後に出現し、抗原への曝露が続くと慢性になることがある。Ⅳ型(細胞依存性遅発型):T細胞介在性で、関与する疾患にはウルシによる接触皮膚炎、過敏性肺炎、同種移植片拒絶、結核に対する免疫応答、薬物過敏症などがある。 |
診断の手掛 | 外部からの抗原に対する免疫反応なので、診断が困難な場合もある。詳細な病歴聴取が検査よりも信頼性が高い。病歴聴取では、発作の頻度と持続期間および経時的な変化、誘引物質、季節、家族暦などを詳細に聞き出す。 |
主訴 |
くしゃみ|Sneezing/Stemutation/Ptarmus 血圧低下|Blood pressure decreased 結膜充血|Conjunctival injection 結膜浮腫|Chemosis 呼吸困難|Dyspnea 喘鳴|Wheeze/Stridor 苔癬|Lichen 皮疹|Eruption/Exanthema 皮膚苔癬化|Lichenization of skin 鼻うっ血|Nasal congestion 鼻汁|Rinorrhea 鼻閉|Rhinostenosis/Rhinodeisis 鼻漏|Rhinorrea/Nasal flow/Nasal discharge |
鑑別疾患 |
薬物過敏症 アレルギー性鼻炎|Allergic Rhinitis 花粉症|Hay Fever 喘息|Asthma 過敏性肺炎 接触皮膚炎 アトピー性皮膚炎|Atopic Dermatitis 気管支喘息 過敏性肺炎 薬疹|Drug Eruption 流行性角結膜炎 ANCA関連肺疾患 アナフィラキシー|Anaphylaxis 薬剤性肝障害|Drug-induced Liver Injury(DILI) 蕁麻疹|Urticaria |
スクリーニング検査 | Eosinophils|好酸球 [/B] |
異常値を示す検査 |
Allergen-Specific IgE Antibodies|アレルゲン特異IgE/特異的IgE [/S] Eosinophil Cationic Protein|好酸球塩基性蛋白/好酸球顆粒蛋白/好酸球陽イオン蛋白/好酸球陽性荷電蛋白 [/S] Glutamic Acid|グルタミン酸 [/P] Histamine Release Test|ヒスタミン遊離試験/アレルゲン刺激ヒスタミン遊離測定/アレルゲン刺激性遊離ミスタミン [Positive/B] Histidine|ヒスチジン [/U] Immunoglobulin E|免疫グロブリンE/非特異的IgE/レアギン抗体 [/S] α1-Acid glycoprotein|α1-酸性糖蛋白/オロソムコイド/α1アシドグリコプロテイン [/S] |
関連する検査の読み方 |
【CBC】 好酸球と好塩基球が増加し、異型リンパ球が出現することがある。コルチコステロイド服用中の患者は好酸球が減少するので注意する。 【α1-酸性糖蛋白】 増加する。α1-AGPはα1-グロブリン分画に属する糖蛋白で、炎症時や細胞増殖時に増加する急性相蛋白の一種である。感染症、組織壊死、悪性腫瘍、自己免疫疾患などで増加するが、CRPに比べ鋭敏度が劣るため、単独で測定されることは少なく、CRP、ハプトグロビンと同時に測定する。 【IgE】 IgEは肥満細胞や好塩基球のIgEレセプターに結合し、ヒスタミンやロイコトリエンなど様々なケミカルメディエーターを放出しI型アレルギーを引き起こす。臨床的にはアレルギー疾患、寄生虫疾患の他、全身性エリテマトーデスや関節リウマチなどで高値となる。IgEはアレルギーと密接な関係にあるが総IgE値はアレルギーの強さを必ずしも反映しない。異常値を見た場合はアレルゲン特異IgEを測定する。 【アレルゲン特異IgE】 アレルゲン特異IgEはI型アレルギーの主要抗体で約200種のアレルゲンが測定可能である。臨床的にはアレルギーの原因の確定、スコア算出によるアレルギーの程度判定や経過観察に有用である。 【好酸球数】 成人で450/μL以上、小児で750/μL以上はアレルギー状態を示唆するが、偽陽性と偽陰性の頻度が高い。 【鼻汁細胞診】 Hansel染色で好酸球5%以上、好塩基球1%以上またはgoblet-epitherial cellが50%以上見られたら呼吸器のアレルギー疾患を疑う。血中の好酸球数とは相関しない。 【ヒスタミン遊離試験】 I型アレルギー性疾患で陽性である。HRTは末梢血液中の好塩基球に付着したIgEとアレルゲンが結合して生じるヒスタミンを試験管内で測定するもので、I型アレルギーの確認の目的で用いる。測定可能なアレルゲンは食物性では卵白、牛乳、小麦、コメ、大豆、吸入性ではヤケヒョウダニ、ネコ上皮、スギ、カモガヤ、ブタクサである。 【リンパ球刺激試験】 薬剤アレルギーの場合に起因薬剤の同定に用いる。リンパ球にレクチンの一種であるPHAやCon-Aを加え培養すると、リンパ球は活性化され大型の芽球様細胞になる。PHAとCon-AはT細胞を活性化し、PHAはCD4陽性細胞を、Con-AはCD陽性細胞をより強く活性化する。この現象を利用してリンパ球の免疫機能を見るのがリンパ球幼若化検査である。異常値を認めたらリンパ球ポピュレーション比率、免疫グロブリン値・産生能、免疫電気泳動などを行う。 【涙液総IgE】 アレルギー性結膜炎の補助診断に用いる。アレルギー性結膜炎の涙液中IgE濃度は血清中のIgE濃度に比べると臨床像との一致率が高いとされている。この方法は免疫クロマトグラフィーにより涙液中のIgE濃度を約12分で測定できる簡易迅速検査で、診療の現場での有用性は高い。検出感度は2.5IU/mLでコントロールラインと比較し同等以上のラインが得られたら陽性とする。 |
検体検査以外の検査計画 | 皮膚試験、誘発試験 |