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疾患解説

フリガナ ゼンソク
別名 喘息
臓器区分 呼吸器疾患
英疾患名 Asthma
ICD10 J45.9
疾患の概念 喘息は、様々な誘発的刺激により引き起こされ気道のびまん性慢性炎症で、気管支の可逆的な収縮による発作性の呼気性呼吸困難を呈する疾患である。生理学的特徴として気道の過敏性が挙げられる。呼吸困難は、自然あるいは治療によって可逆性に改善される。喘息の有病率は、1970年代以来増加し続けており、小児期の慢性疾患の中で最も多い疾患の1つである。喘息の発症は、複数の感受性遺伝子と環境因子との相互作用によるとされ、感受性遺伝子としては、ヘルパーT細胞1型および2型、IgE、インターロイキン(IL-3,IL-4,IL-5,IL-9,IL-13)、顆粒球単球コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子-α、ADAMなどとされている。環境因子は、家庭内アレルゲン、ビタミンC、E、ω-3脂肪酸が少ない食事、母親が若齢や栄養不良、未熟児、低出生体重、母乳不足などの周産期の諸条件が挙げられる。喘息が増悪する誘因としては、住居環境、アレルゲン、感染症(RSウイルス、ライノウイルス、パラインフルエンザウイルス)、運動、刺激物の吸入、感情、アスピリン(重症喘息患者の最大30%、全喘息患者の10%未満)、胃食道逆流症(食道の酸による反射性の気管支収縮、胃酸の誤嚥)などがある。
診断の手掛 3主徴である呼吸困難、息切れ、喘鳴を訴える患者は病歴聴取、身体診察によって本症を疑う。これ等3つの症状は、同時に認められる。軽症の喘息患者は、増悪までは無症状である。より重症の患者と増悪期の患者は、呼吸困難、胸部圧迫感、喘鳴、咳嗽を訴える。徴候としては、喘鳴、奇脈、頻呼吸、頻脈、努力呼吸などがある。呼吸の呼気相が長くなり、吸気:呼気の比は少なくとも1:3となる。笛音は吸気と呼気の両相または呼気相でのみ認めるが、重症の気管支収縮があると、著しい気流制限により喘鳴が聴取されないこともある。NIHによる「喘息の診断・管理のガイドライン 2007年」では①繰り返す気道閉塞症状あるいは気道過敏症状を訴える、②気道閉塞は、少なくとも一部は可逆性である、③他の疾患を除外しうるを診断基準としている。
主訴 息切れ|Shortness of breath/Breathlessness
呼吸困難|Dyspnea
咳|Cough
喘鳴|Wheeze/Stridor
痰|Sputum
鑑別疾患 アレルギー|Allergy
気管支炎|Bronchitis
心不全|Heart Failure
ストレス
特発性間質性肺炎|Idiopathic Interstitial Pneumonia(IIP)
肺炎|Pneumonia
びまん性汎細気管支炎
慢性閉塞性肺疾患|Chronic Obstructive Pulmonary Disease(COPD)
閉塞性細気管支炎
喉頭機能不全
気管・気管支狭窄
スクリーニング検査 Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S]
Chloride|クロール [/Sweat]
Creatine Kinase|クレアチンキナーゼ/クレアチンホスホキナーゼ [/S]
Eosinophils|好酸球 [/B, /BAL Fluid, /Sputum, /Tissue]
Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/S]
Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B]
Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B]
Leukocytes|白血球数 [/B]
Neutrophils|好中球 [/Sputum, /B, /Sputum]
Phosphate|無機リン [/S]
Potassium|カリウム [/S]
Rheumatoid Factor|リウマチ因子測定/RAゼラチン凝集反応/リウマチ因子定量 [/S]
Uric Acid|尿酸 [/S]
異常値を示す検査 2,3-Diphosphoglycerate|2,3-ジホスホグリセレート/2,3-ジホスホグリセリン/2,3-ビスホスホグリセリン酸 [/RBC]
5-Hydroxytryptamine, Free [/P, /Platelets]
Adrenomedullin|アドレノメデュリン [/P]
Allergen-Specific IgE Antibodies|アレルゲン特異IgE/特異的IgE [Positive/S]
Angiotensin-converting Enzyme|アンギオテンシン変換酵素 [/S]
Anti-Mitochondrial Antibodies|抗ミトコンドリア抗体 [/S]
Arginine Vasopressin|アルギニンバゾプレッシン/抗利尿ホルモン/バゾプレシン [/P]
Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/S, /S]
CA 19-9|CA19-9 [/S]
Carbon Dioxide Partial Pressure|動脈血CO2分圧/炭酸ガス分圧/CO2分圧/PCO2/PaCO2 [/B, /B]
Ceruloplasmin|セルロプラスミン/フェロオキシダーゼ [/S]
Ceruloplasmin Ferroxidase|セルロプラスミン/フェロオキシダーゼ [/S]
Complement C3|補体第3成分/β1C・β1Aグロブリン/C3 [/S]
Complement C4|補体第4成分/β1Eグロブリン/C4 [/S]
Copper|銅 [/S]
Cortisol|コルチゾール [/P]
Cysteinyl-containing Leukotrienes [/S]
Dopamine|ドーパミン [/P]
Endothelin-1|エンドセリン [/BAL Fluid]
Eosinophil Cationic Protein|好酸球塩基性蛋白/好酸球顆粒蛋白/好酸球陽イオン蛋白/好酸球陽性荷電蛋白 [/S, /Sputum]
Eosinophil Protein X [/S, /Sputum, /U]
Epinephrine|カテコールアミン総 [/P]
Epinephrine: Norepinephrine Ratio [/P]
Haptoglobin|ハプトグロビン [/S]
Histamine|ヒスタミン [/P]
Histamine Release Test|ヒスタミン遊離試験/アレルゲン刺激ヒスタミン遊離測定/アレルゲン刺激性遊離ミスタミン [/B]
Immunoglobulin A2|免疫グロブリンA2 [/Sputum]
Immunoglobulin E|免疫グロブリンE/非特異的IgE/レアギン抗体 [/S]
Interleukin-4 Receptor|インターロイキン4レセプター [/S]
Interleukin-5|インターロイキン-5 [/S, /Sputum]
Lactate|乳酸/ラクテート [/B]
Lactate Dehydrogenase Isoenzyme-5|乳酸デヒドロゲナーゼアイソザイム/LDアイソザイム [/S]
Lactate Dehydrogenase Isoenzymes|乳酸デヒドロゲナーゼアイソザイム/LDアイソザイム [/S]
Lactoferrin|ラクトフェリン [/Sputum]
Leukotriene B4|ロイコトリエンB4 [/BAL Fluid, /P]
Leukotriene C4|ロイコトリエンC4 [/BAL Fluid]
Macrophages|マクロファージ [/Sputum]
Myelin Basic Protein|ミエリン塩基性蛋白/EAE起炎性蛋白 [/S]
Myeloperoxidase|ミエロペルオキシダーゼ抗原/MPO抗原 [/S, /Sputum]
Natural Killer Cell Activity|ナチュラルキラー細胞活性/NK細胞活性 [/B]
Norepinephrine|カテコールアミン総 [/P]
Osteocalcin|オステオカルシン [/S]
Oxygen Partial Pressure|動脈血O2分圧/酸素分圧/O2分圧/PO2 [/B]
pH|尿pH [/B, /B]
Phospholipase A|ホスホリパーゼA [/S]
Platelet Aggregation response to ADP [/B]
Platelet Aggregation response to Collagen [/B]
Pyridoxal Phosphate|ビタミンB6/ピリドキサールリン酸 [/RBC, /S]
Pyruvate [/B]
Serotonin|セロトニン/5-ヒドロキシトリプタミン [/Platelets]
Soluble Intercellular Adhesion Molecule-1|可溶性ICAM-1/可溶性CD54/細胞接着分子-1 [/S]
Soluble Interleukin-2 Receptor|可溶性 IL-2レセプター/IL-2レセプター/可溶性 IL-2受容体 [/S]
Soluble Interleukin-6 Receptor [/S]
Spasmogenic Cysteinyl Leukotrienes [/S]
Tryptase|トリプターゼ [/Sputum]
Tumor Necrosis Factor-α|腫瘍壊死因子-α [/S]
Type I Collagen Cross-linked N-telopeptide|I型コラーゲン架橋N末端テロペプチド [/U]
α1-Antichymotrypsin|α1-アンチキモトリプシン [/S]
関連する検査の読み方 【CBC】
アレルギー型では好酸球が400/μL以上になる。
【NK細胞活性】
気管支喘息発作時に増加する。ナチュラルキラー細胞は抗原感作や組織適合性抗原複合体の影響を受けずに、ウイルスや腫瘍細胞などを非特異的に障害するリンパ球系細胞で、表面マーカーとしてCD2、CD56、CD57、CD16aが発現している。この細胞はウイルス感染の初期の防御、腫瘍細胞の障害作用、真菌や細菌の殺菌など多彩な生理作用がある。
【IgE】
高値になる。有用であるが特異的なものではない。
【アレルゲン特異IgE】
陽性になるが診断を確定することは出来ない。
【呼吸機能検査】
発作時には1秒率が70%以下に低下する。1秒量はβ2-刺激薬吸入で20%以上改善する。ピークフロー値は20%以上の日内変動を認める。肺活量測定を年一回、疾患の進行を監視するために行う。
【一酸化炭素拡散能】
基準範囲内かわずかに増加する。COPDとの鑑別に有用である。一酸化炭素拡散能は肺胞から肺毛細血管を通り、赤血球に至るガス運搬効率の指標で肺間質、肺血管、気道、毛細血管の血液量により値が左右される。
【動脈血ガス分析】
PaO2はPaCO2が増加する前に低下、状態が悪化するとPaO2の急落(60torr以下)とPaCO2の急増加(40torr以上)を認める。PaO2は動脈血中に溶解しているO2の分圧で、その値は血液中のO2の利用度を反映している。血中O2濃度低下やCO2濃度上昇があれば、肺のガス交換機能や換気運動の障害を考える。体内の酸素予備能は1リットル程度で極めて少なく、数分の供給停止は死にいたる。臨床的にはpH、PCO2、So2、HCO3-などと同時に測定し、肺のガス交換能を評価する。PaCO2は動脈血中に溶解しているCO2の分圧で、肺でのガス交換の効率を示すため、呼吸機能検査の一つとして用いられる。CO₂分圧は肺胞の換気量に逆比例するため換気が不足すればPco₂は上昇、過換気であれば低下する。臨床的には呼吸性アシドーシス、アルカローシス、代謝性アシドーシスの診断と病勢判断、筋疾患での換気状態の判定に用いる。検査に当たってはpH、HCO3⁻、PO2などと同時に測定する必要がある。
【ピークフロー値】
ピークフロー値は20%以上の日内変動を認める。携帯型流量計を用いたピークフロ値の測定は疾患の重症度の在宅モニタリングに有用である。
【ヒスタミン遊離試験】
陽性である。HRTは末梢血液中の好塩基球に付着したIgEとアレルゲンが結合して生じるヒスタミンを試験管内で測定するもので、I型アレルギーの確認の目的で用いる。測定可能なアレルゲンは食物性では卵白、牛乳、小麦、コメ、大豆、吸入性ではヤケヒョウダニ、ネコ上皮、スギ、カモガヤ、ブタクサである。
【喀痰一般検査】
白色粘液状、非血性、非膿性で好酸球、Curschmannラセン体、粘液性円柱を認める。好酸球が多数見つかれば、喘息を示唆するが、感度、特異度ともに低い。
検体検査以外の検査計画 呼吸機能検査、気道過敏性試験、気道可逆性検査、ピークフローモニタリング、フスパイログラム、拡散機能検査、胸部X線検査、鼻腔CT検査、心電図検査
疾患

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