疾患解説
フリガナ | コツズイエン |
別名 | 急性血行性骨髄炎 |
臓器区分 | 運動器疾患 |
英疾患名 | Osteomyelitis |
ICD10 | M86.9 |
疾患の概念 | 骨髄内で細菌、Mycobacteria、真菌が増殖して発症する疾患で、小児や抵抗力の減弱した中高年に好発する。骨髄炎は感染組織または感染した人工関節、血行性、汚染された開放骨折または骨の手術によって発症するが、約80%は隣接部位からの感染進展と開放創が原因である。患者の半数以上は、黄色ブドウ球菌感染で、その他、レンサ球菌、グラム陰性腸内細菌および嫌気性細菌などが検出される。急性型、萎縮型、無反応型の3種に分けられる。 |
診断の手掛 | 外傷、手術などの既往がある患者が、限局性の末梢骨痛や脊椎骨痛、発熱、全身倦怠感、易疲労感を訴えたら本症を疑う。また、糖尿病患者では、末梢の血管障害があると、近接する病巣から骨髄炎を発症することがあるので注意する。急性骨髄炎では体重減少、易疲労感、発熱、限局性の熱感、腫脹、発赤、圧痛を訴える。また、慢性骨髄炎は、数カ月から長年にわたる間欠的な骨痛、圧痛、および排膿を伴う瘻孔を見る。骨髄炎はまた、局所血管を閉塞する傾向があるので注意が必要である。 |
主訴 |
易疲労感|Fatigue 悪寒戦慄|Chill with shivening 骨痛|Osteodynia/Bone pain/Ostalgia 腫脹|Swelling/Tumor 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 体重減少|Weight loss 疼痛|Pain/Ache 熱感|Heat sensation/Warm sensation 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 発赤|Flare/Rubor やせ|Weight loss |
鑑別疾患 |
悪性骨腫瘍|Malignant Neoplasm of Bone 好酸球性肉芽腫 血栓症 骨肉腫|Osteosarcoma 疲労骨折 Brodie膿瘍 薬物中毒 Ewing肉腫 エオジン好性肉芽腫 |
スクリーニング検査 |
Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S] Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S] Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S] C-reactive Protein|C反応性蛋白 [/S] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/CSF] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] Leukocytes|白血球数 [/B, /CSF] Lymphocytes|リンパ球 [/CSF] Monocytes|単球 [/B, /CSF] Neutrophils|好中球 [/B] Phosphate|無機リン [/S] Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/CSF] |
異常値を示す検査 |
Anti-Neutrophil Cytoplasm Antibodies|抗好中球細胞質プロテナーゼ-3抗体/抗好中球細胞質抗体/好中球細胞質抗体/C-ANCA/PR-3ANCA [/S] Antinuclear Antibodies|抗核抗体 [/S] Cells [/CSF] Oligoclonal Banding|オリゴクローナルバンド [/CSF] Phospholipase A|ホスホリパーゼA [/S] |
関連する検査の読み方 |
【ESR】【CRP】 通常は顕著に上昇するので、治療効果のモニターに有用である。 【血液培養】 抗菌薬投与前の培養では陽性であるが、陰性の場合は繰り返し培養する。 【膿瘍細菌培養】 陽性である。50%はS.aureusである。 【生検】 病変部の骨生検を抗菌薬使用前に行い、原因微生物に絞った治療を行う。 【原因菌】1.急性骨髄炎:黄色ブドウ球菌 2.脊椎骨髄炎:黄色ブドウ球菌、グラム陰性桿菌、結核菌 3.近接した病巣からの骨髄炎:黄色ブドウ球菌、グラム陰性桿菌、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、嫌気性菌 4.手術器具の存在下の骨髄炎:黄色ブドウ球菌、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 5.異常ヘモグロビン症に関連する骨髄炎:黄色ブドウ球菌、サルモネラ属 6.慢性骨髄炎:グラム陰性菌、黄色ブドウ球菌 |
検体検査以外の検査計画 | 骨単純X線検査、MRI検査、CT検査、MRI検査、骨シンチグラフィー |