疾患解説
フリガナ | アクセイコツシュウヨウ |
別名 |
悪性腫瘍(骨) 原発性悪性骨腫瘍 転移性骨腫瘍 |
臓器区分 | 運動器疾患 |
英疾患名 | Malignant Neoplasm of Bone |
ICD10 | C41.9 |
疾患の概念 | 原発性骨腫瘍と転移性骨腫瘍に分けられ、原発性は、骨肉腫(45%)、軟骨肉腫(20~25%)、Ewing肉腫(10~15%)に分けられる。骨肉腫は極めて悪性で、いずれの年齢にも発症するが、10~25歳に最も多い。この肉腫は通常、膝関節周囲または長管骨に発生し、肺や他の骨に転移し、痛みと腫脹が代表的な症状である。軟骨肉腫は、軟骨の悪性腫瘍で、90%は原発性腫瘍で、高齢者に発症する傾向がある。骨盤や肩甲骨などの扁平骨に発生することが多いが、あらゆる骨のあらゆる部位に発生する。Ewing肉腫は10~25歳に発症率のピークがある骨腫瘍で、殆どが四肢に発生するが、いずれの骨にも発生しうる。この肉腫は、広範囲に広がる傾向があり、ときに骨幹全体を侵すが、約15~20%が骨幹端部の周囲に発生し、痛みおよび腫脹が主な症状である。転移性骨腫瘍は乳房、肺、前立腺、腎、甲状腺、結腸からの転移が多いが、男性は前立腺癌、女性は乳癌からの転移が最も多い。 |
診断の手掛 | 外傷などの誘因がなく出現する疼痛で、増悪傾向があり、初期は運動時に、その後は安静時にも疼痛が続く患者を診たら本症を疑う。また打撲などの誘因なしに発症する、熱感を伴う腫脹も診断の強い手掛りになる。骨肉腫では多くの患者が、診断時には肺転移を起こしているので注意する。 |
主訴 |
骨痛|Osteodynia/Bone pain/Ostalgia 腫脹|Swelling/Tumor 疼痛|Pain/Ache 熱感|Heat sensation/Warm sensation 病的骨折|Pathological fracture |
鑑別疾患 |
良性骨腫瘍 骨髄炎|Osteomyelitis 疲労骨折 |
スクリーニング検査 |
Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S] Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S] Calcium|カルシウム [/S, /U] Eosinophils|好酸球 [/B] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S] Monocytes|単球 [/B] Phosphate|無機リン [/S] Uric Acid|尿酸 [/S] |
異常値を示す検査 |
Acid Phosphatase|酸性ホスファターゼ [/S] Adenosine Monophosphate|アデノシン一リン酸/アデニル酸 [/U] Bence-Jones Protein|ベンスジョーンズ蛋白 [Present/U] Ceruloplasmin|セルロプラスミン/フェロオキシダーゼ [/S] Complement, Total|補体価/CH50 [/S] Copper|銅 [/S] Cross-Linked C-terminal Telopeptide of Type I Collagen|I型コラーゲンC末端テロペプチド [/U] Hydroxyproline|総ヒドロキシプロリン/ヒドロキシプロリン [/U] Pyridinium Crosslinks [/U] Type I Collagen Cross-linked N-telopeptide|I型コラーゲン架橋N末端テロペプチド [/U] Zinc|亜鉛 [/S] |
関連する検査の読み方 |
【ALP】 骨肉腫の50%の患者では、基準範囲の40倍にもなる異常高値を示すことがある。骨新生を反映しているので、転移の有無や治療効果判定に有用である。転移性骨腫瘍では軽度に上昇する。 【LD】 Ewing肉腫、骨悪性リンパ腫などで高値になる。 【尿中Ca] 転移性骨腫瘍で増加し、程度は腫瘍の進展度に比例する。 【ヒドロキシプロリン】 Hypはコラーゲンに特異的に存在するアミノ酸で、コラーゲンが分解すると90%は遊離Hypになり、大部分は肝で代謝される。このため、尿中・血中のHyp量は、体内でのコラーゲン分解量を反映している。また、コラーゲンの50%は骨にI型コラーゲンとして存在し、I型コラーゲンはHypを多量に含んでいる。尿中Hypの50%は骨コラーゲンの分解産物であることから骨吸収のマーカーとしても測定される。臨床的には骨代謝の亢進している症例に用いるが、最近はI型コラーゲンのクロスリンクの有用性が確定しているので、Hypの測定意義は薄れつつある。 【I型コラーゲン架橋N末端テロペプチド(NTx)】 NTxはI型コラーゲンC末端テロペプチド1CTP)と同じく、I型コラーゲンが分解され血中に放出されたN末端ペプチドであるが、1CTPと異なり、尿細管で再吸収されないため、より検体が得やすい尿中濃度の測定で、1CTPと同じ臨床的意義があるとされている。 |
検体検査以外の検査計画 | 単純X腺検査、CT検査、MRI検査、骨シンチグラフィ |