疾患解説
フリガナ | マンセイリンパセイハッケツビョウ |
別名 | 慢性リンパ芽球性白血病 |
臓器区分 | 血液・造血器疾患 |
英疾患名 | Chronic Lymphocytic Leukemia(CLL) |
ICD10 | C91.1 |
疾患の概念 | CLLは単クローン性に増殖した成熟リンパ球の形態を有するB細胞が、末梢血、骨髄、リンパ節、脾臓などに蓄積する腫瘍性疾患である。症例の約98%は、CD5+B細胞が悪性化したもので、2~3%の症例は、T細胞のクローン増殖がある。CLLの発症率は、年齢とともに上昇し、全症例の75%が60歳以上で、男女比は2:1である。我が国での白血病に占める割合は2%と少ない。殆どの症例は、D5+B細胞が白血化し、その細胞が先ず骨髄に蓄積し、次にリンパ節やリンパ組織に浸潤し、最終的に脾腫および肝腫大を引き起こす。CLLは進行すると造血異常により貧血、好中球減少症、血小板減少症を発症する。免疫グロブリン産生も低下し、多くの患者が、低ガンマグロブリン血症を発症し、免疫性溶血性貧血または血小板減少症を特徴とする自己免疫疾患に罹患し易くなる。 |
診断の手掛 |
無症状のリンパ節腫脹、易疲労感、食欲不振、体重減少、労作時呼吸困難、脾腫による腹部膨満感を訴える患者を診たら本症を疑う。症状のない患者は、しばしば日常の血液検査で、偶然発見されたり、リンパ節腫脹の検査の過程で診断されることも多い。 【診断基準:1996年NCI】 1.末梢血リンパ球数:5,000/μL以上。 2.増加しているリンパ球:B細胞性でCD5+かつ骨髄でリンパ球が30%以上。 3.異型細胞:55%未満。 4.成熟Bリンパ球の単クローン性増殖:形態的に成熟なリンパ球、CD19,CD20,CD23,CD5陽性、細胞表面Ig陽性でありκ鎖あるいはλ鎖の偏った発現。 |
主訴 |
息切れ|Shortness of breath/Breathlessness 易疲労感|Fatigue 肝腫大|Hepatomegaly 丘疹|Papule 呼吸困難|Dyspnea 食欲不振|Anorexia 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 体重減少|Weight loss 脾腫|Splenomegaly 貧血|Anemia 腹部膨満感|Sense of Abdominal fullness やせ|Weight loss リンパ節腫脹|Lymphadenopathy |
鑑別疾患 |
B細胞性前リンパ球性白血病 感染症 マントル細胞リンパ腫の白血病化 濾胞性リンパ腫の白血病化 ヘアリー細胞白血病 |
スクリーニング検査 |
Albumin|アルブミン [/S] Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S, /WBC] Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S] Bilirubin-Indirect|間接ビリルビン/非抱合型ビリルビン [/S] Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S] Calcium|カルシウム [/S, /U] CEA|癌胎児性抗原 [/S] Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S] Creatinine|クレアチニン [/S] Erythrocytes|赤血球数 [/B] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B, /P] Immunoglobulin A|免疫グロブリンA [/S] Immunoglobulin G|免疫グロブリンG [/S] Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [/S, /S] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S] Leukocytes|白血球数 [/B] Lymphocytes|リンパ球 [/B] Monocytes|単球 [/B] Neutrophils|好中球 [/B, /B] Platelets|血小板 [/B] Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/S, /PlF] Sodium|ナトリウム [/S] Urea Nitrogen|尿素窒素 [/S] Uric Acid|尿酸 [/S, /U] γ-Globulin|γ-グロブリン [/S] |
異常値を示す検査 |
5'-Nucleotidase|5'-ヌクレオチダーゼ [/Lymphocytes] Adenosine Deaminase|アデノシンデアミナーゼ [/Lymphocytes, /S] Adenylate Cyclase|アデニル酸シクラーゼ [/Lymphocytes] Alkaline Phosphatase Isoenzymes|アルカリホスファターゼアイソザイム/ALPアイソザイム [/S] Angiotensin-converting Enzyme|アンギオテンシン変換酵素 [/S] Antinuclear Antibodies|抗核抗体 [/S] Cold Agglutinins|寒冷凝集反応/寒冷血球凝集反応 [/S] Coombs' Test|クームス試験 [Positive/S] Copper|銅 [/S] Creatine|クレアチン [/U] Cryoglobulins|クリオグロブリン [/S] Guanylate Cyclase|グアニル酸シクラーゼ [/Lymphocytes] Haptoglobin|ハプトグロビン [/S] Hexosamines, Protein-bound [/S] Hexoses, Protein-bound [/S] Immunoglobulin E|免疫グロブリンE/非特異的IgE/レアギン抗体 [/S] Immunoglobulins|免疫グロブリン [/S] Interleukin-6|インターロイキン-6 [/S] Lactate Dehydrogenase Isoenzymes|乳酸デヒドロゲナーゼアイソザイム/LDアイソザイム [/S] Lysozyme|リゾチーム/ムラミダーゼ/ムコペプタイド/グリコヒドロラーゼ [/S, /S] N-Acetyl-Glucosaminidase|N-アセチルβ-D-グルコサミニダーゼ活性(尿)/尿中NAG活性 [/Lymphocytes] Naphthol-As-D-Chloroacetate Esterase [/Granulocyte] Neopterin|ネオプテリン [/U] Osmotic Fragility|赤血球浸透圧抵抗試験(サンフォード法)(パルパート法)/赤血球抵抗試験/赤血球浸透圧脆弱性試験/食塩水浸透圧抵抗試験 [/RBC] Perchloric Acid Soluble Protein [/S] Phosphoglucomutase|ホスホグルコムターゼ [/S] Phospholipase A|ホスホリパーゼA [/S] Pseudouridine|シュードウリジン [/U] Purine Nucleoside Phosphorylase [/Lymphocytes] Reticulocytes|網赤血球/レチクロサイト/網状赤血球数 [/B] Soluble c-kit Molecule [/S] Soluble CD40L [/S] Soluble Intercellular Adhesion Molecule-1|可溶性ICAM-1/可溶性CD54/細胞接着分子-1 [/S] Soluble Interleukin-2 Receptor|可溶性 IL-2レセプター/IL-2レセプター/可溶性 IL-2受容体 [/S] Soluble Transferrin Receptor [/S] Thymidine Kinase [/S] Thymidine-5'-triphosphatase [/S] Vitamin B12|ビタミンB12/コバラミン/シアノコバラミン [/S] Vitamin B12 Binding Capacity|ビタミンB12結合能 [/S] Zinc|亜鉛 [/Lymphocytes, /S] α1-Acid Glycoprotein|α1-酸性糖蛋白/オロソムコイド/α1アシドグリコプロテイン [/S] α2-HS Glycoprotein|α2-HSグリコプロテイン [/S] β-Glucuronidase|β-グルクロニダーゼ [/Lymphocytes] β2-Macroglobulin [/S] β2-Microglobulin|β2-ミクログロブリン/β2-マイクログロブリン [/S] |
関連する検査の読み方 |
【CBC】 患者の25%に自己免疫性溶血性貧血と血小板減少を認める。血小板は骨髄性に比べ治療による増加が少ない。白血球は通常50,000~250,000/μLで90%はリンパ球である。芽球は稀で顆粒球は減少する。 【骨髄像】 リンパ球の浸潤が進行性に増大する。リンパ球が30%以上になる。 【赤血球寿命】 溶血性貧血例では短縮する。赤血球は骨髄から出た網状赤血球が成熟赤血球になり、約120日で寿命を終える。しかし赤血球の崩壊が亢進する溶血などでこの寿命は短縮する。この検査は赤血球をアイソトープで標識し体内に戻し、血液中のγ線を測定し、赤血球の崩壊の状態と崩壊が起きている臓器を知るために行う。臨床的には溶血性貧血の診断に用いる。 【フィラデルフィア染色体】 認められない。約50%の患者に12番と14番染色体異常が最もよくみられる。 【細胞表面マーカー】 B細胞型ではCD19,CD20,CD5が陽性である例が多い。 【B細胞表面免疫グロブリン】 増加する。 【蛋白分画】 単クローン性免疫グロブリンのスパイクを認めることがあるが、白血病細胞の表面に認められるB細胞表面免疫グロブリンと同じ型である。 【免疫グロブリン】 疾患が長期化すると2/3の症例で低γ-グロブリン血症を認める。 【LD】 上昇する。 【直接クームス試験】 30%の患者で陽性である。 【免疫関連遺伝子再構成】 高頻度に認められる。 【診断】 末梢血と骨髄で小型の成熟リンパ球(B細胞)が増加し、L鎖がκかλの一方のみで、CD6,19,23陽性から診断される。 |
検体検査以外の検査計画 | |