疾患解説
フリガナ | IgG Hサビョウ |
別名 |
IgG H鎖病 γ鎖病 Franklin病 IgG型重鎖病 |
臓器区分 | 血液・造血器疾患 |
英疾患名 | IgG Heavy Chain Disease |
ICD10 | C88.2 |
疾患の概念 | IgGのH鎖のうちの、可変部や蝶番(hinge)部が欠損した、主としてFc部分からなるM蛋白が、単クローン性に増殖する疾患で、男性の中高年者に多く発症する。悪性リンパ腫様の病態を呈し、リンパ節は非ホジキンリンパ腫に類似し、リンパ球と形質細胞の増殖が見られる。血清と尿中に52~55KDのγ鎖病蛋白が見られ、電気泳動上はβ~γ中間位に泳動される。BJPは陰性のことが多い。正常免疫グロブリンは通常減少する。予後は一般に不良で、平均1年で死亡する。 |
診断の手掛 | 中高齢男性で、全身性のリンパ節腫脹、貧血症状、発熱、蛋白尿などを訴える患者を診たら本症を疑う。肝腫大、脾腫、自己免疫疾患の合併を認めることがあるので注意する。最も特徴的な症状は、口蓋の浮腫で、これはWaldeyer輪のリンパ節浸潤によるもので、呼吸困難を来すこともあり、25%の患者に見られる。関連する疾患として、関節リウマチ、シェーグレン症候群、SLE、結核、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、甲状腺炎、好酸球増加症候群がある。 |
主訴 |
肝腫大|Hepatomegaly 呼吸困難|Dyspnea 蛋白尿|Proteinuria 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 脾腫|Splenomegaly 貧血症状|Anemic symptom リンパ節腫脹|Lymphadenopathy |
鑑別疾患 |
悪性リンパ腫|Malignant Lymphoma アミロイドーシス|Amyloidosis 原発性マクログロブリン血症|Waldenstrom's Macroglobulinemia 多発性骨髄腫|Multiple Myeloma 慢性リンパ性白血病|Chronic Lymphocytic Leukemia(CLL) |
スクリーニング検査 |
Albumin|アルブミン [/S] Calcium|カルシウム [/S] Chloride|クロール [/F] Immunoglobulin G|免疫グロブリンG [/S] Potassium|カリウム [/F] Sodium|ナトリウム [/F] β-Globulin|β-グロブリン [/S] γ-Globulin|γ-グロブリン [/S] |
異常値を示す検査 |
Bence-Jones Protein|ベンスジョーンズ蛋白 [/U] IgG Subclasses|IgGサブクラス/IgGサブクラス分画 [/G3] Plasma Cells|形質細胞 [/Bone Marrow] |
関連する検査の読み方 |
【CBC】 貧血、白血球減少、血小板減少、好酸球増加と異形リンパ球が出現する。 【蛋白】 血清と尿中に分子量52~55KDのγ鎖病蛋白が検出される。約半数の患者は1g/dLを超える単クローン性蛋白が見られる。また、50%の患者は1g/24時間を超える蛋白尿が見られる。 【蛋白分画】 病的蛋白のピークはβ~γ中間位に見られる。 【免疫グロブリン】 IgGは増加するが、正常免疫グロブリンは減少する。 【IgGサブクラス】 G3サブクラスが一般的である。IgGのH鎖のFc部分は共通構造以外にIgG1、IgG2、IgG3、IgG4の4つのサブクラスを持ち、それぞれ66%、23%、7%、4%の割合で血清中に存在する。それぞれのサブクラスは生化学的活性や生理作用が異なっており、量的にバランスが崩れると免疫不全や感染を起こし易くなる。 【ベンスジョーンズ蛋白】 ベンスジョーンズ蛋白は陰性のことが多い。 【生検】 他の検査で診断できない場合は、骨髄とリンパ節の生検が有用である。 |
検体検査以外の検査計画 | 骨X線検査 |